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「ま、待ってくださいカカシ先生…あっ…!」
チャックから取り出したイルカの怒張したペニスを、カカシが舌先でぺろりと舐めた。
その刺激にヒクリと震え、更に硬く立ち上がるソレを躊躇う事無く口に含む。
「ん…っ、あぁ…っ」
熱く柔らかな粘膜に包まれ、イルカは気持ちよさに思わず鼻にかかった声を出した。
必死になってカカシの頭をどけようとするのに、まるで腕に力が入らない。
それどころかズボズボと前後するカカシの頭を引き寄せ、もっとと強請るように淫らに銀髪を掻き混ぜている。

だからどうしてこの人、こんなにフェラが上手いんだよ…!?

イルカの腰から下は早くも快楽に溶けていた。時々きゅうっと強く先端を吸われると背筋を這い上がってきた快感がビリビリと脳髄を痺れさせる。その度毎に自分の先端から淫蜜が溢れるのを感じた。それをカカシが一生懸命舐め上げる。変な言い方だが、その様子はまさに一生懸命という感じだった。細く整った眉を寄せて、育ちきったイルカのモノを限界まで呑み込んでは吐き出す。時々あまりに奥まで呑み込み過ぎて、塞がれた喉が苦しげに戦慄いた。
「ん…ん…っ」
目元に涙を浮かべながらも、カカシは頭を振り、含みきれない竿の部分に手を添えて根元から上下に扱く。

…なんか可愛いんだよなあ。

だから何時も止められない。イルカは悦楽に朦朧としながらカカシを見詰めた。
淫らな事をしているというのに、性的衝動とは別の感情が顔を出す。
グリグリと頭を撫でてやりたいような、心の中を温かく満ちていくような、愛しいという気持ちが…ちが…が…
そう考えて瞬間ギクリとイルカは固まった。

…え?…えええええええーーーーーーーーーっっっ!!!!!?????
ななななな、何言って…いいいい、いといといと…愛しいって…だだだ、誰が誰を…!?はああああーーー!!!!????

あまりの動揺にドクリと跳ねた心臓に呼応して、己のモノが弾けて熱い汁を噴出す。
「う、うぇ…っ」
突然の放出に驚いたカカシが口を離すと、まだ浅ましく精液を吐き出していたイルカの性器がカカシの顔を汚した。
「「う…っ!」」
あまりの衝撃に同時に息を詰めた二人は、そのまま暫し固まってしまった。
下半身丸出しで粘液パックを施されたカカシの目からは涙が零れ、ズビッと啜った鼻先からは鼻提灯がぶら下がっている。端正な顔も台無

しの凄まじい有様だ。早くティッシュを差し出さねばと思うのに、イルカは硬直したままだった。

が、顔射してしまった…!!!!!カ、カカシ先生にガガガガ、ガンガンガン……!!!!!!

腰から下は甘く痺れるような余韻に震えているのに、イルカの顔面はこれ以上もないほど蒼白だった。
流石に顔射はした事が無かった。筋金入りのフェミニストであるイルカは、自分だけが気持ちいいような行為はした事が無いのだ。いつだってイルカは自分の快楽よりも女性の満足を優先してきた。大体精液を顔に吹きかけられて喜ぶ女性はいないだろうと思う。二人の間に愛があるから許してはくれるだろうが、決して気持ちよくは無いはずだ。それが男なら尚更だ。しかもカカシが幾らはた迷惑でたらりらりんだからといって、上忍である事には変わりがないのだ。上忍の写輪眼様なのだ。

おおおおお、俺はなんちゅうことを…!!!!!!!

イルカはどうしたらいいか分からなかった。謝っても許されるべき問題じゃない気がしたが、兎に角謝るしかない。漸く伝達された脳からの指令に従って、イルカが土下座をしようとした瞬間。
「気持ちよかったですか…?俺…上手にできましたか…?」
おどおどと自信がなさそうにカカシが言った。精液まみれの顔を拭おうともせずに、真剣な瞳で見上げている。
イルカは一瞬絶句した。

気持ちよかったかって…そりゃ俺は気持ちよかったけど…
あんたは一生懸命になるところを間違えてるよ…こういうのは俺なんかじゃなくて…
本当に好きな女性にしてあげるべきなんだ…

疼く胸に上手く言えない気がして、言葉の代わりにコクリと頷くと、カカシがにっこりと心底嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「イルカ先生が気持ちいいと…俺も凄く気持ちいです…!」
涙と鼻水と精液でぐちゃぐちゃの顔で、カカシが恍惚と呟く。鼻先から安堵の溜息と共に一際大きい鼻提灯がぷうと顔を出した。

うわあ…間抜けというか壮絶というか…

絶対に誰もが退くような顔をしていると思うのに、何故だろう。キリリとしたカカシよりも、このお間抜けな汚らしいカカシの顔が堪らなく可愛い。

お、俺は大丈夫なのか…!?

一抹の不安を感じつつ、イルカは漸くカカシの顔をティッシュで拭ってやった。カカシは拭っている途中もじゃれるようにして、イルカの指先を舐めたり噛んだりしてくる。子犬みたいだとイルカは思った。子犬と言うには無理のある、遥かにでかい図体をしているけれど。大の男が下半身丸出しで、鍋を横に置いた風呂場でじゃれあっている…全然微笑ましくない薄ら寒い光景だ。普通じゃない事は分かっているのだが、カカシと出会ってから普通であった事が一度たりともあっただろうか?イルカはどうでもいいような気になっていた。

でも、断じてカカシ先生の事を恋人の様に「好き」なんじゃないぞ…!可愛いとは思うけど!…そういうのとは絶対に違う…!!!!

イルカは心の中で何度も繰り返した。
確かにカカシと一緒にいるといつもドキドキするが、それはトキメキとはまるで別のものだ。

俺は何か勘違いしてるんだ…!第一カカシ先生って、小指の先ほども俺の好みじゃないし…

容赦ない腕っ節でライバルを蹴散らし、女王様の様に君臨し自分を叱り付けるような女性が好きなのだ。巨乳なら尚よし。男なのにこんなにメソメソしているのは問題外のはずだ。はずなのに。

ひょっとして俺…

イルカが胸をひやりとさせた瞬間、突然あらぬ場所にもひやりとした感触を感じた。
「え…?」
ハッとしてイルカがカカシの顔を見ると、
「こ、これを使うと、菊座が上手に開くらしいんです…ちょっと冷たいですか…?」
正体不明の小瓶から何か液体をぬるーっと出しながら、カカシが恥ずかしそうに顔を赤く染める。

何故今、園芸の話…?というか、その小瓶何処から…?

イルカが不思議に思っていると、ぬめった指先が躊躇う事無くイルカの双丘の狭間に滑り降りた。
「は?え…?」
事態を理解できぬうちに、閉ざされた窪みに指先が潜り込んでいた。

続く