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意外にもカカシは出来の良い生徒だった。イルカが施した通り、重ねた唇を舌先でゆっくりとなぞるように舐める動きはなかなかのものだ。しかもカカシはイルカのキスをアレンジして、舐めながら時々唇を食むようにして愛撫するという、自分のオリジナル技を巧みに組み込んできていた。流石木の葉一の業師と謳われるだけある、とイルカはその秘められた実力に内心感嘆の声を上げた。

これが上忍って奴なんだろうか・・・?確かに筋は良いな・・・だけど・・・

ちょっとしつこ過ぎはしないだろうか、とイルカはぼんやりと思った。さっきからねちっこくカカシの舌がイルカの上唇や下唇の上を往復している。一生懸命なのは分かるが、何だか唇がふやけてしまったような気がする。口腔内へと舌を侵入させる前に、既に口の周りはカカシの唾液でベトベトだ。

も、もう先に進むようにそれとなく示唆してやらないとな・・・

イルカは仕方なく閉じていた口を緩く開けて、カカシの舌を自分の口内へと誘った。その瞬間カカシの片手がイルカの後頭部を押さえ、更にもう片方の手はイルカの腰を抱き寄せ、逃げるのを許さない形で深く口付けられた。躊躇う事無く侵入してきたカカシの舌が蛇の様にイルカの舌に絡みつく。カカシは激しくイルカの舌を啜り上げては叩き、甘噛みしてはいやらしく舐り、わざと音をたててチュクチュクと吸い付いた。一応、イルカのキスの手順を真似ているのだが、何だか全然別のキスのようだとイルカは思った。それはカカシの舌の所為かもしれない。カカシの舌自体がまるで意思のある生き物のようだった。ぬるぬるとしていて熱くて、堪らなくいやらしい。

・・・ちょ・・・カカシせんせ・・・上手・・・っ

カカシの舌先がイルカの舌の裏をゾロリと舐め上げると、今まで感じたことがないようなゾクゾクとしたものがイルカの背筋を走った。女性とキスした時にも感じた事のない、不思議な感覚。

な、なんだ、これ・・・!?

イルカが驚愕した瞬間。

パラパッパッパー

頭の中でラッパの音が高らかに鳴り響いた。

え?えええええ・・・・・!?な、何だ?いいいい、今ラッパの音が・・・!!

動揺するイルカにお構いなく、カカシはちゅうちゅうとイルカの唇を吸い続けている。カカシの舌が蠢く度に、イルカは体の芯が痺れるような熱くなるような不思議な感覚に襲われ、体を震わせた。体の震えが大きくなればなるほど、何故か耳元で聞こえるラッパの音もよりはっきりと大きくなってくる。しかしその音は決して耳障りなものではなく、それどころか何ともいえない甘美な心地良さを感じた。目を閉じたイルカの目蓋には、真紅のバラの花びらが舞う中、ラッパを手に飛び回る天使の姿が見えていた。幻覚幻聴だと笑う事なかれ。それは確かに現実だった。

う、うわー・・・皆が言っていた天使のラッパってこれかあ・・・・こんな音だったんだあ・・・!

イルカはうっとりとしながら妙に感心していた。カカシは自分のキスをたった一回で完璧にマスターしたのだ。まさに天使のラッパが聞こえるほどに。

く、悔しいけど天下の上忍はやはり違うな・・・!だけどそのお陰で俺のキスがどんなものなのか分かったな・・・
こんなに官能的な気持ちになるものだったのか・・・す、すごいな俺って・・・・

自分のキスの威力に感動していたのも束の間、カカシの口付けは深く激しくなるばかりで一向に終りそうにない。角度を変えて執拗に施される口付けの合間に、イルカはカカシを止めようと何か言おうとするのだが、口から漏れるのは言葉ではなく、「は・・・ふ・・・っ」という喘ぎにも似た熱い吐息だけだった。

あわわわわ・・・・な、何が「は・・・ふ・・・っ」だよ・・・!やばいやばいやばい・・・!
お、俺のキスってすご過ぎ・・・体に力が入らねえ・・・っていうか、カカシ先生、流石「コピー忍者」だよ・・・!!!!

イルカは焦って何とかカカシの体を押し離そうとしたが、天使はラッパを吹き続けたままで視界にはバラが散っている。そしてなんだかとても気持ち良い。その抗いがたい気持ちよさにイルカは段々と上手く物事が考えられなくなっていった。
カカシに口付けられながら布団の上に押し倒され、密着するように伸し掛かられた時にようやくハッとその不味さに正気に返った。イルカを正気付かせたのはカカシの体温でも体重でもなかった。イルカを正気付かせたもの、それは。
密着したお互いの体の間に感じる、硬く反り返った異物だった。しかもそれは最早ぬらぬらと濡れそぼってお互いの腹を汚していた。

ひいいいいいいーーーーーーーー!!!!!いいいいい、何時の間に俺、ぼ、勃起して・・・・・・!!!!!!

イルカは赤くなったり青くなったりしながら、カカシの体を引き離そうと必死になった。しかしカカシは夢中で口付けを解放しないまま、ぐりぐりと腰をイルカに擦り付けるようにする。それは無意識のようだった。

あ・・・う・・・嘘だろ・・・っま・・・待て・・・って・・・・!

「ん・・・む・・・んぅ・・・っ!」

イルカの抵抗の叫びは、しかし全てカカシの口の中に吸い込まれていく。カカシがねろねろとイルカの口内を舐る度に、擦り付けられる腰の動きは無遠慮なものとなっていく。二人の体の間で熱い怒張はお互い擦れ合ってこれ以上ないほど膨れ上がり、ぬるぬるといやらしい液体を溢れさせる。その刺激は脳が白く焼けるほど気持ちよかった。カカシが唇を離し、

「イルカ先生・・・イルカ先生・・・っ」

うわごとの様にその名を口にして何度も強く腰を擦りつけると、ビシャッと熱く白い液体を勢いよく撒き散らした。イルカもまたその刺激に、

「あぁああぁぁ・・・・っ・・・」

殆ど同時に達してしまった。イルカはドクドクと己のモノから白い液を吐き出しながら、放心状態だった。

おおおおおお、俺・・・俺・・・・っカカカカ、カカシ先生とアレを擦りあわせながら・・・い・・・いって・・・・いいいい・・・・・って・・・・・

激しいショックに体を震わせながら目尻にじわりと涙を浮かべるイルカに、カカシは尚もチュッチュッと軽く口付けながら恥ずかしそうに自信なさげに言った。

「ど・・・どうでしょう、イルカ先生?お、俺・・・キス、上手に出来てましたか・・・?何処か、だ、駄目でしたか・・・?」

そーいう問題か・・・?

イルカは涙をぐっと堪えながらも、

「・・・・上手に・・・・・出来て、ました・・・合格・・・です」

男らしく先生然と笑って見せた。

 

続く

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