2008年3月22日

雪解けの渓

(俺・ナオキ)



 今シーズン2回目の渓流釣りは解禁日と同じN川。前回は雪がもっさりと残っていたので源流域まで行けなかったが、最近の穏やかな 気候によってそれらが解けて魚の活性も良くなっている事を期待しての釣行だ。

 俺達はいつものように釣行日前日の夜から車を走らせ、車止めで朝を待った。

 

 夜が明けると幸い今日も他の車は来ていないようだ。まだ薄暗い空も晴れているようで、前回のような風もない。

いつもの景色に戻ったN川

 周辺の雪も殆ど解けていて寒さも感じないが、川を遡行し始めたらどうなっているだろうか。

 今日も日帰り釣行なので、俺達はウェーダーを装備して早々に車を出発した。

 下流から遡行をしていくと、3週間前は銀世界だった河原は殆ど雪がなくなっていて、本来の青味を帯びた灰色の景色に戻っていた。

 暫く歩いている間に体温も上昇し、谷間に日が差し込む前から暑ささえも感じる程だ。

 今回も俺は餌釣り一本で攻めるが、ナオキはなんとルアーをメインで釣り上る。
  まぁあまり期待は出来ないので予備に餌釣りの竿も持ってきてはいるが、極力ルアーでの釣果を出すことに重点を置いている。

 雪が無いので遡行にも手間取らず、完全に日が上ってきた頃にはいつも竿を出し始めるポイントへ到着した。

 道中の餌捕りも滞りなく済ませ、俺とナオキでポイントを交互に譲り合って釣り始めた。

 しかし釣り始めてから暫くの間、期待に反してアタリが全く無い。

 ナオキのルアーは小型のミノーで、餌釣りに比べればリーチが長いので大場所での効果を見込んでいたのだが、うまくルアーを引いて も追ってくる魚影も見当たらない。

俺の8寸

 魚信がないうえに雪解けによる遡行のし易さも手伝って、俺達は無数にあるポイントをサクサク探って釣り上っていく。

 うーむ・・これだけ暖かくなってもまだ魚の活性は上がらないものなのか。

 それとも魚影自体が薄くなってしまったのだろうか?そういえばこの川も最近になって入渓者が増えているような形跡が見受けられる 。

 以前は河原沿いの踏み跡やゴミなんて殆どなかったものが、今回は踏み後が出来ていたりハサミが落ちていたりした。

 入渓者が増えるのは仕方がないとしても、ゴミを捨てたり遊漁券を買わないという輩には来て欲しくない。

 竿を出してから1時間近く経った頃ようやく俺の竿にアタリが出た。

 2回もバラしてから釣り上げたのは7寸クラスのハイブリットだったが、とりあえずは釣れて一安心だ。ナオキもなんとか釣果を出そ うと、懸命にルアーを投げる。

 少し経って俺は28cmのオスも追加したが、やはり爆釣には至らない。ナオキのルアーの方はなんとか追ってくるイワナを確認出来 たものの、フッキングには持っていけなかったようだ。

いつもの景色に戻ったN川

 気がつけば10:30頃なのに、既に前回竿を仕舞った4m滝に到達してしまった。

 ルアー釣りのナオキはともかく、餌で釣っている俺まで前回並みの釣果というのは問題だ。

 この滝を境にこの川の落差は更に激しくなるので、過去の経験上この先では爆釣になる可能性は少ない。

 しかしそうは言ってもまだ時間も早いし、何よりもこの先は暫く来ていないので楽しみでもある。俺達は一度竿を仕舞い、右岸側を高 巻きして滝上に降り立った。

 再び竿を出して釣り始めると、不思議とアタリが出るようになってきた。ここまでルアーで頑張ったナオキもついに餌釣りへ移行して 、8〜9寸のイワナがポツリポツリと釣れてくる様になった。

 そして暫く釣り上っていった頃、俺の50m程下流を釣っていたナオキの奇声が聞こえてきた。

 振り返るとナオキが小さな淵で、竿を大きく撓らせているのが見える。

 叫んでも川のせせらぎに掻き消されてしまうので黙って様子を見ていると、ナオキは獲物と奮闘しながらも手で「大物だ」というジェ スチャーを示した。

 これは楽しみだということで俺も自分の竿を置いてナオキの所へ行くと、なんと2m四方程度の狭くて浅い淵で獲物と格闘している。

9寸ハイブリット

 狭いポイントながら未知なる獲物は数箇所の岩の下を行ったり来たりして、必死に抵抗する。

 正体はイワナには違いないだろうが、岩と岩を移る際に見えるその茶色い魚体は明らかに尺オーバーだ。

 数分の格闘を見守っていた末、ようやくランディングに成功。獲物の正体はやはりイワナで、白点の少し混じったハイブリットだった 。

 計測の結果は36cm。俺達的なN川での記録サイズを更新する釣果となり、ナオキもご満悦だ。

 その後3年ぶりとなるN川の魚止に到達し、俺達的に初となる魚止の滝での釣果をナオキがGET。

 こちらは8寸弱と小ぶりだったものの、背中が青っぽい色をしたハイブリットだった。

 そして魚止まで釣って一服した俺達は竿を仕舞い、本日の釣りを終了することにした。

 今回はキープはしないで全ての釣果を流れに戻したので、帰り際にキープを拾ったりして荷が増える面倒も無い。

 全体的に見れば釣った数は前回とそれほど変わらなかったものの、尺岩魚と魚止での釣果によって気分的には満たされるものとなった 。

 ルアーでの釣果は出せなかったが、それについては次のチャンスを待ちたい。

 

ナオキ的にも記録サイズ



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