2010年6月11日〜12日

とはいうものの

(俺・タイソン)



 今回は暫くぶりにタイソンの都合がついたので、俺達的に数年ぶりとなる釣り場へ2人で向かった。

 静岡県も翌週辺りからいよいよ入梅の気配が漂ってきて、その影響なのか今宵は素晴らしく穏やかな環境となっていた。

 夕マヅメに釣り場に着いた俺達は揃っていつもの根魚狙いの仕掛けを作り、早速夜型の釣法で探り始める。

 すると間も無くリリースサイズのカサゴが釣れたが、キンギョの数もなかなか多いようだ。真っ暗になった堤防で俺達は本命とキンギョが交互に入れ掛り、早くもリリー ス合戦となった。

 前回来た時も似たような時期だったが、これほどキンギョが濃かっただろうか・・。しかし徐々にド干潮に近付く環境ながら魚信は依然衰えず、時の経過と共に少しずつ カサゴをキープしていく。

 そして22時40分を回った頃、俺の竿に本日初の強烈な獲物が掛かった。

黒鯛40cm

 その引き応えからして獲物が黒鯛であることは容易に想像がついたものの、元気が良いようでなかなかスタミナが尽きない。

 根が無いポイントなのでのんびり慎重にやり取りした数分後、タイソンに掬ってもらって無事に御用。

 堤防上に降ろして明かりを照らしてみるとやはり黒鯛だったが、測定してみると意外な事に40cm。もう一回り大きいかと思う引きの強さだった。

 タイソンが羨望の眼差しを注ぐ黒鯛をスカリにキープして間も無く、再び強烈なアタリを捕らえたが今度はすぐに針外れでバレてしまった。

 鯛のジアイ到来か?更に数分経って三度良型を思わせるアタリを捕らえ、今度はガッチリ針掛かりさせた。

 1発目の鯛の引きを凌ぐ強さに感じられたが、それもうまく往なしてまたタイソンに掬ってもらう。

 しかし正体を確認してみると今度は黒鯛ではなく、少々痩せ気味な39cmのメジナ(ノーマル)だった。今回は黒鯛と区別がつかない引き方だったなあ。

 とはいうものの、強い引き応えを立て続けに味わって満足だ。あとはタイソンに初黒鯛が出てくれることを祈ろう。

 その後干潮の潮止まりを迎えると、根魚のアタリは一旦休止を迎えたようで殆どキンギョしかアタらなくなったものの、潮が動き出した頃には再び魚信が復活した。

 するとここで遂にタイソンに強烈なアタリが出たようだ。

 ・・が、殆どやり取りをする暇も無くアワセ切れ(?)でバレてしまったようだ。貴重な獲物の損失に溜息を漏らすタイソン。
  本気で狙っている訳でもないが、なかなか遠い獲物である。

 どうにかタイソンに再び鯛の影が近付いてくれる事を祈りつつも、俺は俺で復活した根魚を夢中で釣っては放つ。

 そして潮止まりから1時間経った24:30頃、フォール中の俺の仕掛けにまた何か良型が喰らい付いたようだ。

 遊動式の錘が妙な抵抗を引きずったまま着底を感じ取ってから、ようやく異変に気付いて仕掛けを巻き上げると突然竿先が曲がった。

 これもなかなかの引き応えだが、さっきまでの鯛とは明らかに違うパターン・・。

 無事に水面まで連れ出したものの、新月で真っ暗な海面なのでやはり目視で確認は出来ないが、抜けるかどうかの微妙なサイズのようだ。

 少し迷ったが獲物に充分に空気を吸わせ、結局引っこ抜くことにした。

 そしてなんとか堤防上に引き上げて明かりを照らしてみると、そこには色鮮やかなカサゴが横たわっていた。

尺オニカサゴ

 おお〜、コレはカサゴの記録サイズ更新モノじゃないか?・・あれ?

 よく見ると通常釣れるカサゴではなく、たまにしか釣れないオニカサゴだった。

 これまたスタミナ残っているようでなかなかメジャーに添い寝してくれなかったが、なんとか落ち着かせて測定してみると30.5cm。尺越えは果たしたが、ノーマル ではないのでレコード更新というわけにはいかない。

 とはいうものの、コイツは美味しい獲物なので活け作り確定でキープ。タイソンからもお褒めの言葉を頂いた。

 そしてその後もコンスタントにキープサイズが続き、俺達的な公式記録タイの27cmのカサゴ(ノーマル)も追加。

 延々と続くジアイに応えるべく、俺達も疲れを振り切ってひたすら釣りまくった。

 そしていよいよ空が白んできた頃、俺達は根魚狙いの竿を置いて朝の青物狙いの支度を整える。

 俺は今日こそ初飛び魚をGETすべく、遠投サビキ釣りを開始。タイソンは知人から得たという情報を元に時期尚早かと思われるジギングを始めた。

 しかしどちらもなかなか思い通りに事は運ばず、海面には一向にナブラは出ないし飛び魚の気配もない。ようやく俺の仕掛けのウキが沈んだと思ったら、20〜25cm の鯖ばかり釣れてきた。

 そのうち空振り続きのジグに疲れたタイソンもサビキ釣りで遊び始めたが、キープするような獲物は掛からないまま遂にコマセが終了。空も陽が昇り、今日も快晴の様子 だ。

 明るくなった堤防沿いには黒鯛の影もチラチラ見えるが、今回はそれなりに豊漁だから満足である。そろそろ潮時か・・。

 とはいうものの、昨夜バラした黒鯛と思わしき獲物に未練が残るタイソンは黒鯛のチラリズムに目を奪われていた。

俺:「せっかくだからちょっとやっとくか?落とし込みの針・錘ならちょっとだけ持ってるぞ。」
タ:「ホントに?」

 俺自身、基本的に黒鯛の落とし込みという釣法は殆どやった事はないが、何年か前に貰った道具を少量携帯していたのが日の目を見る事となった。

 知識のみの釣法をタイソンに伝え、2人でにわか仕込みの仕掛けを作ってみる。餌は昨夜使い切ってしまったから、その辺に居るイワガニを捕獲して甲羅の端の方へ針を 通してみた。

タイソンの初黒鯛

 そして2人で別々に黒鯛目掛けて探り歩いていくと、10分と経たぬうちにタイソンが叫んだ。

タ:「掛かったぞ!」

 まさか!?こんなに早く??
  嬉しさの前に何かの間違いじゃないかとさえ思ったが、俺は自分の竿を置いて彼の元へ駆け寄ってみると、確かに竿が弓なりに曲がっていた。

 見ているだけでわかる、いつもの根魚とは一線を画する強烈な引き具合に思わず興奮してきた。いよいよこの時が来たか。

 奮闘するタイソンの横で俺はタモを片手に応援していると、明るい海中に獲物の姿が見えてきた。
  おおお、黒鯛だ!

 そして入念に獲物の体力を消耗させたところでランディングに成功。

タ:「やった!ありがとう!」

 遂にタイソン的初黒鯛GETである。測定結果は45cmと、初めてにしては上等なサイズだし、何よりも狙って釣ったという事実が喜びを大 きくさせてくれたようだ。俺も自分の事のように嬉しい。

 そしてその後俺も同様に目視しながら難無く喰わせ、カニ餌では初めての黒鯛を釣り上げた。
  なるほど、これは簡単だ。この釣り場では技術もなにも要らんな。

 2人共見える黒鯛を釣って満足したところで竿を収める事とした。

 今回は久々の釣り場という事で若干不安はあったものの、たまにしか同行できなくなったタイソンと2人で釣果を出す事が出来て良かった。
  今日のキープを持ち帰り、タイソン家での反応が上々であれば次回の参加もより近くなる・・といいな。

 ただ今回は一部釣り逃した獲物達がいたので、近々もう一度この釣り場へ来てリベンジしたいと思う。



釣果



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