2006年8月25日〜27日 |
真夏の源流‘06 |
(俺・マッサー・ナオキ) |
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前回の渓流釣りから約3ヶ月・・ようやく泊り掛け釣行の日取りが決まった。
久々の渓流釣りは一年ぶりのS河内ということで、長らく渓流から遠ざかっていたナオキとマッサーとの3人での釣行だ。
25日、人気の無い某車止めで朝を迎えた俺達は、快晴の中で出発の身支度をする。今日は世間の盆休みから一週間もずらした金曜日 なので、他の釣り人は来ないだろう。俺達の渓になること間違いなしだ。
ところが、支度をしている最中にどこからともなく車のエンジン音が・・。
俺:「おいおい、マジかよー。人が来たぞ?」
なんと、誰も来ないだろうと思っていた矢先に他県ナンバーの四駆が到着して、支度に手間取る俺達より先に車から出発してしまった
ではないか。
見たくもない他の人間にいきなり遭遇して落胆した俺達だったが、仕方がないので話し掛けて相手の目的とプランを聞いてみる。
40歳手前位の男と小学生高学年位の親子らしいパーティーだが、どうやら彼等はここは初めてらしく、目的は沢登りらしい。しかし 日程と目的地は俺達とほぼ同じだという。
何て事だ、よりによって沢登りの人間と被るとは・・。これでは俺達の目的の釣りはまともに出来たもんじゃあない。ぬぅう・・どう
したものか・・。
とりあえずお互いの情報を交換した後、相手方は一足先に歩き出していった。
俺達は最悪な気分のまま、とりあえずは身支度を整えた。
そして考えがまとまらないまま、とりあえずは予定通りのコースを進んで、歩きながら予定の変更について考えるという事になってしまった。
しかし久々の河原を暫く歩き続けると、先程の親子に追いついた。どうやら子供の体力が芳しくないらしい。
休憩ついでに話をすると、なんと急遽予定を変更して某支流へ行ってくれると言う。
よかった、これで俺達は当初の予定通りの源流域に行ける。親子に礼を言って、心が軽くなった俺達は上流へと進みだした。
歩き始めて4時間程経過し、ゴルジュに差し掛かった。ここは去年、俺が初めて水没したポイントである。
まずはナオキから滝壺に近づく。
水の冷たさに奇声を上げながら、ナオキの体はみるみるうちに水に浸かり、ついには胸元まで入っている。
しかし俺とマッサーが見守る中、ナオキは左岸の岩壁を慎重にへつって無事に滝上に立つことが出来た。ぬぅう・・なかなか落ちない 奴だ。
そして次にマッサーが行く。
みるみるうちにマッサーも深く水に浸かり、奇声を発しながら右の岩壁に張り付いた。
俺はカメラを構えたまま決定的瞬間を待つ。さぁいつでもいいぞ、マッサー。
岩壁にしがみついたところまではいいが、なかなか次の手掛かりを見つけられずに焦るマッサー。そして・・。
ツルッ トプン!
控えめな音と共に水面に消えるマッサー。そしてすぐに浮き上がり、大きな荷を背負ったままで必死の平泳ぎを披露してくれた。
俺・ナオキ:「ウヒャハハハハハッ!!(笑)」
さすが元水泳部。俺とナオキの腹を熱くさせてくれる。
ヘツリに失敗したマッサーは一度淵尻まで後退して再度挑戦。ずぶ濡れになって、なんとか滝上に辿り着くことが出来た。
さて、俺の番が来た。今年は失敗する訳にはいかんな。2人が上から見守る中、岩壁に向かって深みに踏み込む。
うぉぁあ・・つ・・冷たい!そして水量が去年よりも多いんじゃあないか?俺も首近くまで水に浸かって、なんとか岩壁に到達した。
相変わらず厳しい局面ながら、少しずつヘツって滝に近づく。・・が、あとちょっとというところでオーバーハングが邪魔をして行き 詰まってしまい、ついに俺も水没!
ナオキ・マッサー:「ウハハハハハッ!!(笑)」
笑われながらも俺は岩壁を掴みなおし、立ち泳ぎ状態になりながら体勢を立て直す。そしてマッサーと同様に水が滴る男になって滝上 に到達した。
その後俺達はいくつもの滝を越えて、出発から7時間近く経った昼過ぎに目的の某山小屋に到着した。
いつもより少々遅い到着時間だったが、まだ日が高いので小屋にバルサンを発動して、待ち焦がれた釣りに出る事になった。
今年は小屋より上流を3人で釣り上ることにする。
餌釣りのマッサーと俺と、テンカラのナオキが交互にポイントを探りながら釣り上ると、程なくしてそれぞれが8寸前後のハイブリッ トを釣り上げた。相変わらず魚影が濃いようで嬉しい限りである。
そしてキャッチ&リリースを繰り返して遡行している間に程よく時間も経ち、そろそろ数匹キープして小屋に戻ろうという事になった 。充分釣った俺は竿を仕舞い、一服しながらナオキとマッサーの気が済むのを待つ。
河原で少々待っているとナオキが竿を仕舞って戻ってきたが、マッサーはまだ粘っているようだ。
そろそろ小屋に戻って晩飯の準備をしたいのに、奴はなかなか釣りを止めない。
距離にして100m程度のところに奴が見えるが、呼んでも川のせせらぎに遮られるし、わざわざ歩いて呼びに行くのも面倒だ。仕方 がないからもう少しだけ待っておこう。
暫く待って、ようやく奴の気が済んだようだ。上流から歩いて戻ってきた。
・・が、しかし何か様子が変だ。大事そうに何かを持っている。
そしてようやく戻ってきたマッサーが持っていたのは、タモに入れたままの良型ハイブリットだ。
俺:「お、いいの釣ったじゃんか。測っておこうか。」
後で測定した結果、マッサーの釣ったイワナは35cmだった。マッサー的にイワナの記録サイズ更新なので、奴もご満悦の様子だ。
とりあえずキープして今宵の肴とすることにした。
3人共無事に小屋まで戻り、小屋の換気をしながら薪を集める。そして焚き火を熾して晩飯の支度だ。
そのうち少々空気が湿ってきて、一時的に軽い小雨が降ったものの避難する程でもなく、河原に煙の匂いが漂ってきた。
今日の晩飯は米にレトルトカレーを合わせたメインディッシュとイワナとキノコのバター焼である。そして遠火でじっくり焼いた塩焼 きとウィスキーで晩酌だ。疲れた体に染み込むような美味さだ。
久々の屋外ディナーに舌鼓を打った俺達は、今日の長い遡行の疲れを癒すべく22時頃に就寝した。
26日の朝が来た。空は少々曇っているようだが、俺達は河原に出て軽い朝飯を喰らう。今日は丸一日かけてS河内の源流部を釣ると
いう、釣りの為の一日だ。
AM7:10頃、俺達は軽装で小屋を出発した。
小屋から歩きながらナオキはテンカラを振っていく。しかし昨日釣った区域のせいか、まるで反応のないままゴルジュに差し掛かった 。
比較的難易度の低いゴルジュだが、最後の2m程の滝はいつもお助けロープのお世話になっていたので、今年は俺がロープ無しで登っ
てみる。
去年までなら登り方が見当もつかなかった滝だが、実際に近くに寄って見るとちゃんとスタンスがあって行けそうに見える。
手足を目一杯伸ばして使ってみたら、なんとか自力で滝をクリアする事が出来た。ちょっぴり嬉しかったりする。
そして滝上の樹木にロープを掛けて、後続の2人もこれを伝って無事に全員が滝上に降り立つ事が出来た。
2m滝の上は渓が開けて好釣り場が始まる。ここから今日の釣りがスタートするのだ。
マッサーは恒例となったコオロギ餌での餌釣りで真っ先に釣り上り始め、ナオキはテンカラで小さなポイントを拾いながらゆっくり進 み出す。
一年ぶりのS河内源流はどんな獲物が釣れるのだろうか。期待が高まる中、俺もバッタを捕らえながらそれを餌にして釣り始めた。
そして釣り始めて間もなく、8寸クラスのハイブリットが釣れた。相変わらず茶色が濃い綺麗なイワナだ。マッサーもナオキも順当に 釣れ始めている。
8〜9寸のイワナがコンスタント釣れてくる状況が続き、餌の供給が間に合わない。俺達は皆、前回ここに来た時よりも調子が良いよ うだ。
時の流れを忘れて、適度に活けキープしながら釣り上って行く。
暫く釣り上り、カップ麺の昼飯を済ませた後も魚影は濃いままのようだ。
空は曇っているが降りそうな雰囲気ではなく、落差のある渓が続いている。
そのうち巨岩から流れ落ちる5m程の滝のポイントで俺の竿に良型のアタリが出た。
壺に潜られそうになる程よく引いた獲物の正体は、31cmの雄のハイブリットだった。今年も無事に尺岩魚が釣れて満足だ。
そして15時過ぎには今までに来た事がない領域に踏み込んだ。
6m程の滝が力強く流れ込む大場所で、重低音と霧のような飛沫に癒される感じがした。
撮影を兼ねて休憩をして、ここを最後に引き返すことにした。充分釣ったし、良い景色も体感出来て気分は上々である。
川通しで下りながら各所の活けキープを回収し、無事に小屋の前に戻った頃には空気が湿っていた。
いよいよ今夜は夕立が来そうな雰囲気だ。
早めに飯の支度に取り掛かり、米が炊けるとすぐに晩飯にした。
今夜もレトルトカレーをかけて頂くが、ついにパラパラと小雨が降ってきてしまった。
ゆっくり味わう間もなく晩飯は済ませたが、焼くのに時間が掛かるイワナはどうにもならない。
だんだん雨脚の強くなる河原で魚が焼けるのを待ち、最後は木陰に隠れて雨宿りの様な状況でイワナを食う羽目になってしまった。
落ち着いて飯を食えなかった分は小屋に入ってからゆっくり晩酌をし、雨が小屋の屋根を叩く音を聞きながら各自眠りについたのだっ た。
27日の朝はやや遅めの起床だ。昨夜からの雨による増水はなかったものの、空はやや曇っている。
今日は最終日という事で、小屋周辺で少し釣りをしてから帰るか考えたものの、結局はやらずに下る事になった。
下りながら途中で竿を出したりしてみたものの下流での釣果はなく、車に着いたのは夕方になってしまった。
今回は久々の泊り掛け釣行になってしまったが、3人で行ったことにより実に楽しく過ごす事が出来た。最後には俺達的に初となる領
域に踏み込み、良い思い出も作る事が出来た。
いつかは更なる奥地にも進出してみたいと思う。