2005年9月24日〜25日 |
上流と下流 |
(俺・マッサー) |
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俺達的に久々となる今回の渓流釣りは、ついに今シーズン最後の釣行となってしまった。今年こそは去年よりも釣行回数を増やしたか ったのだが、それも叶わなかったので今回の釣行を有意義にしたい。
今回俺とマッサーで向かうのは1年半ぶりのK川。過去何度も訪れたことのある川だが、今回はまだ行ったことのない源流部を目指す ことになった。
渓相、水量はどんなものなのか?魚影はあるのか?未知なる発見を求めて俺達は前日夜のうちに某車止に到着。
車内で軽く呑んでから携帯目覚ましをセッティングして眠りについた。
24日AM5:00。快眠から目覚めた俺達は朝飯を済ませ、曇り空の下車を出発した。
今回も小屋泊まりの一泊コースを予定しているが、俺達的に未知なる領域を目指すため、今日はまず目的地まで辿り着くことを最優先する
。
万一当てにしていた山小屋が使い物にならない代物だった場合、早めに他の山小屋を探さなければならない。ガイドブックのコピーを 胸に、俺達は河原沿いの踏み跡をひたすら歩き続けた。
暫く歩いていると初めての領域に踏み込んだようで、見覚えのない未知なる踏み跡の傾斜がキツくなってきた。
基本的に30分毎に休憩をいれていくが、マッサーの歩行ペースが上がらない。おまけに小雨も降ってきやがった。
未知の山小屋に到着したのは小雨が上がった10時前だった。疲れを忘れて2人で周辺を物色する。
なかなか広くてキレイな山小屋である。幸い誰も居ないので、出来ればここを使いたいのだが・・本当の目的地はここから更に奥地に あるという別の小屋なのだ。ただその山小屋の存在は噂だけで、実在するかはわからない。
とりあえず荷を下ろして山小屋で休憩しながら今日のプランを考え直す。
荷を持ってこの便利そうな山小屋を発って奥地の山小屋を当てにするのか、この小屋を宿に決めて軽装で奥地を探索しに行くかを考え る。
しかし話しているうちにマッサーは意識が薄れていき、間もなく爆音を響かせながら眠りに入ってしまった。なんて激しいイビキなん だ。
暫くマッサーを休ませた後、結局この山小屋をベースにすることになった。山小屋にバルサンを発動し、軽装で奥地を目指す。
山小屋を出て道なき道を40分程歩くと、K川の上流部に出た。
初めて見た上流部は落差があるものの当然下流程の水量はなく、木々も覆いかぶさるような薄暗い渓相だ。
魚は居るのだろうか?未知なる山小屋はこの先にあると噂されているが、本当にあるのだろうか?
時間は11時半ということで、とりあえず竿を出しながら釣り上ってみる。
餌は川虫が適度に捕れたが、陸生昆虫は捕れなかった。マッサーは今回も下界からコオロギを連行してきている。
俺達は竿の長さに対して1/4程度の長さの仕掛けを作って釣り始めた。いわゆる提灯釣りというやつである。
釣り始めて間もなく俺の竿に本日初HIT。なんと5cm程のミクロ岩魚である。しかも白点入りだ。
速やかに流れにお帰り頂く。
しかしその後も期待通りには釣れない。暫く釣り上り、ようやく釣れた2匹目も15cm程の岩魚だった。
マッサーの方はアタリがあるものの、全て餌のコオロギを咥えきれずにバレてしまうというあり様だ。
どうやら上流部は数・型共に期待できない様子だ。とりあえず釣りは半分諦め気味でサクサク釣り上っていく。
そして12時半頃、河原からちょっと離れた高い所に人工的なものが見えた。
確かに噂通りの場所である。俺達は河原に竿を置いて山肌を駆け上がった。
近付いてみると、確かに山小屋である。噂は本当だったのだ。ビデオ撮影しながら小屋の戸を開けてみる。
狭い。4畳半ほどしかないスペースにカマドと薪が散乱していて、床も地面がそのまま剥き出しである。
この未知なる山小屋は雨宿り程度にしか使う気がしないな。
壁はビニールシートで補強されているようだが、所々隙間があって寒そうだ。それに入り口周辺には一升瓶やコンビニ弁当の容器など、 大量のゴミが散乱している。
何故捨てるのか?持って帰るのが面倒なものなら持ち込むな!ってか、死ね。
新たなる山小屋の存在を確認した俺達は再び川に戻って源流部で竿を出した。
だが渓相はだんだんと細流と化し、ブッシュもより一層キツくなってきた。魚はなんとか釣れるものの、過去のこの川の下流部での釣 果には遠く及ばない。
結局13半時頃上流部の釣りを諦め、少し下った支流を攻めながら宿に決めた山小屋に戻る事になった。
宿に着いたのは16時頃だった。既にバルサンは仕事を終えており、小屋の外には耐え切れなくなったカマドウマが転がっていた。
時々小雨がパラつくような状況の中、山小屋の換気をしながら晩飯の準備に取り掛かる。
結局支流の釣りもイマイチな釣果だった。魚影は一応はあったものの、やはり小型が多かったのでキープは出来なかった。
初となるK川上流域の釣りが期待外れに終わった俺達は早めの晩飯を喰らい、焼魚無しでの晩酌の後20時半に眠りについた。
25日。AM5:00に目覚ましが鳴ったが、今日はゆとりのあるプランなので二度寝をして6時に起きた。
朝から米を炊き、のんびり食事を済ませてから山小屋を出発した。空は快晴のようだ。
昨日通ってきた急勾配の踏み跡を戻りながら、今日の釣りに期待する。
今日は上流の釣りを捨てて山を下り、通い慣れたこのK川の下流部で竿を出してから帰るという予定である。遡上モノに出会えたりす るだろうか?
山小屋から40分程下った頃、とりあえずK川中流部付近に荷を置いて竿を出してみることにした。
ここまで下ってくるとさすがに水量も多い。川に覆いかぶさるような木々は相変わらずだが、一つひとつのポイントが上流部のそれに 比べて大きいので期待が高まる。
そして2人で釣り上っていくと、20cm程のハイブリットがぼちぼち釣れてくるようになった。
確かに上流部よりは楽しくなってきた。・・が、未だにキープには至らない魚達ばかりだ。
そのうちマッサーがようやくキープサイズを出したようだが、俺の方はイマイチな釣果のままなので釣り場の移動を提案した。
とりあえず竿を仕舞い、荷物を置いた場所まで戻る。時間は11時半頃である。
移動の前に早めの昼飯を取ることになり、川の水を沸かしてカップ麺を食らう。そしてついでにマッサーのキープを見てみると・・。
26cmの大和岩魚だった。茶色っぽい体色がなんとも凛々しい魚体である。土産を確保できてマッサーも一安心の様子だ。
昼飯を済ませた俺達は再び荷を背負って河原を下りだした。次に狙いを定めたのはK川下流域の実績あるポイントからの入渓だ。
幸い今日はまだ他の釣り人には遭遇していない。足取り軽く目的のポイントに着いたのは14時頃だった。
先程よりも川幅が広がったが、相変わらずブッシュがウザい。荷を下ろして再び提灯釣りで釣り上る。
期待していた程魚信は多くないものの、それなりに平均サイズは良くなっているようだ。ぽつりぽつりと7寸クラスのハイブリットが 釣れてくる。
マッサーに先を譲りながら俺は細かいポイントを拾って後を追っていると、一箇所、二箇所とマッサーのキープ網が置き去りにされて いるのを発見した。
水溜りに沈められたキープ網の中には、1匹ずつだが25cm以上のハイブリットが活かしてある。良かった、マッサーは順調に釣果
を伸ばしているようだ。
そろそろ俺も前に出ようかな。
ピッチを上げて釣り上っていくと、間もなくマッサーに追いついた。そしてそこからは交互にポイントを譲り合って釣り上る。
更に釣り上っていくと、小滝から広がる大場所に辿り着いた。いかにも遡上モノが溜まりそうな、ウマそーなポイントだ。
ここはマッサーと並んで2人同時に攻めてみる。
マッサーが流芯の左側に仕掛けを振り込んでいるのを横目に、俺は近くの浅くて流れの緩い場所を観察してみる。
底石もしっかり見えるポイントで、水中の落ち葉がゆっくり流れているのしか見えない・・と思いきや、1匹のハイブリットがゆら〜 りと泳いでいるのが目に留まった。キープサイズは間違いない。
浮つく心を落ち着かせて魚の目の前に仕掛けをそっと落としてみる。
すると1発で餌に喰らいついてきた!
軽くアワセをくれてやると、思いの他引きが強い。なかなか大きいかもしれない。
いつものように充分な長さの仕掛けじゃあないため、竿で相手の勢いをいなし切れずにヒヤヒヤさせられたが無事ランディング。
タモを覗き込むと、一目で尺岩魚とわかる雄のハイブリットだ。
ふははっ、俺的にようやく今回初キープだ。サイズは31cmということで、本日最長寸更新である。
俺が尺岩魚を撮影したりしている間にマッサーは黙々と釣り続けるが、そのポイントはそれ以降何も釣れなかったらしく、マッサーは
更に先を行く。
しかし間もなく10m程の大滝に行く手を阻まれ、時間的にも本日の釣りの終了を余儀なくされた。
そして川通しでキープを拾いながら入渓地点まで戻り、釣果の下処理を済ませてから山を下ることになった。
俺達的に今回の釣行で、このK川の釣り場を全て網羅することが出来たと思う。上流部と下流部での釣り場と釣果の差は歴然だったが 、新しい発見にも恵まれて満足のいく釣行となった。