2014年7月26日 | 夢幻の岩 |
(俺・ミハラ) |
---|
空梅雨だった静岡県も梅雨明けが宣言され、その週末は穏やかな海況と真夏日が予報されていた。
こんな暑い時は山へ行ったり日陰でぐったりしていたいところだが、やはりそう甘えた過ごし方はもったいない。
誕生日を迎えたばかりのミハラにアポを取り付け、予てからTRYしてみたかった事を実行する機会となった。
AM8:30頃、炎天下の下で到着したのは古くからの馴染みである浜当目だ。ここへカヤックを持ってきたのは初めてだな。
海水浴場では気の早い子供達が既に泳いでいるくらいの暑さである。
今回は俺のカヤックを用いてあるポイントへ行ってからの釣りという予定なのだ。
しかしカヤックは一人乗りタイプという事になっているうえに、俺はKFで他人と同行した事が無いので、まずは2人で乗れる かを試してみるという事も目的の一つだ。
暑くなり始めた浜辺で支度が整ったら早速2人乗りにTRYしてみる。
すると予想通り、大人2人が乗っても浮力に余裕がある事が確認出来た。素晴らしい性能である。
とはいうものの、浮力は問題無くてもその上のスペースやバランスの事も加味して考えると、やはり浮きながら2人で釣りをす るのは若干苦しい感じだ。
そんな訳で、波打ち際で暫し水に慣れたら、カヤック初体験のミハラに上で漕いでもらって俺はカヤックに掴まって泳ぎながら 目的地を目指す事とした。
海面は少々うねりがあるものの、ほぼ無風なので快調に進んでいく。
俺は海水に浸かっているので涼しさ100%。ミハラも水面が近いせいか特に暑くはないようだ。
海水浴場を覆うテトラ帯の外側を北上し、休憩を挟んで目的地やプランの確認など、話しながらの移動は個人的に新鮮な感じだ。
徐々に遠くなっていく陸っぱりの釣り人達を横目に、期待も高まっていく。
それにしても小学生の頃から慣れ親しんだ海岸とはいえ、その沖の事となると殆ど未知なる海域である。
俺的にはかつてボートでこの付近まで来た事はあったが、それも既に忘却の彼方だ。
今回は目的地周辺が砂底である事を想定しているので、限られたスペースには鱚釣りの道具だけを積み込んできたが・・。
そして目的地が近くなった頃、近くの小さな島の付近で暫しシュノーケリングを楽しむ。
この島は直径2m程の小さな岩だが、満潮時でも沈まないので島と言えるだろう。
しかし潜ってみるとその周囲はなだらかな駆け上がりではなく、島の面積分の垂直な壁からなっていた。
比較的浅い海底は完全な岩場で、魚影は黒鯛が数匹、それにカサゴとキュウセンを見る事が出来た。
そして9時30を過ぎた頃、いよいよ目的地へ移る事に。
島から少し東を見ると低い岩場が頭を出しているのが見える。先程の島とは違ってある程度駆け上がりがあるようで、波に洗われ ているが・・。
この岩場こそが今回の目的地である、干潮時にしか現れない暗礁のポイントなのだ。
子供の頃から岸で眺めていた憧れの場所の現実を今、体感しよう。
うねりの影響もあってか、岩場の周囲は波と流れが複雑でなかなか近付き難い。
相変わらずミハラにカヤックの上を任せたまま、俺は下から座礁しない様に距離を支えつつ上陸の機を伺う。
そして何度かのTRYの末、ようやく未知なる岩場へ上陸する事が出来た。
時折押し寄せる大波に注意しつつ、カヤックを安定する位置まで引き上げておく。
足元から観察してみるとフジツボやカメノテ等でビッシリと覆い尽くされ、人の手が全く入っていない事がわかる。
先程の島からは200m程沖になるので、水深は若干深くなっているだろう。今度は海底の様子が見えないので、いよいよ釣りの 支度だ。
しかしミハラは長らくカヤックの上に居たせいか船酔いを発動してしまったようだ。そういえばこの男、昔から船やバスに滅法弱 い。
仕方が無いので釣りは俺が先行して始め、ミハラは暫し岩場で休憩してもらう事に。
上陸した岩場のスペースは大凡4畳半程度だろうか。大波が来る度に半分近くまで潮が乗りあげてくるのでなんとも落ち着かない 中、とりあえずは仕掛けが完成した。
そして仕掛けを投入してみたものの、周囲の何処へ投げても海底は岩場の様で鱚釣りが成立しない。
なんてこった、ここまで完璧な岩の世界だったとは・・。
仕方が無いので投げ釣りは諦め、仕掛けを流用したまま足元での探り釣りに転向してみる。
すると早い段階でカサゴが連釣した。2匹目に釣れた個体はキープ出来るサイズではあったものの・・。
なんと針外しを忘れてきたようで、カサゴを狙うとなると手返しが極悪という事態になってしまった。
そして結局そんな臨機応変の釣りも早々に諦め、船酔いが完治しないままのミハラと共に帰還の途へ就いた。
今回は釣りとしてはポイントの予想が外れ、道具にも不備があったので満足に釣れなかったが、子供の頃からの憧れだったポイン トに行く事が出来て良かった。
釣果も副産物も渋かったが、この体験は一生モノの思い出となるだろう。