「歌を歌おう」最終回

24日の当日、アカデミーで行われたクリスマス会は大成功のうちに幕を閉じた。
特にイルカのピアノの演奏は評判がよかった。「お前がこんなに弾けたとは。」「とてもお上手でしたよ、イルカ先生。」と誰もがその意外な腕前に賞賛の言葉を投げかける。実際は何箇所か失敗してしまったイルカなのだが、職員は皆イルカの本来の腕前がお粗末なものだと知っていた。イルカは相当努力をしたに違いない、と皆には分かっていたのだ。イルカはそれを何処か面映い気持ちで聞いていた。

カカシ先生...のお蔭かな。

イルカは心の中でカカシのことを思い出していた。カカシが毎日あんなに熱心にピアノを聞きに来てくれたので、イルカも練習に身が入ったのだ。上手く弾けるのか、あんなに不安だったのに、イルカはピアノを前にちっとも緊張していない自分に驚いた。ピアノを弾きながら、カカシのあの指使いを思い浮かべていた。するともっとリラックスして弾くことができた。ピアノが楽しい、とさえ思ってしまった。

あんなにピアノが嫌だったのに、不思議なものだな。

カカシに感謝をせねば、とイルカは思う。そのために考えていた食事の約束も、結局あのままだ。しかし、イルカはそこまで考えてはあーっと深い溜息をついた。職員室の自分の机の上に乗る荷物を無言で見つめる。大きな紙袋の中には小さなツリーと小さなケーキと、簡単な料理が入っていた。これからカカシの病室を訪ねるつもりだった。でもそれはピアノのお礼と、クリスマスをしたことがないというカカシに、多少クリスマスらしいことをしてあげたい気持ちになったからだ。でも。

今、俺はカカシ先生の気持ちに応える事はできない...
カカシ先生のことは好きだけど、そういう好きとは違う気がする。
それなのに、こんなものを持って行っていいのかな。
でも、仲良くなりたいと思ってるんだよな...

今日断ってしまったら、折角仲良くなり始めていた関係が壊れてしまうだろう。イルカはそれがとても残念だった。その気持ちが病院へ足を向けることを躊躇わせる。クリスマスの片づけが終わると、アカデミーの他の職員達は皆先を競うように急いで帰って行った。今日のクリスマスを、家族と、もしくは恋人と過ごす喜びに顔を輝かせながら。イルカだけがポツンと一人、職員室に取り残されていた。夕陽が赤く職員室を染め上げていた。早く病院に行かなくちゃ面会時間に間に合わない、そう思うのにイルカはまだ決めかねていた。
するとその時、微かなピアノの音がイルカの耳に聞こえた。

まさか...!?

イルカは慌てて廊下に飛び出した。するとその音はよりハッキリとした。聞き間違いではなかった。ひどく優しくて何処か憂愁を帯びた音色がイルカを誘うように響いていた。イルカは机の上の荷物を手にすると、その音に向かって走り出していた。どんどん大きくなるピアノの音を聞きながらイルカは音楽室の前まで来ると、その引き戸に手をかけた。ほんの一瞬イルカの手は躊躇に動きを止めたが、次の瞬間には全てを吹っ切る様に、大きな音を立てて勢いよく戸を開けていた。

「遅いですよ〜イルカ先生。」

ピアノの前に座ったカカシがのんびりとした口調でイルカを迎えた。

「カ、カカシ先生...!どうしてここに...!?また病院を脱け出して...だ、駄目じゃないですか!」

イルカは思わず叫んでいた。本当に無茶をする人だ、とイルカは呆れていた。傷口は大丈夫なのだろうか。

「え〜。だって待ってたらイルカ先生、来てくれないかもしれないでしょ。だから俺の方から出向いてみたんですけど。」

カカシの言葉にイルカはドキリとした。カカシはなかなかに鋭い。

「そ、そんなことないですよ...今から病院に行こうと思ってたんです...ほら、ちゃんとケーキも用意して...」

何故かいい訳めいたことを口にしながら、イルカは紙袋の中のものをカカシに見せるようにした。

な、何言い訳してるんだ、俺は。第一約束してないじゃないか。

またカカシのペースに流されそうな自分に気付き、イルカは慌てて心の中で気を引き締めなおす。しかし、紙袋の中を嬉しそうな顔をして覗きこんでいるカカシの姿を見ると、なんだかその決心がまたグラグラと揺れ出すのを感じる。しっかりしろ、とイルカは自分に向かって呟いた。

「へぇ、これがクリスマスケーキってやつですか。イルカ先生、これは何?食べられるの?」

カカシは勝手にケーキを箱から出して、その上に飾られているサンタの人形を指差した。そのはしゃぐ様子が本当に少年のようで、イルカは胸が痛かった。

「....食べられますよ。それは砂糖でできているんです。」

イルカがそう答えると、カカシはへぇ、と感心したような声を上げて、突然それを摘み上げるとパクッと食べてしまった。そのカカシらしからぬ振る舞いにイルカが茫然としていると、カカシが口をモゴモゴさせながらボソッと言った。

「あんまりおいしくない...」

イルカは一瞬の間の後、大笑いしていた。なんだかおかしかった。口を尖らせるカカシを見ても、笑いを止めることができなかった。先程までの憂鬱を忘れて、イルカはすっかり楽しい気分になっていた。
イルカの笑い顔を見ながら、カカシもつられて笑っていた。
カカシは鍵盤の上に指を乗せて、ポロンポロンと悪戯に音を奏でた。

「四代目がね...俺の恩師がこの曲を歌ってたんです...この曲は何ていう曲なんですか?」

カカシは出だしの部分を弾いてみせた。

「ああ、『聞け、天使の歌』ですね。...え?でもカカシ先生もご存知のはずじゃあ....」

一緒に連弾までした曲だった。カカシは上手に弾いていたではないか。

「いえ、十三年前に一度聞いたきりです。その時言われたんです。四代目と、初めてできた友達に、一緒にクリスマスを祝ってやるって。...何を今更って思ってました。馬鹿馬鹿しいって...。でも俺ね、本当はすごく楽しみだったんです。すごく、嬉しかった...クリスマスがというよりも...その日を一緒に祝ってくれようとする気持ちが。一緒に過ごせる優しい時間が。楽しみだったんです。ほら、俺、そういうの知らなかったから....。」

でもねえ、とカカシは淡々と続けた。

二人とも、クリスマスが来る前に逝っちゃったんですよ〜。俺だけ残して。
約束を守らないまま。俺は約束を破る奴は碌なもんじゃないと思いましたね。

「思い出したくない記憶だったんですけど、あんたのピアノがこの曲を奏でると、どうしてかな....失ったものを悲しむ気持ちじゃなくて...失ったものが俺にくれた、大切なものを思い出させてくれるんですよねぇ...」

あんたの音はとても心地がいい、とカカシは笑って言った。

イルカはそんなカカシの様子に、怒りのようなものが沸沸と込み上げてきた。哀しい、怒りのようなものが。笑って言うような話じゃないだろ、と怒鳴りたかった。阿呆だ、この人はと思った。いつもいつもいつも。悲しそうな顔をしていた。その理由がやっとわかった。今も悲しそうな顔をしているのに笑っている。阿呆だ、この人。何で我慢しているんだ。
そう言いたいのに、声を出すと自分のほうが泣いてしまいそうで、イルカは黙っているしかなかった。

「ねぇ、イルカ先生。だからこの曲をプレゼントするよ。俺にとっては...とっても大切な曲。だからあんたにあげたい。」

カカシはそう言うと遊んでいた指を、今度はしっかりと鍵盤に下ろす。
その調べはいつもよりも遥かに美しく、優しく、まるで本当に天使が奏でる天上の調べのようだった。

「イルカ先生、歌ってよ。」

弾きながらカカシが強請った。

四代目があの時歌ってくれたように。
あんたにも歌って欲しい。
この聖なる夜を、共に讃える歌を。

歌を、歌って

俺の為に。

イルカは少し躊躇ったような様子を見せながらも、歌を歌い出した。どうにもこうにも音痴な自分が恥ずかしかったが、カカシの気持ちに応えたかった。

イルカの調子っぱずれな歌声はカカシの心を暖めていた。
本当に俺の耳はどうかしている、とカカシは苦笑する。
イルカの調子っぱずれなピアノや歌声は、カカシにはどんな美しい音楽よりも心を震わせるものだ。

ずっと怖かった。泣くのを怖れていた。
自分に涙を許したら、二人の死から立ち上がれないと思った。
だから泣くことを弱さの象徴のように自分に言い聞かせて。
涙を遠ざけることは、二人のくれたものを遠ざけることでもあった。
二人の優しい思い出に蓋をすることでも。

でもイルカと一緒だったら。
イルカが隣りにいてくれたら、こんな弱い俺でも。
その蓋を開けることができる気がする。
イルカのピアノが俺を励ましたように。
イルカの歌声が俺を励ます。

俺はそっと心の蓋を外す。

途端にカカシ、と自分の頭を撫でる大きな手を感じた。行こうぜ、と自分の手を引っ張る小さな手の感触も。
とても大切だった人達。

プレゼントは何がいい?とあの人は言った。
プレゼントは500円までだからな、とあいつが言った。

あの時俺は答えなかった。でも心の中で願っていた。
この愛すべき人々が、ずっと共にありますようにと。

それが俺にとってのプレゼントだと。

カカシは堪らなくなってピアノを弾く手を止めた。突然ピアノを止めたカカシを、イルカが訝しそうに見つめた。「カカシ先生...?」

「俺、泣くのってすごく弱いことだと思ってたんです。泣くのを嫌っていた....でもあんたを見てたら、我慢するのも馬鹿らしくなっちゃって。あんた泣きっぱなしだから。」

あんたが隣りにいてくれるから。
俺はきっと大丈夫だよね?今なら俺は。
我慢しなくても。

カカシは最後の言葉は自分の胸に飲みこんで、自分は座ったまま、立っているイルカを抱き寄せた。そして小さく言った。

俺も泣いてもいいですか?

イルカがその言葉にビックリしてカカシを見ると、カカシの体は小刻みに震えていた。カカシは泣いていた。込上げる嗚咽もそのままに。子供のように泣きじゃくっていた。イルカは突然なんともいえない感情がこみ上げてきて、自分からカカシを抱き締めていた。この人はずっと我慢してきたのだ。一人で我慢し続けてきたのだ。そう思うと胸が締めつけられるように痛んだ。それと同時に酷く安心していた。悲しい顔をして笑っているより、泣いた方がいい。泣いてくれた方がいい。

あんたが泣くのを自分に許せないというなら、何時でも側にいて言ってあげたい。
泣いてもいいですよ、と。我慢しなくていいですよ、と抱き締めてあげたい。

カカシ先生が俺の涙を拭ってくれたように。

優しく。

イルカは思わず零れ落ちるカカシの涙を指で拭った。すぐにびしょびしょになる指先を諦めて、今度はその涙に唇を寄せる。幾らでも零れ落ちる滴をイルカは一生懸命舌先で掬った。夢中だった。
するとカカシがそっと唇を重ねてきた。その感触にイルカは突然正気づいた。

お、俺は今一体何を...!?じじじ、自分からキ、キスのようなことを....!

自分自身の行動にあわわあわわと混乱している間にも、カカシの口付けは何度も繰り返され、回数が増すごとに施される口付けは深く甘くなっていく。カカシの指先がイルカの頭の方に回されて、額当てを解いたのが分かった。するとカカシは早速露になった額やこめかみに口付けを落としながら、イルカの耳元で息を吹き込むようにそっと囁いた。

「イルカ先生からのキス...すごく嬉しい。好き、好きです....イルカせんせ...」

その熱い吐息のような言葉を聞いたら、イルカはなんだか腰の辺りからスーッと力が抜けてしまう感じがした。カカシはそんなイルカをより強く抱き締めて、先程とは打って変った激しい口付けでイルカの口腔を犯す。カカシの舌先がイルカの舌に絡みついてはきつく啜り上げる。飲み込み切れなかった唾液がイルカの口の端から零れると、それすらも惜しむようにカカシは丹念に舌で舐め上げた。カカシの左手は何時の間にかイルカのアンダーの下に潜りこみ、敏感な突起を思うさま摘んでは、指の腹で転がすように揉みしだいた。

「...あっ...あっ...ふっ...あぁっ....!」

口付けの合間に自分が零す淫らな喘ぎ声に、イルカは全身を赤くした。

ななな、何喘いでるんだ...!や、止めてもらわなくちゃ...お、俺、俺はこんなつもりじゃ...!

イルカはそう思うのにカカシの絶え間ない巧みな愛撫に、口から出るのは嬌声ばかりだ。今も首筋を舐め上げたカカシの舌が耳孔に突っ込まれると、イルカは自分でも信じられないほどの声を上げていた。体を電流のようなものが走り、ビクビクと体が震える。イルカの下半身に甘い痺れを伴う熱が急速に集まっていく。カカシはそんなイルカの反応を楽しむように、しつこく耳孔を舐った。ぴちゃぴちゃと濡れた音がイルカの頭にに直接的に響いた。

「ああっ...!や...はっ.....や、やめ...」

イルカが思わず腰を落としそうになると、カカシは手でそれを制した。蓋を閉めたピアノに手をつかせてイルカにその体を支えさせると、カカシは背後から抱きこむようにしてイルカの体を弄った。

「か〜わいい、イルカ先生....耳気持ちいい...?もっと、気持ちよくしたげる...」

カカシはそう言うと、右手をイルカのズボンの中に滑りこませた。驚いて身を引こうとするイルカの動きを封じるように、最初から激しい勢いで握った手を上下させた。自分の手よりも巧みな動きにイルカはあっという間に追い上げられた。

「あ...や....もお....で、でるっ....!」

イルカが首を左右に緩く振って、カカシの手を剥がそうと必死になる。カカシの手の中で出してしまうのは嫌だった。しかしカカシは意地悪く手の動きを激しくして、「出していいよ...俺の手に、いっぱい出して。ね...?気持ちいいでしょ?我慢しないで....」と卒倒するようないやらしい言葉を投げかける。

こ、この....!

イルカは内心罵りの声を上げながら、「あ、ああっ...!」と一際高い嬌声を放ってカカシの中に勢いよく吐き出してしまった。つきぬけるような気持ちよさと共に体から一気に力が抜けていく。イルカのずるずると下がっていく体をそれでもカカシは引き上げて、ピアノに凭れかけさせた。

「床の上でもいいんだけど...敷くもんないし。イルカ先生が擦れて痛いだろうから...」だから、ね?我慢して立ってて?

はあはあと荒い息を吐きながら、ぼんやりとした瞳でカカシを見つめ返すイルカの姿にカカシは頬を緩めた。
イルカは自分のズボンの中を伝い落ちる精液の感触に顔を顰めながらも、荒い息を整えるのと混乱した頭をまとめるのに精一杯だった。

カカシ先生に...い、いかされてしまった...

そのショックと羞恥と気持ちよさと。綯交ぜになった感情に茫然としていると、カカシが一気にイルカのズボンを下げた。

えええっ!?

イルカが慌てて逃げようとしても、背後からガッチリ抱え込むようにして押えつけられた体は少しも動かすことができなかった。双丘の狭間にカカシの指が滑りこんできた感触にイルカは思わず悲鳴を上げた。

「や、やめてください...!そ、そんなとこ...やっ...!」

イルカの吐き出した精液で濡れた指先は、案外易くイルカの蕾に潜りこんでいった。

「やあ....っやめ....」

指が出たり入ったりするたびに、グチュグチュといういやらしい水音が音楽室に響いた。

「カカシせんせえ...やめ...てっ....」

顔を赤くさせながら眉を寄せて懇願する姿は、カカシにとって煽る材料にしかならなかった。

「駄目...そんな顔されたら、我慢できなくなっちゃうデショ?それとももう欲しいの...?」

カカシは興奮したような声で、固く張り詰めた熱棒を引き抜いた指の代わりに、イルカの蕾にあてがった。その瞬間イルカの体がヒクンと揺れた。

まさか...

イルカが怖くなって腰を引こうとしたのを引き戻して、カカシは一気にイルカの中に侵入した。

「ああぁぁ.....っ!」

イルカの奥の奥までもが、隙間なくぴっちりと熱い質量で埋められていく。カカシは根元までイルカの中に自分のものを埋めこむと、満足げに溜息をもらした。

「気持ちいー…イルカ先生。ねえ、ずっと一緒にいてね...?」

カカシはそう囁きながら、自分を引き抜くようにして、またパンッと大きく中を穿った。

「ああっ...はあっ...」

返事もできないイルカを掻き抱くようにして、カカシは何度も出し入れをした。
大きく激しく突き荒らしながら、しなるイルカの背中をきつく抱き締めて、カカシは何度も耳元で囁いた。

ずっと、一緒にいて。
ずっと
ずっと。
俺の側から離れないで。
俺を置いていかないで。
好き
好きです
イルカ先生

その切ない声で紡がれる言葉に、イルカは何度も夢中で頷いていた。




「あ、雪ですねぇ....」

カカシがイルカを背負いながら、空を見上げて呑気な声で言った。白い雪がちらちらと空から舞い落ちる。その雪の美しさを眺めながら、イルカは少しだけ、疲れた身心が癒されるのを感じた。本当に少しだけだが。あれからカカシに散々したい放題されてしまったイルカは、腰が抜けて立てなくなっていた。怪我人に背負われるのは気が引けたが、よく考えればこのクサレ上忍のせいなのだ。気を遣うことはない、とイルカは自分に言い聞かせた。ケーキも料理もまだ口にしていなかった。イルカの家に着いたら一緒に食べよう、とカカシは言うが、果たして起きていられるか自信がなかった。それにカカシは病院に戻らなくてもいいんだろうか。怪我はどうなっているのか。しかし、そんなことより、今日最も驚いたのは。

「イルカ先生、来年もクリスマスを一緒に過ごしましょうね。」

「はい....」

カカシの言葉に素直に頷いてしまう自分だった。断るつもりだったのに、イルカは思う。でも、自分の好きもカカシの好きと同じようだったのだ。まだカカシのように堂々と口にしてはいないけれど、カカシの涙を受け止めるのは自分でありたいとあの時強く思った。そして自分の涙はカカシに拭って欲しいと。

「また、あの歌を歌ってくださいね。」

カカシは嬉しそうに言った。あの下手な歌をと思うと、イルカは少し恥ずかしいのだが、やはりこっくりと頷いてしまう。そしてふと思いついたようにイルカは言った。

「今から一緒に歌いましょう。」

カカシは驚いたような顔をして、背中のイルカを見遣った。

「カカシ先生、歌ってね、一緒に歌う方が楽しいんですよ。だから歌を歌いましょう、俺と一緒に。」

この聖なる夜に、
愛しい人と共に過ごせる喜びを、確かめ合うように。
一緒に歌を歌おう。

カカシは背中越しに何度も何度も頷いた。その背中が震えていた。
イルカはキュウッとカカシの背中を抱き締めて、調子っぱずれな歌を歌い始めた。
カカシは少し歌うと詰まってしまって、なかなか歌にならない。

歌っているのは讃美歌なのに。

イルカの心の中ではそれはまるで違う歌になっていた。
カカシが頬を拭ってくれた時から、きっと俺はその歌を歌いたかったのだ、カカシと一緒に。

イルカは自分の心の最後の鍵を外す。

隠していた、その言葉を伝えるために。


「俺、カカシ先生のことが....」




終り



「聞け、天使の歌」

聞け、天使の歌
「御子には栄光、地には平和あれ、世の人々に」
ダビデの村に 生まれし御子を
世界の民よ 共にあがめて
聞け、喜びの 訪れの歌。

御子キリストこそ 永遠にいます主
神の時満ちて 乙女に宿り
人となりたる 神のみことば
インマヌエルの主 今宵生まれぬ
聞け、喜びの 訪れの歌。

光をもたらす、義の太陽よ
救いと命と 平和の民よ
死すべき人を 生かすためにと
御子は生まれぬ まぶねの中に
聞け、喜びの 訪れの歌。

Merry Christmas!
皆さん、楽しいクリスマスを!



長らくお付き合い頂いて、本当にありがとうございました!!  

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