2004年6月26日〜27日

増水

(俺・マッサー)



 前回の釣行から2ヶ月半経ち、渓流釣りの感覚を忘れそうになっていたが・・やっとチャンスが来た。

 今回はマッサーと2人で山小屋1泊コースという予定をたてて、入念にパッキングをして25日の夜を待っていた。

 梅雨時だけにダムや本流の水位が気にはなったが、情報が少ないだけに行ってみないとわからない。
  不安と期待が入り混じる心境で出発の時を迎えた。

 出発の日の夕方、自宅で車に荷を積んでいる時にマイカーのバッテリーが上がってしまった。なんてこった、いきなり嫌な予感。

 メカに疎い俺には手に余る事態だったので、急遽マッサーに連絡して新品のバッテリーを買ってきてもらい、取り付け作業までやって もらった。

 新品のバッテリーを得たマイカーで大井川沿いを走り、目的地が近くなってきた。しかしここで再び問題が発生した。

 目的地までの一本道の某トンネルが、工事のために夜間通行止め・・。この時、時間は24時半。仕方がないので通行止めが解除され るAM6時まで、近くの駐車場で仮眠を取る事に。
  釣り場への朝一番乗りは絶望的な状況になってしまった。

 

 26日。駐車場を出発して昨夜のトンネルを無事通過するも、既に辺りは明るい。他の釣り人が何人か先を行っているかもしれない。

増水&ブッシュ

 込み上げる不安を抑えながらも運転していると、濁流&増水の本流が見えてしまった。

俺:「うーわ、ダメだこりゃ。」
マ:「マジで?」

 見たくない状況を目の当たりにして、俺は急激にテンションが下がった。

 とりあえず目的の川の出合まで到着したが、ダムの水も茶色く満水。本来の目的地の川は諦めて、次の候補の川を見に移動した。

 ・・しかしそこも入渓ポイントがバックウォーターに埋もれていて却下。

 うーん・・ここまでくると最早あの川しかないか。マッサーの渓流デビューのK川なら、濁りも控えめだろう。
  再び来た道を戻り、K川出合に行ってみた。

 しかしここも・・深みのある濁った本流が通せんぼしている。

 K川には登山道があるので山越えでも行けるのだが、いつも本流を渡渉して簡単に入渓している俺的にはやる気が萎えてしまった。

 そして昨夜の睡眠不足が襲い掛かって、何もしないまま眠ってしまった。

 昼頃に目が覚めたが、やはり水位は引いていない。

 俺が現状を後ろめたく思っていると、マッサーが山越えルート強行を提案してきた。そうだ、こんなところで止まっていても仕方がな いんだ。

小判型?

 パートナーのありがたさを感じながら、出発の身支度をして歩き出した。

 俺的には一度来たことがあるのでなんとなく覚えているが、マッサーはいきなりの山歩きに戸惑ったことだろう。

 結構急な角度の道だったので疲れたが、1時間ちょっとでK川に辿り着いた。

 この時、下ってきた釣り人に遭遇して40cmの岩魚を見せてもらった。ヤバイ、完全に先を越されている。
  俺達も山小屋に着く前に晩飯分をキープしなければ。

 しかし濁りはキツくはないもの、増水とブッシュでかなり釣り難そうだ。とりあえず俺達は遡上止めの手前から釣り始めた。

 釣り場のスペースが狭いので、竿の長さに対して半分位の仕掛け(提灯釣り)で餌を放り込んだ。

 久しぶりの魚信は1投目から来た。18cm程のアマゴのようだが、体高が高いというよりも小判のような体型だ。

 不思議な魚だったがリリースして、その先のポイントからマッサーに先を譲る。

 暫く反応がないまま釣り上っていたが、遡上止めの滝でついにマッサーの竿が撓った。

攻めるマッサー

 結構元気の良い魚のようで取り込みがおぼつかなかったが、なんとかランディングに成功。

 マッサーのファーストヒットは25cm程のアマゴで、満足の様子だ。

 そして2人共ボウズを逃れたところで再び歩きに専念した。

 約10ヶ月ぶりの山小屋に着いたのは16時過ぎだった。空は朝からの曇り空のままだ。

 前回とは違って誰も居なかったことをいいことに、早速小屋の中でバルサンを発動しながら薪を拾う。

 薪はかなり湿っていたが、必殺の点火方法でなんとかなりそうだ。

 薪を組んだ後、バルサンの待ち時間の間に近くの水場で竿を出してみよう。

 しかしここも増水とブッシュで思うように釣りが出来ない。水位が高いのでアプローチし難かったり、よく育っている感じの木々に仕 掛けを引っ掛けたりと、悪戦苦闘だ。

 結局日没まで粘ったが釣れなかったので、米を研いで水を汲んでから小屋に戻った。

 戻ってからは小屋の換気をしながら晩飯の支度だ。晩飯はレトルトカレーとあさげだから簡単である。

 薪もうまく燃えているから、マッサーのアマゴもよく焼けるだろう。

マッサーの1匹目

 そして小屋の換気が済み、待望の晩飯タイムだ。今回の米は完璧の出来だったので気分が良い。

 そしてやかんで暖めたカレーを米に乗せて食べてみると・・すごく美味しかった。

 環境がそう感じさせているのもあるが、今回も晩飯の出来が良いのも事実だ。カレーは泊り掛け釣行の定番メニューにしよう。

 晩飯を済ませて満足した後は、これまた楽しみの晩酌だ。今回のお供はマッサーが持ってきたブランデーだ。

 晩飯の時から遠火で焼いていたアマゴも食べ頃になってきて、すごくキレイに焼けていた。

 実際にアマゴにかぶりついたマッサーは、完璧な焼き加減の美味しさに感心していたようだ。

 良かった、去年は火加減を誤って半生に焼けた岩魚を食わせてしまったから・・ようやく炭火焼の美味さを伝えられたようだ。

 気持ち良く酔った俺達は22時頃寝袋に収まった。

 

 27日。AM5:00に目覚ましをセットしたはずが、2人共起きたのは8時過ぎだった。

 俺的には実に快適な睡眠だったが、マッサーは少々寒かったらしい。

快晴の2日目

 寝坊はしたが、特に焦ることもなくゆっくりと朝食をとる。

 朝飯は米を炊いてふりかけをかけるというシンプルなものだったが、昨晩同様の出来の良さで満足した。

 そして晴天の中、身支度を整えて小屋を出発。登山道を下りながらピンポイントで竿を出していく。

 やはり川の状況は昨日とあまり変わっていないが、それでも数cm程水位が下がっているようだ。

 道が川に近づいてきたところで、めぼしい淵を見つけて竿を出してみた。

 そして何回か仕掛けを振り込んでいるうちに、俺的に本日1匹目が釣れた。20cm程のアマゴだったが、どうも放流モノっぽい。

 キープサイズには程遠いのでリリースをしたが、昨日と同様で後が続かない。マッサーも釣れていないようだったので場所を移動する。

 少し歩いて吊り橋を渡ったところで再び竿を出してみる。

 とりあえずいつも魚が出るポイントなのでマッサーに先を譲り、俺はちょっと離れたところで細かいポイントを探っていく。

 しかしそこでもなかなか反応は薄く、18cm程のアマゴと22cm程のイワナを釣ってからはアタリが遠のいてしまった。

 とりあえず俺は竿を仕舞ってマッサーの様子を見に行くと、マッサーのクーラーは腰から外されて岩の上に置いてあった。

 竿を振るマッサーを尻目にクーラーを覗いてみると、水を張った中に25cm程の岩魚が1匹活かしてあった。

 なんとかキープサイズが出たようで一安心だな。

 しかしその後も暫く粘っていたが特にキープサイズは出なかったので、25cm程が脱走したのをきっかけに終了モードに入った。

 帰りも来た道を辿って歩き、不思議な白い植物を見つけたり、野イチゴを摘みながら帰路に就いた。

 久しぶりの渓流釣りは増水で思うように釣れなかったが、一応イワナもアマゴも出たので良しとしよう。

 それになによりもマッサーがキープサイズを釣ったので俺的にも嬉しい。次は7月末の2泊コースだ!

   

水位も戻ってきた


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