2003年5月23日 〜25日 |
ヒョー!! |
(俺・ナオキ) |
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22日夜、いつも通り車止めに到着した。今回はテント、バーナー、コッフェル、渓流シューズを購入してきた。新しい装備で源流域 を丸一日釣ってくるという俺達的に壮大なプランとなった。
目的地は初めてのU川。初めて尽くしの釣行に期待しながら車内で眠りにつく。
翌朝AM5:00に車を出発。重い荷を背負いながら林道を歩き始めるが、所々崩れていて通過に手間取る。
とりあえず30分歩いたところで軽く休憩する。
まだ月が見える空は晴れ渡っていて、小鳥のさえずりと川のせせらぎしか聞こえない。今日も他の釣り人は来ていない模様だから気分 も良い。
しかし下の方に見える川の色は生命反応が薄そうな無機質カラーで少々心配だ。まぁ上の方まで行けばなんとかなるだろう。
6:30になって3回目の休憩をしていると、林道跡が河原に消えてしまっていることに気付いた。
今までなんとか道沿いに歩いてこれたが、ここから先はもうなくなってしまったのか?
仕方がないから足場の悪い河原を上っていく。
7:00。4回目の休憩。今回は過去の経験から、歩行ペースを保つために30分おきに休憩を取るようにしている。
おかげでここまでは特に疲労はない。30分歩いた河原も再び林道が復活したので多少歩き易くなっている。
7:30になって、林道脇に雪の塊が目立つようになってきた。今は晴れていて暑いくらいだが、この先はやはり雪がたくさんあった りするのだろうか。
廃道化した林道とはいえ、勾配は相変わらず緩いので特に疲労はないまま進む。
林道の荒れが落ち着いてきた8:20、一つ目の堰堤が見えてきた。あそこまで行けば目的のテンバまでの2/3に至る。
すぐ横の川を見ると水の色はまだイマイチだが、大石の陰に小さなイワナが見える。これを見て俺達も心をときめかせて一気に歩いた。
一つ目の堰堤に到達した。堰堤上部は浅く広いプールになっていて、水の色も俄然良くなってきた。
一服して再び歩き出すが、ここからは川通しで上ることにする。
川通しで歩き始めて、今日初めて水に浸かった。さすがに冷たい。
今回導入した新装備の渓流シューズ&砂利ガードの効果は実に素晴らしいものがあるが、冷たい水温だけはどうにもならない。
極力渡渉は避けて先を行く。
暫し歩いて地図で確認すると、目的地が近くなってきたので釣りながら進むことにした。やっと竿を出せる。
とりあえずタモを出してエサ捕りから始めるが、もうこの瞬間から気合が入る。
石をどけているとオニチョロはぼちぼち捕れたが、困った事にサンショウウオも結構居た。
俺的にはかなり苦手な為、タモを掬い上げる度にビクビクしてしまう。
この時点では渓相はあまり良くはないせいか、20cm程度のイワナが数匹釣れただけで、それほど魚影は濃くないようだ。
12:50。テンバ候補地を探しながら釣り上って行くと、左岸側の河原より一段高い所に狭い平地を見つけてここをテンバ候補にした。
近くの枝沢には大きな雪の塊が残っていて朝晩は冷えそうだ。
とりあえず荷物をここに置いて釣り上り、他の候補地も物色しながら上流を釣りに行くことにした。
1時間半程釣り上って8寸級のヤマトイワナを数匹キープしたが近くには程良いテンバが見つからずに戻ってきた。
魚を捌き、薪を集めて初めてテントを組んだ。
3人用の小さなテントだがそれだけに場所も取らずに完成し、出来栄えに満足だ。
そして米を研いで、これまた初めてコッフェル&バーナーを使った晩飯の準備だ。初めて尽くしで楽しさ最高潮だ。
しかし・・。
15:40、焚き火を熾して間もなく雨が降ってきた。いつの間にか空はどんよりしている。
「なーんだよー。」
と呟いた瞬間、雨は突然大粒に、そして固くなって地に音をたてて降ってきた。
「いててて・・!何だこりゃ!?」
「雹だ!!」
5mm位の氷の塊が大量に降り出しては食事の支度もままならない。
急いでテントに逃げ込んで難を逃れたが、テントを叩きつける音は激しい。
初めてのテントにこんな不安な気持ちで逃げ込む羽目になるとは。トホホ・・。
結局数十分後雹は雨に変わったが、準備中だった晩飯はそのまま放置し、テントの中でコークハイを飲んだ。そしてそのまま一歩も外に 出ることなく寝袋に収まった。
24日の朝が来たようだ。わりと快眠できたが、テントから出ると寒い。
空は晴れてはいるが辺りは昨日の雹が散らばっていて、枝沢の雪の塊も健在だ。
昨日の晩飯の支度をそのまま流用して朝飯をとったが、朝からイワナを焼いたのは初めてだ。
飯も魚も完璧の出来で、朝から満腹だ。たまにはいいかもしれないな。
それに今日は丸々一日源流域の釣りができると思うとワクワクする。
AM8:00になり、テントを出発。昨日釣った区間を飛ばしてから竿を出す。
9時から11時位までゆっくり釣り上るが、釣れてくるのは7〜8寸のハイブリットばかり。
一見ヤマトかと思ったが、よくよく見ると背中にうっすらと小さな白点が見える。リリースを繰り返し先を行く。
11時を過ぎて、某支流との出合まで来た。ここまで魚影はまあまあ濃いが、キープは少ない。
ここでナオキが支流でちょっと竿を出し、俺が本流を釣り上っていく。すると間もなくナオキが魚を掛けたようだ。
そしてなんとかランディングしてこちらに向かって掲げている。どうやら良いサイズのようだ。
近くに行って見ると、なかなか大きいヤマトイワナだ。
測定の結果31.5cm。初めて来たこのU川での尺イワナに思わずナオキもニンマリだ。
その後もボチボチ釣れるが、25cm以上のサイズはなかなか出ない。13時の昼食の時点でナオキが2匹キープしているだけで、俺 はまだクーラーの中は空なのだ。ヤバイ。
15時を過ぎた頃、やっと俺にもキープサイズが来るようになってきた。
2匹目のキープは9寸のヤマトで、この川特有の縦長のパーマークが連なったような模様の魚で、型も悪くない。
とりあえず雪と一緒にクーラーに入れる。
そして15:40、魚止めの滝に到達。ここからは引き返して、やり残したポイントを拾いながら戻る。
ゆっくり下って17:30にテンバに到着。幸い他の釣り人は来ていないようだ。
今夜は夕立もなさそうな空なので焚き火を熾して食事の支度をする。結局キープは2人で8匹だった。
晩飯用に4匹捌いたが、そのうちの1匹はやたらと腹が膨れていて、恐る恐る腹を切ってみると、胃袋から折れ 曲がった20cm位のサンショウウオが出てきた。
「あ゛あ゛あ゛・・。」
考えてみれば別に珍しくもないことなのだが、両生類に弱い俺的にはショックはデカい。
既に息を引き取ってはいるが、とりあえずナイフで払いのけて一心不乱でそのイワナの腹の中を洗った。
『イワナは獣』とはよく言ったものだ。
20時を過ぎて無事食事も済ませ、暗闇の中で火に照らされたイワナもいい色になってきた。
今回も絶妙な焼き加減に仕上がり、至福の時を過ごすことが出来た。
25日の朝が来た。AM5:00に起きてテントから出ると寒い。焚き火を熾し、ゆっくり火にあたって食事の支度をする。今日も は晴れているのでちょっとだけ釣り下ってから帰る予定である。
7:30に荷をまとめて、竿を出しながらテンバを後にする。
しかし上流部ほど数も型も出ない。渓相は穏やかだがそれだけに決定的なポイントもなく、サクサク釣り下った。
10時前に一つ目の堰堤に到達。結局帰り際のキープは1匹のみ。テンバより下流は魚影が薄いようだ。
そしてここからは歩きに専念することになった。
2時間後、無事車に到達。源流の生活を楽しめて満足だった。