2014年12月13日

細い奴

(俺)



 冬真っ盛りの県中部地域では強烈な西風が連日吹き晒すようになり、この週末も例外ではないようだ。

 まだ暗いうちから自宅を出発し、今回の目的地である清水の海岸に着いたのは日の出前だった。

 とりあえず広い海岸のどの辺りで釣れているのか、確認の為に早めに着いて様子を窺う。

ロケーションは良好

 しかし広い海岸線を物色する間、多くの疑似餌師達がジグやらエギやらを投げているものの、肝心な餌釣り師達は少ない。
  しかも部分的に強烈な風が当たるので、釣り場は限定されそうだ。

 暫し様子を見ている間に、風裏になるポイントに徐々に餌釣りのオッサン達が集まるようになってきた。どうやらあの辺のようだな。

 大凡の釣り場の目星を付けた俺は車を最寄りの駐車スペースに移動し、集まり始めたオッサン達から距離を置いた所に釣座を確保。

 陽が昇って明るくなってきたAM7時過ぎから釣り始めてみた。

 今回の仕掛けは以前初めて本命を釣った時の仕掛けを改良したもので、実際に使うのは初めてだ。

 餌は昨夜から融かしていたコマセのアミエビと、付け餌は約3年前の使い掛けの大粒アミエビである。

 まだまだ経験の浅い分野なだけに、期待よりも不安の方が大きい。

 広い海面に仕掛けを投入し、アタリを待ちながら他の釣り人達の様子にも気を配る。

 潮は左から右へと流れているようで、既に釣り始めていた数人の釣り人達は時々竿を曲げている。

 遠くてよく見えないが、釣り上げられているのは本命らしい雰囲気だ。よし・・釣れるかな。

 晴れた空の遥か上空では雲の破片が恐ろしい速度で流れていくが、幸い俺達の釣座は風の影響が少ないので釣りに集中出来る。

 真正面によく見える富士山をバックに、ウキの動きと他の釣り人の動向を観察し続ける。

 そして釣り始めて20分程経った頃、不意に俺のウキの横で水面に飛び出す細い銀白色の魚影が見えた。

約3年ぶりのサヨリ

 「あっ。」

 よりによってよそ見をしていた時だったので、アワセが間に合わずにバレてしまったようだ。

 嗚呼、惜しい事をした。しかし間違いなくあれは本命だったな。

 気合を入れ直して仕掛けも入れ直す。

 俺のウキにはなかなかアタリが出ないが他のウキを見ていると、誰かの仕掛けの着水時などに周囲に魚が跳ねる様子が見られるので、 案外魚影は濃いのかもしれない。

 ・・とはいうものの、本当に反応が渋いな・・。

 そして最初のバラシから30分程経過した頃、ようやく2度目のアタリが出た。

 俺のウキが突然横に動いたと思ったら、その脇で細い魚が飛び出した。

 今度は素早くもソフトにアワセを入れて、リールを巻き始めると仕掛けの重さ以上に微妙な手応えが上乗せされているのを感じる。

 無事に浜辺へ引き上げてみると、25Cm程の本命・サヨリが釣れていた。

 よし、ようやく1匹GETだな。それにしても久しぶりに釣ったが、やはりもう一回り大きな個体を釣りたいものだ。

 素早く撮影を済ませてキープし、仕掛けを投入する。

 明るくなるにつれて釣り人達も徐々に増加し、広く取った筈のスペースも何時の間にか囲まれてしまった。

 その後も数少ないアタリを多数バラしながら、ぽつりぽつりと釣り上げていく。

 それにしても周囲のバラシ率も同様に高いことから、この魚は針掛かりさせても油断ならない奴である。

 しかし仕掛けの投入直後にHITする事もよくあるので、警戒心が強いという訳でもなさそうだ。
  まだまだ個人的に馴染みの薄い魚である。

 そして散々粘って昼を回り、アタリが遠のいてきたので竿を納める事にした。

 結局半日釣ってキープは4匹のみ。

 バラシの多さが一番の問題だが、仕掛けが絡み易かったのでリロードに手間取った事も反省しなければならない。

 次はもっと信頼出来る仕掛けを作り上げて集中し、もう少し大きなサイズを効率良く釣れるようにしたい。

 

不満の残る釣果





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