2007年8月24日〜26日 |
真夏の源流‘07 |
(俺・ナオキ・マッサー) |
---|
今年も暑さが酷くなってきた頃、ようやく3人揃っての泊り掛け釣行の日取りが決まった。今回は恒例の川ではなく、予てから行って みたいと思っていた盛期のS川に行く事になった。
俺達は各自で休日の都合を合わせ、木曜日の夜に集合した。そして平日の深夜の大井川沿いを車で走らせて、通い慣れてきた某車止め
に到着。当然他の釣り人の車は無く、翌日からの3日間の源流は俺達だけの独占が目に見えていた。
どんな魚に出会えるのか、興奮を抑えて3人で車内で仮眠を取る。
24日朝、携帯目覚ましで目覚めると、やはり他の車は来ていないが空は少し曇り気味である。軽く食事を済ませて各自荷を背負い、 久しぶりの山歩きへ出発した。
俺とナオキは解禁釣行以来のS川だが、基本的には蛭の活性の低い早期にしか行った事が無い。夏場のブッシュが茂った山歩きは慣れ
ていないし、マッサー的には初めてとなる川でもある。
しかしサビ付きではない本当の色のS川アマゴを拝みたい一心で、俺達は蛭を恐れながらも山奥へと歩を進めた。
久しぶりにビデオ撮影をしながら歩いて行くと、空の雲もだいぶ減ってきたようだ。陽が昇ってくるにつれてだんだん暑くなってきた 。
そして幾つかの難関を抜けた頃、休憩しながら足元の蛭チェックをしていると・・なんと何時の間にか俺とマッサーの渓流シューズに 蛭がくっついていた!
普段は殆ど見る機会の無い蛭が、何時の間にか足元に忍び寄っているという現実を味わい、休憩も安らかにしていられない。
蛭の被害に遭った事なんて殆ど無い俺達は、休憩も早々に切り上げては自分の足元を頻繁に確認しながら歩き続けた。
そしてAM7:30頃、やっと蛭の猛威から解放される所へ到達した。S川本流へ降り立ったのだ。
河原での最後の蛭チェックで俺は右手のグローブの下から出血している事に気付き、遂に蛭の被害に遭ってしまったものの、盛期のS 川の渓相を見て心が浮かれた。
とりあえず早く釣りたい。今回は3人での釣行なので、テンバに着いてからの作業時間も今までよりも少なく見積もる事が出来る。
・・という訳で、河原に着いて早々から重荷を背負って釣りながら遡行する事になった。
ナオキがテンカラで釣り始め、マッサーも追う様にコオロギを餌に仕掛けを振り込む。俺は厳しいとわかっていながら、タモを使って 川虫捕りからのスタートだ。
しかし釣り始めて暫くの間、2人共まるで釣れない状態が続く。魚影は何度も確認しているのに、どうも針掛かりまでは至らないのだ。
この前の盆休みで大量の釣り人が雪崩れ込んできて、スレてしまったのだろうか?
俺の餌捕りの方も芳しくはない。やはり夏場は川虫が少ないのだ。殆どが羽化してしまったようで、そこら中の岩にセミのような抜け 殻がくっついている。
そんな状態ながら、たま〜に捕れるオニチョロを餌箱に貯めながら2人の後を着いて行き、1時間程経過した頃にマッサーが本日初H ITを決めた。
マッサーの獲物は7寸程度のハイブリットだ。
いくら釣れないとはいえ、ボウズなど想定していないものの、最初の1匹目に安堵の表情を浮かべるマッサー。
それから間も無く、ナオキもテンカラで7寸程の本日初アマゴをGET。魚影は薄くはないが、ポツリポツリと釣れてくるようになっ てきた。
15匹程度の川虫を得た俺も、ようやく竿を出してみる。
しかし俺だけは爆釣してやるぜ・・と思ったものの、川虫餌でもなかなか食いが渋い。結局、俺も1匹目を釣るまでに20分程掛かっ てしまった。
一体どうしたことだろう?俺達的なS川のイメージでは7寸程度でサイズが落ち着いた魚達が爆釣する・・そんな風に思っていたのだ が、今回のここまでの釣果ではまるで違う川に来ているみたいな感じだ。
次第にテンバが近づいてきた頃、あまりの貧果にマッサーがダウン。河原の石の上で干物の様になってしまった。
まぁ、3人で攻めるには少々厳しい川幅なのかもしれない。爆睡するマッサーを放置して、俺とナオキで交互にポイントをずらしなが ら釣り上る。
そしてテンバ横まで来て、ようやくナオキがキープサイズをHITさせた。振り込んだ毛鉤に1発で喰らいついて引っこ抜かれたのは
、少々痩せ気味の9寸ハイブリットだ。
なんとか晩飯用にキープ出来た。
その後もアタリは少ないものの、なんとか俺も8寸近いアマゴをGET。サイズに対して体高が高く、やや金色っぽく見えた素晴らし いアマゴである。
しかし格好良い魚体だが、予想していた色と違って肩透かしを喰らった感じだ。とりあえず晩飯用にキープ。
テンバ周辺を一通り釣った俺達は寝坊助を起こしに戻り、昼過ぎになってテンバに到着した。
いつもテンバにする場所はブッシュに覆われていて、使い難い&蛭が怖いという状態になっていた。その為、今回は河原に近い砂利の 場所を開拓してテンバを作る事にした。
炎天下の河原付近で薪を拾ったり、テントやタープの設営に精を出す俺達。
今回は河原付近の薪が少なかったので、大きな流木を切ったり山肌を登ってまで薪を探す羽目になったが、なんとか2泊分位の薪は確 保出来た。
タープは河原の段差と木を利用して、都合の良い高さに張る事が出来た。
そしてその下では大きめで平らな石を幾つか並べて、3人分のテーブルと椅子を作る。
カマドもすぐ近くに設け、これで夕立が来ても落ち着いてくつろげる環境が整った。
これから3日間の住まいが完成した後は、焚き火と晩飯の準備である。
手持ちの空いている容器には川の水を貯めておき、薪は太さ別に適度な長さに調整して分ける。こうしておく事で後の焚き火が滞りな く燃やせるのだ。
15時過ぎになって夜を迎える為の一通りの作業が終わり、源流の新居にてコークハイで乾杯をする。汗だくになった体に染み込むよ うな味わいである。
そしてそれを飲み干した後は、ようやく釣りを再開することになる。
先程俺とナオキで釣ったポイントから先のエリアへ行くのだが、テンバの上流には一本の支流が入っていて、そこにも魚は存在する。
とりあえずは俺とマッサーでS川本流を釣り上り、ナオキは支流を攻める事になった。
この辺の渓相は落差も河原の幅もそこそこあって、水際のブッシュもそれほどキツくはない。
俺とマッサーは2〜3個の淵毎にポイントを交互に譲り合って、それぞれ別の餌で攻めてみる。
俺が釣り始めて間も無く、7寸程度のアマゴが釣れる様になってきた。
しかしどの魚も想像していたような色の魚ではなく、釣れたポイントによる固体差程度の色の差しかない感じだ。
・・とはいえ、テンバの下流部に比べて若干よく釣れる様になってきた。
しかしそれから数匹のアマゴを釣った俺は、疲れてきたので先にテンバへ戻り、2人の帰りを待ちながら体を休める事にした。
たんだん陽が傾いてきた河原では気温も丁度良くて、吹き抜ける風も心地良い。
・・が、数匹のハエとアブが俺の体に纏わりついて鬱陶しい。
暫く休んだ17時頃、ナオキとマッサーが戻ってきた。どうやら二人共期待した程は釣れなかったようで、マッサーがアマゴのキープ を増やしただけだった。
薄暗くなりつつある河原で火を熾し、コッフェルとバーナーで米を炊きながら魚を焼く。
少々湿っぽい空気になってきて、夕立の可能性もあったが、タープの存在が安心感をもたらす。
今回は3人分の米を4合に設定してみたのだが、コッフェルのキャパの限界値のようで今にも米が溢れそうな炊き具合となった。
かつてない大盛りにはなったが、出来の良いご飯が完成して、レトルトカレーと焼き魚の質素なディナーを楽しむ事が出来た。
俺達的にはこの環境も充分なオカズの一つなのだ。
晩飯の後はコークハイで軽い晩酌を済ませ、寝不足と山歩きの疲れを癒す為に早めの就寝とした。
25日、AM6:00。遅めの起床ではあるが、この渓は現在俺達の貸切状態なので安心だ。空も晴れ渡り、気分も上々である。
2日目の今日は釣りの為の一日だ。コンビニのパンとコーヒーで軽食を摂り、着替えたらすぐに出発だ。
軽装で3人まとめてS川本流を釣り上る。どんな獲物が釣れるだろうか。
昨日釣ったエリアは素通りして、やや落差が出てきた所から各自でポイントを選んで竿を出す。大きな石も多くなり、ポイントも淵が 増えて釣り易い。
今日もなかなか食いが渋いようだが、釣り始めて1時間程経った頃に本日初HITを得たのは俺だった。
1発目は20cmほどのアマゴだが、体高が高くて金色っぽく輝く素晴らしい魚体である。
今まで色々な支流で釣りをしてきたが、ここまで明るい色のアマゴを釣ったのは初めてかもしれない。
背中の黒点も少なく、なんとも美しい。写真を撮ってリリースし、更に釣り上る。
マッサーもナオキも7寸程度までの魚はポツリポツリと釣れているようだ。
キープこそないものの、昨日と同じ釣り方でも昨日よりは釣れてくるようになってきた。
一つひとつのポイントを丹念に釣りながら進む間に昼食の時間になった。陽の当たる岩場の上でお湯を沸かして、恒例のカップ麺を喰 らう。
ここまでの釣果のうち、俺がイワナを1匹、マッサーがアマゴを2匹、ナオキもアマゴを1匹程、各地に活けキープしてある状態だ。
例年の源流釣行では類を見ない貧果ではあるが、皆がそれぞれ美しいアマゴに会えてそれなりに満足ではある。
昼食後再び釣り始めると、落差が一段と増したようだ。5〜10m程の滝が頻繁に出てくるようになり、その度に大場所が形成されて いてそそられる。
川幅も狭くなり、3人で交互にポイントをずらして釣る方法も通用しなくなってきたので、一つの大場所毎に3人まとめて竿を出す。
しかしポイントは大きくなってきても、釣れてくる魚のサイズまでは比例してこない。
ブッシュもうるさく、そのうちナオキは陸上での根掛かりによる毛鉤のロストが限界に達してしまったようだ。
ナオキはテンカラ竿を仕舞って川虫を捕り、予備竿での餌釣りに切り替えた。
爆釣とは程遠い内容ながら、各自が餌釣りでボチボチ釣って行く。不思議な事に、この川では源流に進むにつれて何故かイワナの姿が 見られなくなってきた。
7寸クラスのアマゴ達を釣っては放ち、気がつけば16時になっていた。まだまだ空は明るくて釣果も満足出来る程でもないが、今回 はこれで良しとしよう。
3人共竿を仕舞い、各地に残してきた活けキープを拾いながら川を下る。そして1時間程掛けてテンバに戻るまでに5匹のキープを回 収した。2匹ほど脱走していたようだが・・。
テンバに着いてからとりあえず一服しながら晩飯の準備に取り掛かる。しかし俺は少々物足りなかったので、準備は2人に任せて1人 で夕マヅメを釣る事にした。
2人も快く送り出してくれて、今日は誰も竿を出していない支流へ向かった。昨日はナオキが竿を出した支流なのだが、ナオキはキー プサイズの獲物をバラしているらしい。
しかし視界が限界に近づくまで釣ったものの、8寸クラスのアマゴ1匹と7寸程のハイブリットを2匹しか釣れなかった。俺はアマゴ をキープしてテンバに帰還した。
テンバに戻ると既に晩飯は完成に近く、間も無く昨夜同様の質素な晩飯が出来上がった。
米を食って塩焼きを頬張りながら、今日一日の反省をする。
そういえば昨夜は早めに寝たものの、あまりの暑さに何度となく目覚めて辛かった。おまけに蚊なのかブヨなのかわからないが、虫刺 されの被害による痒みもある。
とりあえず今日は夜中に目覚めないように夜更かししておこうということになり、コークハイを呑みながら今後の俺達的な釣りの展望 を語ってから床に就いた。
26日の朝がきた。空は今日も快晴で、さすがに良く眠れた俺達は快適な朝を迎えた。最終日なので朝飯はゆっくり米を炊いて頂き、 テンバを片付けて撤収の準備を済ませる。
そして全ての荷をまとめたAM9:00頃、竿だけ持って2時間程の最後の釣りに出発する。今日は俺とナオキで本流を、マッサーは 支流を釣る。
時間が短いこともあって、俺とナオキは昨日良型をバラしたポイントまで一気に歩いて、それぞれ気になる場所へ着いてから竿を出し 始めた。
大きな滝の一つ手前の壺から釣り始めた俺に、早速HITしたのは7寸アマゴだ。この魚も体高が高くて金色っぽい。そして次の大き 目の滝でも8寸弱のハイブリットが出た。
しかしその後はアタリが減り、俺達はキープを増やすことなくテンバに戻る時間になった。
俺とナオキがテンバに戻って間も無くマッサーも戻ってきたが、やはりそれほど釣果に恵まれなかったようだ。昨日から活かしてあっ たキープを捌き、蓬の葉を詰めてパッキングを済ませる。
そうこうしている間に時間は11:30になり、俺達はこの快適だったテンバを後にする。
相変わらず空は晴れているが、この後の蛭の待つ山歩きを思うと心は暗雲だらけである。
そして蛭の猛攻をかわしながら急勾配を上り、踏み跡を間違えたりしながら3時間半程掛けてなんとか車に辿り着いた。
足がパンパンで汗だくになってまで経験した真夏のS川源流は、ハードな道のりのうえに貧果という辛い経験になったが、綺麗なアマ
ゴ達に会えて良かった。
でも次は恒例の川に行きたいと、正直に思った。