香奈ファイナンシャル海外

香奈は、ジブトラストが成長して、多額の報酬や配当が入るようになり、元々香奈の会社である香奈オフィスからの収入も高額であり、香奈はジブトラストからの報酬や配当は、ほとんど使わなくなっていた。正子と同じように、ジブトラストに預けていたが、正子がカミカミファイナンシャルを作ったとの話を聞き、まだ形だけは残っていた国内の自分の個人管理会社をすべて集めて統合して、香奈ファイナンシャルと改名して、使わないで貯まっていた報酬や配当を出資していく事にした。そこには、香奈の個人名義の株なども集め、香奈の金庫のような会社になった。香奈ファイナンシャルには、香奈だけではなく、瑠璃や徹彦にも出資させ、香奈の財産管理会社が出来ていた。

こうして出来た香奈ファイナンシャルではあったが、香奈は元々香奈筋とも呼ばれた投機筋でもあり、混乱している市場ではついつい相場をしたくなり、ココも儲けていた。それらが積み重なって大きくなっていった。徹行の妻のマリアがジプトラストでヨーロッパで先物をしている時に、マリアのお金に追加の出資をして、香奈国内が過半数以上を持つ香奈海外法人を各地に作った。

香奈海外法人は香奈のひ孫で、マリアの息子である切人が、勝手に大きくして、資産規模を増やし、もう一つの大きな銀行救済のために、増資や融資のために、香奈海外も、香奈国内と共同で、巨額の資金を出資したものの、それが返済され、受け皿会社として、香奈国内と共同で、香奈オーバーシーズを作った。しかし、正人が債権なんぞも返済の一部として返すなどの余計な事をするので、一種のノンバンクのようになり、その配当も入り、更に資産規模は増えた。最初は配当なんぞは出さなかったが、配当も出すようになり、香奈海外は、海外にわざわざ送金してもらう必要もなく、香奈オーバーシーズに預けていた。香奈国内も、香奈海外からの配当を送金してもらうよりも、香奈オフィスが海外での事業展開をする時のために、香奈海外に預けるようにしていた。ハゲタカ路線の瑠璃が一挙に鉱山や油田などの利権を買い占める時には、多額の資金が必要になった事が原因だった。香奈オフィスも、瑠璃に代わって、奈津美が実務を取るようになり、ハゲタカ路線から協調路線に修正され、その上香奈オフィス自身の財務も好調になり、増資の必要もほとんどなくなった。香奈海外での香奈国内の預かり金は膨れ上がっていた。こうした預かり金があっちこっちにあったので、猫基金、正式には香奈特別基金を香奈国内に設立する時に、こうした預かり金を整理して、香奈海外から香奈国内に支払う配当を、香奈オーバーシーズに預けていたお金を充当して、香奈特別基金の大きな原動力ともなった。

香奈海外は、幾つかの企業の株式を保有して、資本関係としては香奈国内の子会社ではあるが、現実的には、ひ孫の切人の支配下にあるファイナンシャルであった。香奈も海外香奈については切人に一任していた。切人は、自分たちの財産管理会社でもあるマリアホープと組み併せて、海外株式を保有していた。聡美が大量に保有している株式は元々切人が目を付けていた会社が多く、聡美の依頼も受けて、経営にも関与するようになっていった。

香奈スペシャルNo.3-1以降に香奈海外が登場してくる。香奈国内、香奈オーバーシーズは、税引き後利益の5%を配当としていた。しかし香奈海外は、少しずつ配当率を上げてきた。香奈海外の資産規模は膨れ上がり、運用にもそんな必要ではなくなった。それにマリアと切人たちの家族単位の財産管理会社であるマリアホープも、海外香奈の大株主であった。マリアホープの資産に移動させた方が切人には、何かと好都合だった。切人は、保有している企業には、業績に見合った配当を要求した。ナンダカンダと海外香奈は配当を高くしつつあった。過半数を持つ国内香奈、本体香奈の受け取るべき配当は増えていた。香奈海外は、香奈オーバーシーズの大株主でもあった。そして香奈国内は、香奈海外の過半数を占める大株主でもあった。香奈オーバーシーズの資金は膨大でも、香奈オーバーシーズは、資金の四分の一から半分程度をもう一つの大きな銀行との協調融資に回し、そして保有現金の半分程度は、神之助に保有する通貨の選択を任せていた。運用以外に金融業や為替の利益に頼っていた。しかし香奈海外は、運用をして、成長する企業を保有して、企業も運営していた。香奈海外の資産は膨れ上がっていて、当初の出資金は少なくても保有する資産は巨額になり、その計上利益も巨額だった。香奈国内と香奈海外そして香奈オーバーシーズなどの関係は入り組んでおり、配当の調整は複雑だったが、海外香奈が香奈オーバーシーズから受け取る配当も決して少なくないものの、本体香奈が、海外香奈から受け取るべき配当は、貯まりに貯まっていた。