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う…はあぁぁぁー…気持ち、いい……

頭の中に鳴り響く天上の調べに恍惚と目を瞑りかけて、イルカは慌ててクワと眼を開いた。

あ、あああ、危ねー…!何うっとり流れに身を委ねそうになってるんだよ…!?
そんな場合じゃないだろう…?早くカカシ先生を起こさなければ…というか、幾ら何でも起きないか?普通…

カカシは瞳を閉じて寝入っている様子なのに、蠢く舌はイルカの唇をぬるりと割って入り、口内を味わうように妖しく彷徨う。その動きに明確な意思を感じずにはいられなかったが、だからと言ってカカシが自分に進んで口付けをするような理由を思いつかなかった。

や、やっぱり偶然なのか…?カカシ先生は寝惚けているのか…?んぅ…っ、そ、そうだよな…は…
野郎にキスしたいわけないもんな…くっ…い、いや、今はそんな事よりも、ふっ…、と…取り合えず、このキスを止めさせ…あっ、う…っ

不味いと思うのに快楽に思考は途切れ、抵抗する事さえままならない。その間もぴちゃぴちゃといやらしい水音を立てながら、カカシが舌を絡めてきては逃げるイルカの舌先をきつく吸い上げる。その刺激にイルカの体は痙攣するようにピクピクと跳ね、頭の中が白く焼き切れた。

あー…やばいよ…俺、もう…ちょっと……

危機的状況に焦る心を悦楽を求める本能が押し退けようとする。イルカはそれを驚異的な精神力で耐えていたが、震える舌先を甘噛みされて、そのちくりとした刺激に連鎖して下半身がずきりと痛むと、僅かばかりに残っていた理性も危うくなってきた。

やばい…やばいけど…こ、これ以上の事はないよな……
な、何といってもカカシ先生は寝惚けているだけだし…キス以上の事は…

それならいいか、とイルカが良くない方向に流されそうになった時、くりりと乳首を捏ねられた。

「あ…っ!」

そのあまりの刺激に大きく体が跳ねた拍子に唇がはずれ、イルカの口からいやらしい喘ぎが漏れた。

な、なんちゅう声を出してるんだ俺は…!?ってゆーか…

「カ、カカカ、カカシ先生っ…あんた何してるんです…っ!?何時から起きてたんだ…!?」

イルカは怒りも露わに辛うじて繋ぎ止めていた理性で叫んだ。幾らなんでも寝惚けて胸を揉んでくるなんてありえなかった。ありえたとしても、流石にそんな破廉恥な行為は止めるべきだろう。覆い被さるカカシの顔をキッと睨み付けると、そこにはうっとりとした表情のカカシの顔があった。勿論目は開いている。カカシは全く悪びれた様子もなく、それどころかにっこりと無邪気な笑顔を浮べて言った。

「すみません、復習、したくなったんです。」

「は…?」

イルカはにこにこと微笑むカカシを前に素っ頓狂な声を上げた。

復習って…何の…?まさか…え?

蒼白になるイルカにカカシは追い討ちをかけた。

「ふと眠りから覚めてうとうとしながらイルカ先生の首筋見てたら…ここにキスをするのは唇へのキスの後だったかなあとか、愛撫の手順を忘れちゃったみたいで急に不安になってきて…愛撫を確かなものにするために、復習させてください…!」

な、ななな、何ーーーー!?

イルカは全身から冷や汗がドッと噴出すのを感じた。もう死線スレスレの愛撫のレッスンは終ったものと安心しきっていた。それを今更。

というか、どうして最初に言わないんだ。いや、言われても困るけど…!

イルカの疑問を見越したように、

「その…なかなか恥ずかしくていい出せなくて…咄嗟に行動に…すみません…」

場違いにカカシが頬を染めてそっと視線を伏せる。それは本当に場違いだった。何しろ、頬を赤く染めながらもカカシの指先はイルカの突起をいじり続けているのだ。淫猥な事この上ない。イルカの頭の中は混乱を極めていた。だが取り合えず悪戯なカカシの指先を何とかしたかった。

「む、胸への愛撫は一番後って、い、言ったでしょう…!?」

ハアハアと熱い息を零し、朦朧としながらもイルカが諭すと、

「あっ、そうでした…!」

カカシが神妙に胸への愛撫をとめた。

お?な、なかなか素直じゃないか…ま、まずはよし…!ピンチ脱出…!

イルカがホッと胸を撫で下ろした瞬間。

「そうだ、ここを…確か擦りましたよね…?」

カカシの手が素早くイルカのズボンの中に滑り込んでいた。

続く

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