2008年6月28日〜29日

GO君ついに起つ

(俺・GO君)



 長く地道な説得を続けてどれくらい経っただろうか。6月末になってようやく、GO君を泊り掛け釣行に連行する事に相成った。
  GO君との渓流釣りは数年前の日帰り釣行以来。体力的にも少々不安は残るが、比較的安全なK川へ行くことになった。

 AM5:10。天気は生憎の雨だが、カッパを着てリュックサックを背負って車を出発する。

野イチゴ

 GO君は学生時代に泊り掛け釣行を経験しているとの事だが、結構悲惨な内容だったようだ。この釣行にも不安を抱いているようで、 なんだか気が重い感じがする。

 とりあえず河原を歩きながら釣り方や行動予定を話して餌捕りポイントを目指すと、間もなく最初の渡渉が訪れた。

 するとGO君はズボンの裾を捲り上げて川へ歩を進め始めた。
  こんな序盤の膝にも満たない深さでそんな事をしても意味はないぞ。これからもっと深い渡渉はいくらでもあるのだから。

 朝から早々に水に浸かり、その冷たさに耐え難いというGO君・・。仕方が無いから極力渡渉を避けるルートを選択しながら先へ行く 。

 暫く歩いて行くと、いつもの餌捕りポイントへ到達した。早速タモを出して餌捕りを実演して見せる。

 この川は俺的に2年ぶりで渓相も若干変わっているものの、餌となるオニチョロやクロカワ虫は健在のようだ。日当たりの良い浅い淵 を中心に、大型の川虫が適度に捕れた。
  しかしGO君の方を振り返ると、彼は川へ入らずに浅瀬で餌捕りを敢行していた。そんなに寒いのか・・。

 2人分の餌を確保し、さらに上流へ進むと渓相も整ってきた。最初の淵の手前に荷を下ろし、ここから竿を出す事にする。

 とりあえず俺が仕掛けの流し方を見せる為に仕掛けを振り込むと、早速HIT。6寸クラスのハイブリットで本日1匹目を飾った。
  驚くGO君にポイントを譲り、彼の数年ぶりの渓流釣りを見守る。

 GO君は俺の予備竿である6.1mの硬調の竿を使って、慣れないながらも懸命に仕掛けをポイントに振り込む。そして後ろから俺に アレコレ言われながらも、暫く経ってからついにHIT。

 7寸程のハイブリットだが、早速釣らせてあげられて良かった。信じられないといった表情で喜ぶGO君。

 GO君的に初めてのK川での釣果だが、俺達的にリリースサイズなので撮影だけ済ませて流れに戻した。

 しかし幸先が良かったもののその後はアタリが止まってしまい、釣れそうなポイントだけを選びながら先へ進む事にした。

 渡渉しないように河原を進み、木が覆い被さっていないポイント毎に竿を出す。いつもの事だが、相変わらずこの川のブッシュはウザ い。

GO君の一発目

 しかし2人共なかなかアタリが無く、早くも晩飯用のキープが心配になってきた。いつも釣果が出る必勝ポイントを次々と漁る。

 そして昼近くになって雨が止んだ頃、某大場所でようやくGO君に本日2匹目を釣らせる事が出来た。

 サイズは6寸程のハイブリットだが、悩んだ挙句にキープ。本来なら有り得ない決断だが、このままでは晩飯に魚が食えないかもしれ ないので仕方が無い。

 GO君の朝1発目の7寸をリリースした事が悔やまれるが、今となってはもう手遅れだ。せめてそれに代わる獲物をGETしなければ 。

 そんな事を考えながら不毛な釣りを続けていた時、俺の竿に本日2度目のアタリが出た。
  アワセを喰らわせるとかなり元気の良い引き応えがする。

 しかし釣り上げてみると意外なことに8寸のハイブリットだった。もっと大きいのかと思ったが、春先に比べてだいぶ体力がついてき たのだろう。

 本日最長寸を更新したコイツは迷わずにキープ。とりあえず最低限の数はキープしたが、このままではちょっとバランスが悪い。8寸 クラスをあと1匹は釣っておきたいが・・。

 しかし結局その後はアタリが続かず、一度竿を仕舞ってテンバまで移動する時間になった。

 暫くの歩きにGO君はだいぶ参っているようだ。まぁ予想していた程でもないが、休憩を多めに取りながらゆっくりと目的地を目指す 。

 湿った河原や踏み跡を辿り、俺的に2年ぶりのテンバに着いたのは16時頃だ。ようやく目的地に着いたとあって、GO君も少し元気 が出てきたようだ。

 曇り空の下で泊り込む準備を整える。
  少々手間取ったものの、なんとか一晩分の薪も確保出来た。

 そして・・晩飯の獲物の下拵えだ。とりあえず現状のイワナ2匹のうち小さい方を焼き、8寸クラスは刺身にする事になった。

 魚の処理はGO君にお願いして、俺はなんとか獲物を追加すべく竿を出してみる。
  しかしさんざん粘った挙句、ようやく釣れたのはまたもや6寸ハイブリットだ。リリースして今日の釣りを諦めた。

 GO君も獲物の処理を済ませ、一緒にテンバに戻った頃には周囲も薄暗くなっていた。晴れ間が一向に見える気配がないから、まだ降 るかもしれない。

 空を心配しながらも焚き火を熾し、たった1匹のイワナを火にかける。そして既に出来上がっている刺身で一杯飲む事にした。

イワナの刺身

 GO君が捌いてくれたイワナの刺身は上手く出来ていた。

 俺的に山で刺身を食うのは数年ぶりだし、GO君に至ってはイワナの刺身は作るのも食べるのも初めてだという。

 もう一方の焼加減を見ながら、よく冷えた缶ビールで乾杯して刺身を食してみる。

「ウマっ!」

 久々に食べたが、実に美味しく感じた。これは是非とも今後もやらなければ。

 刺身と共に缶ビールもすぐに平らげ、米も炊く。しかし再び雨が降り始めてしまった。

 そして米は無事に炊けたが、塩焼きの方は少々やり難い状況となり、焼加減にムラのある出来栄えになってしまった。

 とりあえずGO君に食べてもらう為に焼いたので、彼に塩焼きを託したが・・残念ながら失敗だな、コレは。

 塩焼きの方は残念だったが、米にレトルトカレーをかけて頂く。こちらはいつものメニューなので完全な出来具合となり、無事に腹を 満たすことが出来た。

 今宵は名物とも言える星空は拝めないが、川で冷やした缶ビールを呑みながらどうでもいいような話を語って、寝袋に潜り込んだ。

 

 29日。昨夜から雨が降り続いているようで、俺達は朝からテンションが低い。
  焚き火を熾すのは止めて、カップ麺とパムで軽く朝食を摂る。

 本来であれば今日は半日程釣ってから帰るところだが、未だに衰えを知らない梅雨らしい雨でなんとも気が重い。

 とりあえずゆっくりと身支度を整え、AM10:00にテンバを離脱した。

 川の各部の様子を見ながら竿を出せそうであれば、軽く釣る程度にしようという魂胆だったが・・思いの他水量が多くて濁っている。
  沢慣れしていないGO君もいることだし、今日は竿を出すのは止めておこう。

 俺達は渡渉を避けるように雨の山道を辿って、予定よりも早い帰還を選択した。

 久々にGO君と一緒に渓流へ来たが、今回は貧果になってしまった。彼の渓流に対するマイナスイメージを払拭する為に、今度は更な る奥地へTRYして、爆釣を味わってもらおう。



増水中



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