が、しかし。

 現実はそうそう甘くなかった。

 まさか四つ葉のクローバー探しがこんなにも難しいものだったなんて……

 カカシはハアと溜息を吐いた。

 シロツメクサなんて里のそこらじゅうで群生しているのを見かけるものだから、その気になれば616本の四つ葉なんて余裕、と思っていたのだが、

 採取に乗り出して一週間でカカシが見つけた四つ葉は僅か19本…………

 見兼ねた七班の子供達が途中から作業に加わってくれた成果を足して、やっと72本だ。

 616−72=544

 約束の期日まで後3週間だから、544÷3=181.333333……

 これからは一週間に182本のペースで成果を上げねばいけない計算になる。

「……そんなの無理だっつーの!!!!!!!!」 

 カカシは思わず叫んでしまった。

 と同時に手の中のたまごサンドをぐにゅっと握り潰してしまったのだが、

「びっくりしたー!もう、カカシ先生ったら何やってるの」

「あーあ、食べ物を粗末にしたら罰が当たるってばよ!」

「ったく、手間の掛かる奴だな」

 子供達は口ではブウブウ言いつつも、然程動じた風も無く、サスケがこぼれた卵をサッサと拭く傍らで、ナルトが当り前のように潰れたたまごサンドをカカシから取り上げぺろりと平らげると、
 
 最後の仕上げとばかりにサクラが空いたカカシの手に新たに(具こぼれの少ない)ハムチーズサンドをはっしと握らせた。

 見事な連係プレーである。

「う……み、みんな、ごめ〜んね、」

 我に返ったカカシは己の情けなさに項垂れた。

「なんか今更なんだけど……616本の四つ葉のクローバーを一カ月で集めるなんて可能なのかな……?もしかして、俺、イルカ先生に嫌われてる……?」

 思わず子供相手に弱音を吐くと、

「「「……」」」
 
 えっ、ホントに今更そんな事ォ!?と子供たちはみな一様に唖然とした顔をした。


続く(ご、ごめ……)