2011年3月11日

俺達的解禁‘11

(俺)



 今年も解禁日から少し遅れて、ようやく俺達的な渓流釣りの開幕となった。

 夜勤明けのまま直行した先は約2年ぶりとなるS河内。今日は急いで中流部まで遡行して、約3時間の釣りを楽し んで戻ってくるという強行日帰り釣行だ。

  約2年ぶり

 完全に陽が昇った林道を限界まで車で詰めたのはAM10:00だった。日陰の部分にはまだまだ雪が残っていて 若干肌寒い。
  幸い他の釣り人の車は無かったものの、息をつく暇もなく急いで身支度を整えて車を出発する。出来るだけ早く目的地 に着き、少しでも釣る時間を確保しなくては。

 相変わらずのデンジャーな踏み跡を辿り、河原歩きへと移行した頃にはちらほらと雪が舞ってきた。さっきまで晴 れていたと思った空が何時の間にか曇っている。

 暫く河原を歩いていくと伏流していたS河内本流が現れた。なんとも懐かしく、幸せの雰囲気すら運んでいるよう に感じられる流れである。

 渓流釣りの頻度が減ったせいか早くも足元が怪しくなってきたが、そんなことを気にしている暇はない。久しぶり の渓流に触れて、早く餌を捕って竿を出したいという欲求がより強くなった。

 目的地としているエリアはイワナとアマゴの混生で比較的数・型共に期待出来るポイントだ。魚が居る事はわかっ てはいる。
  ・・しかし川がカーブする毎に現れる澄んだ深淵にはついつい目を奪われてしまう。

 そして野生の鹿に2回遭遇した頃、川の蛇行が著しくなってきて、そのうちの一つの淵で遂に最初の魚影を確認し た。
  上流側を向いて中層をフラフラと行ったり来たりしているその姿は8寸程のアマゴの様だ。

 よしよし、活性も悪くはなさそうだ。早く目的地まで行かねば。

8寸イワナが見える

 そして雪が降ったり止んだりの状況の中を歩き続けて2時間程経った頃、某大淵の脇で初めての休憩を取る。

 するとここでも8寸クラスの黒っぽい魚影を確認。胸鰭の端が白いのでイワナだという事がわかる。

 エメラルドグリーンの澄んだ水に食べ頃サイズのイワナ・・。目的地までは残すところ歩いて30分位か。

 ・・うーん・・よし、ここから釣り始めてしまおう!

 時刻は既に正午を回ったという事もあり、明らかに釣れる状況が理性に止めを刺して俺に今シーズンの初釣りを決 断させた。

 急いで餌取りを敢行し、数匹のオニチョロを餌箱に投獄。

 今年初の川虫との出会いの感傷に浸る間も無く竿を伸ばして仕掛けを確認し、挨拶代わりに川虫の尻から針を刺す。

 しかしいざ仕掛けを投入しようとしたら、何時の間にか魚影は何処かへ隠れてしまったようだ。殺気が伝わったか。

 仕方がないので適当に仕掛けを投入して釣りを開始したものの、なかなか反応が無い。少しずつ探りながら様子を 見るが、どうもこの淵の住民達に避難勧告が発令されたようだ。

 イカン、こんな所でいつまでも時間を費やしてはいられない。早いところ目的のエリアまで行ってから釣った方が 得策だろう。

 大淵に見切りをつけた俺は淵の中を通して先を急ぎ、それ以降は余程の大場所でもない限りは歩きに徹するように 心掛けた。

 そして歩く事30分、ようやく目的地の渓相が目に入ってきた。時間を確認すると14:05。うわっ、あと1時 間しかないじゃないか。

今シーズン1発目

 言われるまでもなく速攻で最寄りの淵に忍び寄り、ど真ん中のゆったりした流れに餌を流し込む。こんなタイミン グで雪も大粒になってきた。

 そして間もなく、流れに合わせて移動していた目印に異変が起こり、アワセを喰らわせると無事に獲物がHIT!

 今年の初HITはなかなか重い手応えで楽しませてくれる。6.1mの硬調竿を弓なりにして応戦し、そのうち無 事にタモ入れに成功した。

 俺の今シーズン初の獲物は9寸のアマゴだった。なかなか型も良いが、実はなんとスレ掛かりだったのだ。
  一体どうやってアタったのか不思議だが、針は脂鰭の付け根に刺さっていた。でも1発目の引き応えとしては満足である。

 久々の納得サイズに見惚れながらも写真撮影後は活けキープとしておき、餌は再利用でそのまま水面へ放り込む。

 すると3回程仕掛けを流したところで2匹目がHIT。今度は7寸のアマゴだったのでリリースし、足早に次の淵へ と移動した。

 今日は自宅や親族で味わう為に出来るだけキープする事を重視している。特に俺個人のお目当ては骨酒用の7寸クラ スのイワナである。あとは刺身用に9寸以上も1匹欲しいかな。

 そんな事を考えながら次の淵を探っているとそこそこのサイズの獲物がHIT。引き応えを充分に楽しんでからネッ トランディングさせてみると、またもや9寸アマゴだ。

 よしよし、予想通り魚影は濃いし活性も良いな。

 雪は相変わらず降り続けているが、小粒になったり大粒になったりと落ち着かない。寒さで指先が麻痺してきたりも するが、釣っている最中にも空いた手を握ったり開いたりと動かして血行を良くする事で麻痺は解除出来る。
  竿を持ち替えては交互の手でそれを数回繰り返し、自分のコンディションを保つのだ。

骨酒用イワナGET

 そして少し探ったところでようやく今年初のイワナを釣り上げた。サイズも22cm程と、今日のストライクゾーン の獲物である。

 キープ網での確保も面倒になってきたのでここで全てのキープをノジメに処してクーラーへ移した。以後釣れる度に ノジメしていくという方針に切り替えた。

 この後、撤退の時刻が差し迫る中を急ピッチで釣り上り、8寸クラスの獲物を3匹追加。
  まだまだ明るい時間なのに終了しなければならないという事が辛いところだが仕方がない。これはやはり泊まり掛けで来た くもなるというものだ。

 釣る事で忘れていた疲労がジワリと存在感を滲ませるが、そんな中で最後の1投と決めて放った仕掛けに重量感のあ る獲物がHIT。

 それまでの9寸クラスで引き味は充分に堪能していたので、時間短縮とばかりにやや強引に獲物を引き寄せてランデ ィングすると、刺身用に出来る9寸ハイブリットだった。

 よし、時間もギリギリだし目的の獲物も揃ったのでここで終了だ。しかし三度大粒の雪が降り始め、風に煽られてき てS河内の渓相はまるで雪国の様な絵面と化してしまった。

 さてここからまた急いで車まで帰らなければならないが、来たルートをそのまま引き返す労力を考えると憂鬱だ。

 それにこの天候では予想より早く暗くなりかねないうえに、今の俺は夜勤明けのままで久々の河原歩きなので若干心 配でもある。
  以前までのように勝手知ったるS河内などとと言える気力はないのだ。

 急いで竿を仕舞い、使わなくなった装備品はコンパクトにまとめて早々に川を下り始めた。

 しかし間もなく足が上がりにくくなり、歩行ペースが落ちてきた。頻繁に小休止を入れながらも、もはや吹雪のS河 内を一人無心で下り続ける。

 そして17時07、どうにか真っ暗になる前に無事車まで到着する事が出来た。車には少し雪が積もっていたが、特 に問題は無さそうだ。
  エンジンをかけて装備類を下し、ようやくS河内から離脱した。

 こうして俺の2011年の渓流釣りは満足出来る内容で開幕した。次回はどこへ行こうか。



しかし疲れた・・



戻る