香奈の家の猫たち


コシロ

香奈が大学生の時に、拾った猫。天才猫で、孤高の猫であったが、香奈には密かな想いを抱いていた。その想いを胸に秘め、香奈と一緒に相場もするようになった。コシロは香奈と一緒の時間を過ごしたいとの想いから、香奈の相場にも積極的に関与して、経済学の知識と動物的な本能で、香奈を助ける。香奈が相場で儲け、仕手筋と呼ばれるようになっていったのは、コシロの手助けもあった。香奈が、一時的に相場を和子から止めさせられた時代には、香奈と一緒に大局的な観点について、議論したとコシロは思っていた。コシロは人間の経済活動について、思索的な探求を行う事を好んだ。香奈がジブトラストの基礎を作るために、コシロと一緒に、議論していた事は知られていない。周囲の人は、単に香奈のペットとしての認識でしかなかったのかも知れなかった。神太朗たちの子供が出来る前に、猫としては、信じられないような年齢で死んだ。

茶色の猫

コシロの晩年、死ぬ直前に、コシロと一夜の契りを持った。純情でストイックな一面を持った雌猫であった。三人の子供、いや三匹の猫を産み、一匹は、スイスからの留学生であった、ネコスキーノに拾われた。残りの2匹を厳しく躾、若い時に死んだ。

チャ

コシロと茶色の猫の間に生まれた。冬でも大学の教室の窓から講義を聴くなどの教育を受けた。頭は良かったが、コシロのような天才猫ではなかった。ココと一緒に香奈の家に行き、香奈の世話になる。努力と経験を積み重ね、大きなお不動さんの後押しもあり、スイスカナコインの基礎を作った。性格は温厚だが、リスクの高い取引を好む。大量、一気の成行き売買をする。香奈と同様に、注文桁数を間違える癖があり、それが大儲けを結果的に、招いてきた。

チャタロウ

チャタロウは、株式と株先物取引のリーダー子猫であった。チャの息子であり、生まれてから経済学や取引三昧の日々をおくる。チャの息子ではあるが、真っ白な猫で、経済に強く、取引も天才的な一面を持つが、やや直情的で、涙もろく、リスク管理に甘い。性格は温厚で、チャに似ている。保養施設で出会った老人を助けるためにリトルキャット運用会社の設立を、猫チャンネルのあった正人と奈津美に必死に呼びかける事になった。

リトルチャ

やはり、チャの息子であるが、性格は温厚とは呼べず、ゴネル、カラム、イバルの三拍子が揃い、おまけに更に頭が良い猫であった。取引は達人の域に、達していた。利用できるものは何でも使い、子猫の子猫たちの優秀な頭脳も活かし、取引のスターとなっていた。投機性の強い取引を好むが、チャがリスク管理を強く言うので、複雑なリスク取りを考え、儲ける時にはデッカク、損する時には小さく、リトルチャ流のリスク管理をした。
リスク管理が厳しい、スイスカナコインの取引では、不満を持っていたが、リトルキャット運用会社では、自由自在に取引し、キャッシュポジョンを守りながらも、投機性の強い取引をするようになった。大儲けをする瞬間を狙い、一気に仕掛け、さっさと逃げるタイプだった。やがて、スイスの荒事師と呼ばれる投機筋になる。

リトルホワイト

リトルチャの息子で、コシロの再来と言われる程の天才猫。リトルチャを上回る賢さがあり、人、いや普通の猫を馬鹿にする癖がある。性衝動も強く、可愛いナターシャを引っ掛け、モノにした。猫も、金もある、頭の良い雄猫には惹かれやすいのかも知れなかった。香奈の家の猫なのに、心理学に興味を持ち、その天分は心理学に向けられた。気位も高かったが、友人と思っていた天野に、猫のくせにとの一言に傷つき、保養施設に行き、そこでの体験で、人いや猫が変わり、疲れ、悩む人たちの安らぎと再生のための心理的ケアに尽くす。やがて、心理学の天才でもあった天野とも和解し、二人、いや一人と一匹で、心理学と心理的ケアに精進する事になっていった。>

ナターシャ

資産家のお嬢さん猫とチヤホヤされて育つ、ペルシャ猫。資産家が一挙に破産して、捨てられ、悲惨なノラ猫いや地域猫となる。頭の良い、リトルホワイトに、コロリと騙され、三匹の子供を産む。リング状の水を飲み、潜在的に持っていたデザインの才能が一気に開花し、リトルキャットの花形デザイナーになる。人に世話されるのが当たり前と考える香奈の家の猫の中では、苦しかった時代を忘れず、人にお辞儀する、微笑み返しをするなどの人に対する気配りをする猫になる。

チビ助

リトルホワイトの息子。頭は良いが、取引なんかには興味がなく、香奈あっての、猫軍団であると強く意識するようになる。心配性でもあり、香奈の身を案じる猫である。外見的には、一番コシロに似てきた。香奈もチビ助を可愛がった。

ココ

コシロと茶色の猫の間に生まれた。冬でも大学の教室の窓から講義を聴くなどの教育を受けた。頭は良かったが、コシロのような天才猫ではなかった。チャと一緒に香奈の家に行き、香奈の世話になる。努力と経験を積み重ね、もう一つのお不動さんの後押しもあり、香奈国内の取引を支えた。性格は強気だが、取引は現物株中心の取引を好む。ボロ株などの化ける株を探すのが得意。リスク管理としての先物取引も子猫や子猫の子猫にさせる。大量、一気の成行き売買ではなく、あくまで密かな調整売買をする。子猫たちへの支配は強烈で、猫パンチも出して、抑えこんだ。

スイスへ行った白い猫

コシロと茶色の猫の間に生まれた。ヨチヨチ歩きの時にネコスキーノに拾われ、茶色の猫の遺骨を持って、スイスへ行く。取引なんかとは無縁に育ち、子猫たちを一杯産み、高齢になる。スイスカナコインの牧場に行き、分岐状の水、リング状の水が入った水や牛乳を飲み、元気になる。人を慰め、安らぎを与え、人に対する気配りの強い猫となる。やがて、コッソリートとも友達になる。