2007年7月27日

夢見てただけさ

(俺)



 約3ヶ月ぶりとなる今回の釣行は、単独日帰り釣行である。短い時間しか釣りが出来ないことに不満を感じるが、渓流に来る時間を得 られるようになっただけでも良しとしよう。

 

 前日夜、車の窓を全開にしながら大井川沿いを走らせる事2時間半、某車止めに到達した。久々の山道では狐や狸、鹿等が俺を迎えて くれた。
  夜空は晴れ渡り、翌日の天気も期待出来そうな状況で車内で仮眠を取る。

 

 27日朝、AM5:00に目覚めると、幸い他の釣り人の車は来ていないようだ。空も晴れ間が見えていて、早速ウェーダーを装備し て軽装で川に向かう。

約3ヶ月ぶりの渓流

 暫く歩いて河原に降りると見慣れた風景に変わりは無く、川の片隅で餌捕りを敢行した。
  やはり時期的に厳しい内容だが、なんとか釣りになる程度の川虫をGET出来た。

 しかし捕れた川虫のサイズにムラがあるのは単に餌の都合だけだろうか?鮎のように越冬するタイプもいるような気がする・・。

 餌を得た俺は竿を伸ばし、久しぶりの釣りを始めることになった。
  まずは変化に乏しい瀬からゆっくり攻めていく。ポイントが少ないように見える瀬だが、じっくり見ると30cm程度の石が流れを変えて いる場所が目に入る。

 こんな地味なポイントもけっこう好きだったりする。本日第1投目を振り込む・・が、ハズレだった。今日は留守のようだ。

 そしてゆっくり釣り上って行くと、ようやく本日初HITがきた。引き味を充分に堪能してから引っこ抜いたのは、7寸クラスのアマ ゴだ。

 久々に見た気がする渓流魚だが、放流魚っぽい雰囲気を纏っているし、何よりキープするには物足りないサイズである。
  活きの良いうちに流れに戻して先を行く。

 暫く進むと遡上止めの堰堤に到達した。ここは過去に俺が巨大魚の影を見た事のある超期待ポイントだ。今日も他に釣り人が来ていな いので、焦る気持ちを抑えて慎重に忍び寄る。

 そして大き目のオニチョロを針に刺し、溢れる期待を込めて仕掛けを振り込んだ。

 堰堤の落ち込みから目印がスムーズに流れる最中、突然目印がピタッと止まった。餌が砂利に引っ掛かったのかもしれない。
  しかし一息入れてから軽くアワせると、目の覚めるような勢いで仕掛けが横に突っ走った!すごい力だ。

 狭い足場では往なし切れない程の獲物の引きに興奮しながら俺も走らされて格闘する。コレは俺的に最長寸記録サイズは間違いないだ ろう。
  堰堤の壺の脇を行ったり来たりしながら相手の消耗を待つ。

 しかしなかなかスタミナが衰えない奴だ。この勢いでは広い場所に出られたら耐えられそうに無い。大丈夫か?この仕掛けで・・。
  そんな心配をしていた矢先に、獲物は突然下流へ走り出してしまった。俺の中で終焉を予感した。

 魚のスピードと瀬の流れが合わさり、俺の機動力では間に合わない!間もなく竿と仕掛けが一直線になってしまった。イカン!!

 そして竿の延長線を見た瞬間、10m程先で大きな魚がジャンプして、0.4号の通し仕掛けは力なく流れに落ちてしまった・・。

 谷間に俺の断末魔が響き渡った・・。

 何て事でしょう・・約一分前の高揚感と現在の虚無感のギャップが激しすぎる。

 渓の癒しが無効化した俺は失意のまま撤収することになった。



リリース済み



戻る