2010年5月2日〜3日

俺達的GW釣行‘10

(俺・ナオキ)



 ようやくGWを迎えた俺達は、2日の深夜にナオキの四駆で大井川の源流域を目指して地元を出発。

 今回は予てから密かに検討していた盛期のN川釣行ということで、俺達的に2年ぶりとなる釣り場での1泊コースだ。

  2年ぶりのN川出会い

 前回の下見で得た情報が役立ち、少々特殊な方法によってAM6時過ぎには無事にN川出会いに辿り着いた。

 先行者も無く、既に明るくなった空は予報通りの快晴だ。

 このN川ならば過去の実績は充分である。
  昨年以来まともな釣果に恵まれていない俺達としては、実に期待値の高い環境へ来ることが出来たのだ。

 そして出合から少し遡行した広い河原をテンバ予定地と決めて主な装備品を置いて、俺達は早速軽装でN川の遡行へと移行した。

 このN川は比較的難所の少ない支流なので、今回の俺達的な足元の装備はウェーダーである。

 気温は暖かいが、雪代で若干水位が高いし水温自体が冷たいので体感温度としてはバランスが取れている感じか。

 万一滑落したりコケたら危険な装備だが、割と快適な状態での遡行である。

 とりあえずは初日の釣りとして、いつもの場所で餌捕りを敢行してからある程度遡行したポイントから竿を出し始めるという予定で進 む。

遡行中

 2年ぶりとはいえN川の渓相はそれほど変化も無く、予想通りスムーズに餌捕りポイントまで行く事が出来た。

 餌捕りの方も少し梃子摺ったが、それも無事に確保してようやく釣り開始ポイントへ辿り着いた。

 そしてそれまで押さえつけてきた感情を開放し、俺達はそれぞれ餌釣りで竿を出し始める。

 しかし期待とは裏腹に、暫く釣り上ってみても反応が無い。

 このN川は上流へ行けば行く程魚影が濃くなる傾向にあると思ってはいたが、いつもなら確実にアタリが出るポイントに至っても生命 反応が得られない。どうしたことか。

 幾つもの好ポイントを過ぎ、気持ちばかり焦る俺達。

 今まで外した事の無い大場所の滝まで空振りを喰らった俺達は次第にサクサクと歩を進めるようになり、本日初釣果を求めて焦りが募る 。

 そして9:40頃になって、ようやく待望の1発目が来た。驚いた事に俺とナオキが別々のポイントでほぼ同時にHITしたのだ。

やっと釣れ始めた

 俺的に実に久しぶりの渓流魚の引き応えを堪能し、大事にランディングに導いた獲物は痩せた錆付きの6寸ハイブリット。

 サイズや型なんてどうでも良い。今年もこのN川の元気なイワナに会えた事でまずは一安心だ。

 ナオキの1発目も痩せ気味の7寸ハイブリットだったが、まずは今回来てからの初釣果に安堵の笑みがこぼれた。

 そして撮影後にリリースすると間も無く2匹、3匹と連釣し、俺もナオキもそこから急に釣れ始めるようになった。

 釣れてくる獲物は8〜9寸が多いようだが、たまに小型も混じる。

 それまでの無反応は何だったのかと思うくらいの事態の好転ぶりに少し戸惑うところもあったが、何はともあれようやく本来のN川の 釣りを味わえるようになって嬉しい。

 適度に活けキープをしながら釣り上って行くと、予想よりも早い時間で魚止まで到達した。

 序盤の釣果がなかなか出なかったからサクサク進んだ結果である。時間的にはまだまだ充分ある。
  という事は・・。

5年ぶりの遡行

 予定外の事態ではあるが、急遽魚止の上流へ行く事として竿を一旦畳んだ。

 この川の魚止上流部はかつて一度調査をして魚影の確認とルートの確立が出来ているのだ。

 念の為に・・と、ナオキが持ってきた20mのロープが役立つ事となり、急角度の高巻きを敢行。

 そして俺達は5年ぶりとなる魚止上流部へ降り立つことが出来た。

 久しぶりに訪れた源流部は前回の時のような雪は見当たらず、スムーズに釣り始められる。

 そして間も無く期待通りに魚信を得て、今年もこの源流域のイワナ達の健在ぶりを確認することが出来た。

 ここまで来ると日陰には雪の塊も見られるようになった。

 釣れてくるイワナ達の固体差は激しく、錆で真っ黒なものや越冬したとは思えない程型の良いものも釣れる。

 俺達は魚止以遠の獲物は全てリリースを心掛け、今日は時間の許す限り釣り上る事として進んでいく。

9寸ハイブリット

 ナオキはテンカラに切り替えてサクサクと進むが、どうも毛鉤に出る程の活性は無いようだ。

 この日の為に自作したオリジナルは今回は不発か・・。

 しかしある程度遡った頃、ナオキの後を餌釣りで拾っていく俺も何時の間にか反応が遠のいてきてしまった。

 既に以前来た時に切り上げたポイントまで到達しているが、渓相も水量もまだまだ魚影が充分期待出来る環境だ。

 これは一体どうしたことか。魚止らしい滝も無いまま魚が居なくなったのだろうか?

 と、思っていたら突然上流から大きな黒い鳥が滑空してきて、飄々と俺達の上を通過していった。

ナ:「!?」
俺:「えぇー・・??」

 こんな山奥では見慣れないはずのその黒い鳥は、間違いなく下界で散々見慣れたあの「鵜」だったのだ。

これも9寸

 今まで渓流釣りを10年程やってきた中でこんな事は初めてだ。しかし今思い返せば今年の解禁釣行の際、某ダムのほとりで見かけた 黒い鳥も鵜だったような気がする。

 それにしてもこんなエリアまで進出してくる程まで種が繁栄しているのだろうか?海や下の方の川と同じように渓流魚を捕らえること が出来るのだろうか??

 様々な疑問が浮かび上がる中、魚信が止まった渓を惰性で釣り上っていく際にも2回、3回と上流側から鵜が滑空してくるのを目撃し 、もはや見間違いとか偶然ではない事を悟った。

 そして更に釣れなくなったまま辿り着いた大場所の岩の上にも鵜が止まっており、観察していると何かを吐き出すような仕草をしてい た。

 鵜やカワセミの類は食った獲物の骨などを団子状にして吐き出す習性がある。万一コイツ等がこんな源流で渓流魚を捕らえることが出 来たとしたらその証拠が見つかるかもしれない。

 警戒心の強い渓流魚に限ってはこんな鵜の餌食になるわけがないだろう・・と祈るような気持ちで、俺は鵜が吐き出した物を確認に 向かってみた。

 しかし大きな岩を乗り越えてみると、なんとそこには消化され掛けて白くなった尺岩魚が転がっていたのだ。 なんてことだ・・俺達的にショックは大きい。

 こんな奴等が行く先々でポイントを荒らすようになっては好釣り場も非常に危険である。これは大井川でルールを守って釣る人間にと って今後、大きな問題となるだろう。

久しぶりの屋外ディナー

 ショッキングな状況を目の当たりにした俺達はそこで本日の釣りを諦めて各地の活けキープを拾い、それらを生かしたまま下って、ど うにか日没前にテンバへ戻ることが出来た。

 予定外の長距離を移動した俺達は疲れを癒す間も無く、沈みゆく太陽と競うように夜を過ごす支度に追われる。

 薪集めは幸いにも良質な物が大量に確保出来て、久しぶりのテントも無事に設営。

 ナオキが火を熾してヤカンをセットする間に、俺は米を磨いで魚に串を打つ。疲れてはいるが、充実の時間でもある。

 そして暫くぶりの屋外ディナーも難無く済ませ、焚き火と満天の星空を眺めながらコークハイを流し込む。

 源流部で見たあの鵜が何故獲物を吐き出したのかは謎だが、それを思い返すと今後の渓流釣りが心配になる。

 今回の釣行でも、いつもならば確実に釣れるポイントが沈黙したのは奴等が原因と考えれば一応説明もつくが、今は奴等がこの流域に 長居せずに下界に帰る様に祈る他はない。

 22:40頃に久しぶりの寝袋に収まった。

 

 翌3日、AM4:30の目覚ましで起床すると昨夜は夜露も無かったようで、外は快晴の兆しである。一足先にテントから出たナオキ が火を熾してくれて、俺達はゆっくりと朝飯の仕度に取り掛かる。

 今日はテンバの片付けと昨日竿を出さずに飛ばした下流部を釣ってから帰還するだけのプランだ。

 朝の米は2人で2合半ではちょっと多かったな。いつも通り上手く炊けたのに食い尽すのに苦労したのは初めての事である。

渓相

 そして朝7時を過ぎた頃に一通りの片付けも終わり、俺達は2日目の釣りへと向かった。

 前日のうちに確保しておいたオニチョロを使って、俺は昨日素通りした好ポイントを拾って釣り上る。

 ナオキは昨日の日券しか買っていないのでとりあえずは俺が釣れるまでは様子見で、俺が釣れ始めたら竿を出して帰り際に日券を購入 するという方法を取る。

 このN川では基本的にハイブリットばかりが釣れるが、かつて1匹だけ型の良いアマゴが釣れたことがある。

 今が遡上期ということもあるのでそれを期待してのアマゴ狙いでもあるのだ。

 ・・が、幾つもの大場所や好ポイントを攻めたものの、遂に俺の穂先は生命反応を感知する事が出来ないまま2時間半程経過。

 昨日充分釣った事だしそれらを数匹キープ出来ているので、俺達的に今日はもうこれ以上上流は攻めないで早めに川を下ることとした。

 そして汗ばむような快晴の下、心地良い向かい風の中を突き進んで無事に車へと到着。

 久しぶりの泊り掛け釣行は渓流では初となる試みと日々の運動不足が露になり、全身に疲労が溜まったものの楽しい釣行となった。

 次の機会は何時になるかは未定だが、今はその思い出を出来るだけ鮮明に記録しておこうと思う。

 

今回のキープ分



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