懺悔も知らない


「も....っ、だ、め...です....ンッ、...」

カカシは逃げるイルカの体を背中から押さえ込むように上体を倒し、一際大きく中を抉った。
パンッという肉のぶつかり合う音と共に、イルカがアアッとあられもない声をあげて身を仰け反らせる。
体勢の変化によってより深く繋がることになった下肢を味わうように、カカシはゆっくりと腰を回すようにして焦らしては、不意にイルカのいいところを激しく突き荒らす。その度に繋がったところから、カカシがもう幾度も吐き出した残滓がコポコポと零れ落ちてイルカの腿を汚す。
カカシはその淫靡な光景にたまらない気持ちになって、思わずイルカの背中に歯を立てた。

「あっ....!」痛みにイルカが眉を寄せる。それすらカカシを煽る材料にしかならない。

カカシはイルカの肩越しに耳を舐め上げ、「好きですよ、イルカ先生。愛してます。」と囁いた。
たちまちイルカの耳や項がほんわりと赤く染まる。
こんなに淫らな情事の最中でも、イルカは羞恥を忘れないのだ。いつも恥ずかしがって身を捩る。

いつまでたっても可愛い人。

こんなに耳を赤くして。今どんな顔をしているのだろう。カカシはイルカの顔が見たいと思った。
カカシは無造作に己のものを引き抜くと、引き抜かれた感触に身を震わせるイルカの体を仰向けにひっくり返した。
突然のカカシの振る舞い驚くイルカの目とカカシの目が、まともに会った。慌ててプイと視線を横にそらすイルカの顔は複雑だった。
照れているような、怒っているような、拗ねているような。
カカシは思わずプッと小さく吹き出してしまった。

「な、なんですか!?わ、笑ったりしてっ....」全然迫力のない様子で怒って見せるイルカの頬を、カカシはゆっくり撫で上げた。

「ごめ〜んね?イルカ先生があんまり可愛いから。ね、イルカ先生はどうですか?」

カカシが何を問うているのか分からず、イルカが瞬間きょとんとする。そんな様子もカカシの目には心が蕩けるほど可愛く映る。
ああ、俺は相当重症だな、とカカシは苦笑した。

「ね、イルカ先生は俺のこと好きですか?」答えはわかっているのに、聞きたいといつも強請る。普段は決してくれない言葉を、この甘やかな時間にイルカは許してくれるから。それでもその言葉を口にする羞恥から、黙っているイルカをカカシは追い詰めた。

「それとも、俺のこと嫌い?」

「そっ、そんなことあるわけ....っ!!」カカシは慌てるイルカの視線を捕らえて覗きこむ。

「じゃあ、好き?」ほら、俺の勝ち。

イルカは顔を真っ赤にしながらも、「好きです...」決まってるでしょう、と小さく呟いた。

カカシはその答えに例えようのない満足を感じながら、イルカの唇に軽い口付けを落とすといきなりイルカを貫いた。

「んぁ....っ」突然の挿入に胸を波打たせるイルカに構わず、カカシは激しく動き出した。

何度も精を放ったイルカのものが、白濁した液にまみれながらも、またぷるりと恥ずかしげに頭をもたげて股間で揺れる。
突き上げにあわせて扱いてやるとイルカの口から引っ切り無しに嬌声が上がった。

何度も追い上げられて。何度も精を吐き出して。限界を超えた快楽の波に翻弄され、イルカの瞳は焦点を失う。
そんなイルカを可哀想に思うのもほんの一瞬だ。
その気持ちを遥かに上回る欲求がカカシを突き動かす。

全てが欲しい。イルカの全てが。
全部自分のものにしたい。その心を。その声も。笑顔も。体も。髪の毛の一本ですら。
全てを知りたい。過去も今も、未来も。イルカの心の中にあるものを全て。
イルカの目に映るもの、イルカの手が触れるもの、そしてイルカが笑いかけるもの。その全てに嫉妬する。
カカシだけに笑って欲しい。
カカシだけを思って欲しい。
なんて無理な望み。それでもそれがカカシの真実だった。

言葉にしてしまえば、あなたを困らすだけだと知っているから。
だからこうしている時くらいは。
全部俺にちょうだい。あなたの全部を。

吐精とともに意識を飛ばすイルカの体を、衝動のままに貪欲に揺さぶり続ける。
こんなになっても、止められない。止めてなんてあげない。

貪欲に、食らい尽くす。

あなたのことになると。
俺は。

懺悔も、知らない。


                 終
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