2005年4月23日

思い出の川

(俺)



 最近仕事が忙しくなって思うように渓流釣りに行けなくなってしまったが、やっとその時間が取る事ができた。

 久しぶりに単独で渓流に行く機会が出来た俺は、前日の夜から大井川沿いに車を走らせる。目指すはまだ一度も入渓したことのない O川だ。
  ガイドブックには詳細な情報が記載されていない川なので釣り場としての価値は未知数だが、いきなり何人かで行って釣れなかったら痛い ので、単独の時に調査のつもりで行こうと思っていた川だ。

 23時過ぎになり、目的のO川の近くに到着。暗くて入渓地点や駐車スペースがわからないので、川から少し離れた所の空き地に車 を停めて朝を待つ。

 

 23日の朝が来た。明るくなるのを待ってから入渓地点を探しに車で移動すると、なんと川沿いに釣り人らしいオッサンx2が歩いて いる。その格好はウェーダーにベストを着用し、片手には竿を持っている。釣り人らしい・・というより、最早完璧な釣り人だ。
  全く支度を整えていない俺は、今まさに川に入ろうとしているオッサン達に待ったをかけられずに見送るしかなかった。

 

 ・・さて・・どうしたものか・・。早くも予定が狂ってしまった。今日は釣り場の開拓に使いたかったが仕方が無い。ここから一番近 い釣り場となると・・I川しかないかな。
  10分程車を走らせて、I川の入渓地点に車を停めた。幸い他に人の気配は無い。

 支度を整えて久々のI川に入る。天気は暑いくらいの快晴で、まるで5年前の真夏のあの日の様だ。当時を思い返しながら勾配のキツ いI川を釣り上る。

 

 あの頃までは海釣り専門で渓流魚に関しては殆ど知識がなかった俺の、予ねてから渓流魚に憧れていた思いが初めて行動に出た夏だっ た。
  家の近くの瀬戸川や朝比奈川なんかでは釣れるものじゃあないので、思いきって大井川の上流まで車を走らせてみた。
  海釣りオンリーの俺的には気が遠くなるような山道のドライブの末に、やっと辿りついた“渓流”らしい川。
  I●△川?I■○川・・?橋の脇にある看板に書かれた川の名前は、読み方がわからなかった。
  子供の頃近くのドブでフナを釣るのに使った俺の唯一の延べ竿を片手に、初めての渓流に入った時は言葉に出来ないほどの感動を味わった 。
  川虫を捕って餌にするという知識はあったが、初めて実践してみた時はその川虫の大きさに驚いた。
  急勾配を慎重に上っていくと、目の前に現れた小さな落ち込みの淵尻に初めて見る渓流魚の影。
  興奮を必死に抑えて魚の前に仕掛けを投入すると、意外とあっけなく渓流魚が針掛かりした。
  初めて使う0.6号のラインが信用出来なくて、必要以上に泳がせた上でのランディング。
  急いでネットの中を覗き込むと、20cm程の見たことが無い魚・・。暫く考えてやっと思い出す。これが岩魚なんだ。なんて綺麗な魚な んだろう・・。

 

 実に懐かしい、俺的に素敵な思い出である。その時は遊魚券は買っていなかったが、その次からは日券で数回購入し、翌年以降はず っと年券で買うようになった。わからなかった川の名前も、地元の商店で読み方を教えてもらった。仕掛けは今では0.4号を使って20 cm位なら引っこ抜いてしまうようになった。
  しかし渓流魚に出会った時の感動は今も忘れない。

 今日もあの日と同じ場所で、型の良い岩魚を釣りました。

 

  釣果
 


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