君たちキウイパパイヤマンゴーだね その2

「えっ、俺がこの歌を…?」
カカシの言葉にイルカは吃驚した。そんな記憶は微塵も無い。
「イルカ先生、火影様からの下賜品で、マンゴーとか珍しい南国の果物を持って帰ってきた事があったでしょ…?」
「あ…っ、そういえばそんな事もありましたね!覚えてますよ、だって初めて食べましたからねえ、マンゴー…!」
イルカは目をきらきらさせて頷いた。
夏のとばくち、お中元の季節。食べきれないからと、火影様がアカデミーで果物やら何やらをお裾分けしてくれたのだ。
ドラゴンフルーツ、キウイ、パパイヤ、マンゴー…
普段は滅多に口にする事のない色鮮やかな果物の、美味しかった事…!
イルカはじゅるっと涎を啜りながら、
「ははあ、その時南国の果物を食べながら、俺はこの歌を口ずさんだんですね、成程…!」
なんの捻りも無いところが俺らしいなあ、と非常に納得した。
だが、それが何だと言うんだろう?
イルカが首をかしげていると、カカシがぼそぼそと続けた。
「イルカ先生…この歌を口ずさみながら、『いいですよねえ、青い海白い雲、海辺のバカンス。海で泳ぎ疲れたら、デッキチェアに寝転がって、果物を一杯飾ったブルーハワイって奴を飲む…夢ですよね〜夢。』って言ったんです…だから俺…」

イルカ先生の夢を叶えてあげたくて。

小さく呟くカカシにイルカは思わず茫然とした。何気なく言った言葉だ。言った自分ももう忘れてしまったような、他愛の無いその場限りの。

そんな言葉をこの人は真に受けて…海にこだわっていたのか?

てっきりいやらしい目論見があって、海にこだわっているのかと思っていた。
だけどそれが自分の為だったとは…
イルカはカカシに対して申し訳ない気持ちになった。的中率の高い筈のイルカの変態予報は大外れだ。

本当にこの人は時々俺の予想の上を行くよな…

変態性ではなくて、その優しい思いやりで。
感動に胸を詰まらせるイルカの手を引き、カカシはビーチマットの上に座らせた。ごそごそと荷物の中から何やら容器を取り出す。
よく見るとその容器の中にはキウイ、パパイヤ、マンゴーなどが切った形で入っていた。
カカシはラブストロー付水筒の蓋を開けると、その縁に黙々と果物を飾っていった。最後にハイビスカスの花をあしらって、水筒をイルカの手に握らせる。水筒の中を覗くと、青い液体がチャプンと揺れていた。ブルーハワイだ。よく冷えている。
「カカシ先生…」
「台風近くて…青い空も白い雲も無いけど…海はくらげだらけで泳げないけど…少しはバカンスの夢、叶えられた…?」
おどおどとイルカの様子を窺うカカシが可愛くて、イルカはぎゅうっとカカシを抱き締めていた。
「勿論です…!俺のバカンスはこれで十分ですよ…!」
「イルカ先生…っ!」
カカシも負けじとぎゅうっと抱き付いてくる。今泣いたカラスがもう笑っていた。
「折角だから、ブルーハワイいただきますね…!」
イルカがラブストロー(吸い口が二つついている、恋人向け仕様のもの)に口をつけると、えへへとカカシが頬を染め、反対側の吸い口に口をつける。顔が非常に近い。
「えっ、カカシ先生も一緒に飲むんですか…!?」
浜辺に他に人影はないのだが、イルカはあたりをキョロキョロ見回してしまった。
人目がなくても何となくこっぱずかしい。渋るイルカにカカシが唇を尖らせる。
「ブルーハワイをラブストローで一緒に飲む事が夏のバカンスでの、俺の夢だったんです…!」
「う…っ!し、仕方が無いですね…」
なんてハードルの低い夢だと思わなくもなかったが、お互い様だ。

カカシ先生も俺の夢の為に一生懸命だったんだから、俺もカカシ先生の夢実現の為に協力しよう…!

二人でブルーハワイをちゅうちゅう啜っていると、ぽちゃんと水筒の中に何か水滴が落ちた。いよいよ雨が降って来たのかな、と思っていると、その水滴に水筒のブルーが紫色へと変化した。それは赤い水滴が落ちた事を物語っていた。

ま、まさか…!

イルカが恐る恐る視線をカカシに向けると、カカシの鼻から夥しい鼻血が流れ出ていた。水筒の縁に飾られた果物は血に塗れて、全てトマトの様な色合いになっている。台無しだ。
「ああっ、折角のフルーツが…!」
カカシの鼻血に慣れたイルカの意識は、一瞬台無しになった果物の方に集中した。
だから逃げ遅れてしまった。
「イルカ先生…っ、俺っ俺…っ!!!!」
はあはあ息を乱すカカシがガバーッとイルカを押し倒すと、その耳元で囁くように言った。
「鼻血で駄目にしちゃったけど…キウイとパパイヤとマンゴー…俺がちゃんとイルカ先生に堪能させてあげますから…!イルカ先生の夢の為に頑張ります…!」



その言葉通り、イルカはその後散々キウイとパパイヤとマンゴーを堪能させられた。
「先ずはパパイヤ。イルカ先生のパイパイを、いや(嫌)って言うほど可愛がってあげますからね〜!」
パイパイいやいやでパパイヤ…本気で言っているカカシが恐ろしい。なんて恥ずかしい台詞だろうか。やっぱりこの人は変態だとイルカは今更ながらに痛感した。絶対に「いや」なんて言うまいとイルカは思うのに、カカシに執拗に乳首を捏ね繰り回され、口に含まれ唾液でベトベトにされると、
「あっ、あぁ…っ、カカシせんせい、い、いや…っ、ああっ」
カカシの思惑通りに「いや」と叫んでしまっている自分に、イルカは顔を真っ赤にした。
「次はキウイ。イルカ先生のここでキウキウ俺を締め付けて。そうしたらいいところ一杯突いて、掻き回して、イイってよがり捲くらせてあげる…」
尻の狭間にカカシの熱棒をずぶずぶと埋め込まれて。
そんな恥ずかしい事絶対に言わないという決意は、揺さぶられて激しく打ち込まれて、あっという間に崩れ去った。
「あぁ…っ、や…っ、」
「やじゃないでしょ、イイでしょ?」
感じる場所ばかり突き荒らされて、あまりの快楽に逃れようとすれば、腰を強く掴まれ引き寄せられた。奥の奥まで犯されて、イルカは我を忘れてよがり捲くった。
「ね?イイでしょ…?イルカ先生…」
「んぁ…っイイ…っ…あぁっ…!」
イルカが堪らずに前を弾けさせると、カカシは絞られた後孔から強引に己のモノを引き抜いた。
喘ぐイルカの顔に向って、その熱い欲望を噴き掛ける。カカシは満足げに荒い息を吐くと、指先でイルカの顔に掛けた精液を拭い、イルカの口に咥えさせた。
「で、これが俺特製マンゴージュース…な〜んか、青臭くてどろっとしたところが似てると思ったんだよねえ、」
イルカ先生のバカンスの夢の為に、俺頑張ります!幾らでもおかわりしてください、とカカシは張り切りった。

ち、違う、俺の考えていたバカンスは…夢は…こんなんじゃ…
食べたいフルーツもこんなんじゃない…!俺の事を思ってくれてるのは分かるんだけど、頑張りどころが間違ってるんだよな〜ほんと…

そう言ってやりたいのに、荒い息を整えているうちにカカシにまた伸し掛かられて。
キウイパパイヤマンゴーなバカンスは過ぎていったのだった…

こうしてまたイルカの嫌いな食べ物リストに、キウイ・パパイヤ・マンゴーが加わったのは、言うまでも無い。


終わり(お付き合いいただいてありがとうございました!)