2008年9月28日 |
失策 |
(俺) |
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いよいよ今シーズンの渓流釣りも最後の釣行となってしまった。ここ数年、9月はあまり良い経験をしていないだけになんとか良い釣
果を出して、有終の美を飾りたいものだ。
今回も単騎な俺は前日夜のうちに自宅を出発。目的地のI沢の車止めを目指して車を走らせた。
しかし目的地に近付くにつれて、林道脇に停車している釣り人の車が目立つようになってきた。それなりに早めに出発してきたとは言 え渓流釣り最後の週末なだけに、目的地一番乗りが出来るか心配になってきた。
そして間もなく目的地に到着・・という時になって、俺の車の前方に1台の車が走っているのを発見した。イカン、このまま進むと目 指す車止めが空いていた場合、先に車を停められてしまいそうだ・・かと言って追い抜き出来るような道幅でもない。
前の車が目的地を素通りしてくれる事を祈ったが、悪い予感は的中。僅かな差でI沢の車止め一番乗りは奪われてしまい、俺は早くも 予定を狂わされてしまった。あぁ、あと30分早く出発しておくんだったなぁ・・。
仕方がないので急遽予定を変更し、ルートを変えて別の支流を目指して車を走らせ、ようやく無人の車止めに停車する事が出来た。
しかし安心して缶ビールを飲み始めても、後から続々と他の車が来ては戻り、なかなか落ち着かない。後から来てちゃっかり同じ場所に車
を停めるような輩がいないか時々監視しつつ、仮眠を取って翌朝を迎えた。
翌朝、幸い他の釣り人の車は来ていない。しかしまだ油断できる時間でもないので、まだ真っ暗な早朝から朝飯を喰らってAM5:3 0に車を出発する。目指すは3年ぶりとなるO俣だ。
薄暗い中、久々の踏み跡を辿りながら釣りのプランを考える。前回来た時は一気に上流部まで歩いて魚影の濃いエリアを堪能したが、 今回は日帰り釣行だからあまり歩きに時間を掛けたくない。早めに竿を出して、まだ知らないこの川の下流部・中流部を探ってみるべきか 。
しかし考えに考えた結果、3時間程度歩いてでも確実に釣れるであろう上流部を目指す事に決めた。有意義な釣果を出す為に多少のタ イムロスや努力は惜しんでいられないし、本日一番乗りだからなんとかなるだろう。
段々と明るくなってくる渓相の中、踏み跡から外れて川通しでO俣を遡行する。
渇水状態の川を軽快に進んでいくと、チラホラとイワナらしき魚影が見える。中には2〜3cmの稚魚もいたりして心を和ませてくれ
る。
後から来るであろう釣り人の為に、場を荒らさぬように極力流れから離れた所を通って先を行く。
ところが、2時間程歩いた頃になって突然前方に1人の釣り人が見えた。
目を疑ってしまうような状況だったが、湧き上がった色々な感情はひとまず置いて話しかけてみる。
どうやらその釣り人は前日からかなりの距離を歩いてこのO俣上流部へ降り立ち、そこで別の釣り人達に遭遇したので止むを得ず下っ
てきたようだ。
そういえばこの川は上流部に登山道が繋がっているのを今頃思い出した。車止めからの距離を考えると頭ハネと言えるレベルの話ではない
ので仕方がない。
俺とその釣り人は出会った場所を基点に、それぞれが来た方向へ戻りながら釣る事となってしまった。
なんて事だ・・こんな事ならもっと下流から竿を出し始めていれば良かった・・。それまで遡行してきた流れを振り返り、ただただ落 胆するばかりだ。
今の今通ってきた流れで魚が釣れるとも思えなかったが、一服して少々間を空けてから竿を出す事にした。今回は毛鉤も携帯してきて はいるが、やはり餌釣り師としてそちらをメインでやる事に。
心配だった餌捕りの方も、クロカワ虫が適当に確保出来たので釣り始める。滅多に出来ない釣り下りだ。
そしてなかなか魚影が見えない状況ながら、暫く釣り下ったところで大き目の淵から本日初HIT。7寸程のハイブリットだった。
後続を思いやっての遡行のおかげで、ここぞというポイントからは小型ながらイワナが釣れてくる。しかしやはり全般的に反応は渋く 、目立つ好ポイント以外は既に魚が隠れてしまった後のようだ。
そして遡行時に気付いて避けた大場所を選びながら釣り下っていくと、今度は釣り上って来た2人組みにバッタリ遭遇。
なんてこった、まだ竿を出して1時間も経っていないというのに挟まれてしまった。万事休す。
時期的に想像出来なくもない事態だったはずなのにショックは大きく、俺は完全にこの川の釣りを諦める事にした。
しかもその後も下っていく経路で更に釣り上ってきた釣り人に2組に遭遇。
比較的まだ早い時間帯に沢下りをしてきた俺に戸惑っていたが、それぞれに事情を説明してようやく渓を離脱したのは既に昼近くだった。
失策に次ぐ失策で他の釣り人にまで迷惑を掛けてしまって申し訳ない。
その後、残された短時間で前回行ったI俣に入ってみたものの、そこでは全く反応が得られずに失意の撤退。前回釣ったあのアマゴ達 は隠れてしまったのか釣られてしまったのか・・。
その晩泊まった某お宿で後々聞いた話によると、I俣は丁度俺が入る直前に1人の釣り人が入って、数匹の魚を釣って持って帰ってき てしまったそうだ。
どこまでも失策まみれな俺の今シーズン最後の釣行は、結局小型のハイブリットを4匹リリースで幕。俺の9月の渓流釣りに対する苦 手意識を更に高める結果となってしまった。