2015年1月24日 | 代償と危険 |
(俺) |
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1月も後半となった週末、雨上がりのホームの海岸は穏やかな天候が予報されていたので、今年2回目のKFへと行く事 とした。
金曜、いつものように仕事明けで現地へ直行したが、湿っぽい海辺は風こそ無いものの波が高く、出港を断念。翌日に順 延とした。
そして24日、AM4:30。土曜日に来るのは久しぶりだ。
まだまだ真っ暗な駐車場は人気は無く、気温は5℃と比較的温い。一応波打ち際まで偵察に行ってみると、昨日の波はだ いぶ治まっているが、まだ油断出来ない気配だ。
とはいうものの、昨日と同様に風は微風程度なので支度をする。
そして5時を回った頃に準備は整ったのだが・・日の出時刻までまだ長いうえに曇り空という事もあって、視界はまさに 夜中のそれである。
真っ暗な波打ち際で出港のタイミングを計るが、未だ少々波が高いのでなかなかの恐怖だ。
以前にも夜明け前の出港で同様の恐怖を味わった事があるが、あの時は見えない波をモロに喰らって怖い思いをしたもの だ。今回はうまくやりたい。
そして暫しタイミングを計ってから真っ暗な波間へと滑り込み、絶妙のタイミングで無事に出港した。
出港さえしてしまえば今日の困難は終わったようなものだ。陸っぱりも沖も釣り人は居ない様で、今日もこの海域を独占 か。
とりあえずは暗闇の海面をのんびり進みながら魚探を覗き込む。
すると表層から海底まで様々なところで頻繁に、それに比較的大きな反応も見られてテンションが上がってきた。
西からの微風でゆっくり流されながらも、まずは先日購入したばかりの疑似餌用ロッドにジグ&サビキを組んで様子を見 てみよう。
しかし幾つもの反応に仕掛けを直撃させたが一向にアタらず、終いには海底付近の反応に根掛かりして仕掛けをロストし てしまった。
今までここで根掛かりするなんて事は滅多に無かったので、サビキの予備は持ち合わせが無い。
仕方が無いので暗闇の疑似餌は一旦諦めて、メインの餌釣りに移ろう。
少し移動してから餌釣りの支度をするが、今回は趣向を変えて餌に25Cmの鯵を使った大物狙いにTRYしてみる。
仕掛けを投入して海底付近に餌を漂わせながら、雲の向こうから少しずつ明るくなってくるのを感じる。
・・が、なかなか反応が出ない。
相変わらず西風が弱く吹き晒しているのでパドリングも交えながらアタリを待つが、手先が冷えて少々厳しい。
暫し待っては移動してアタリを探り続けたが、結局日の出を過ぎても反応が得られなかったので。大物狙いは諦める事にし た。
その場で仕掛けを交換して、自作2本針仕掛けとオキアミ餌によるいつもの万能底物狙いに切り替える。
完全に明るくなった陸の方に目をやると、天気予報につられてきたのか他のカヤック達も浜辺で準備を始めていた。
俺的にはせっかく暗い未知なる海に来ていたのに、その間の釣果が無いのは惜しい。
幾つもの魚群反応の正体を確かめる為にも、また同じ状況にTRYしなければ。
仕掛けを換えてからは程なくしてアタリが出始めて、今日も外道達は好調のようだ。
潮は緩いので流しながら釣ってみたり、転々と移動しながら土産を捜索する。
しかし無数の外道達を放ちながらもだいぶ経った頃、再び仕掛けが根掛かりしてしまった。
朝一番でサビキをロスしたポイントにも割と近いが、やはりここも今まで根掛かりした事は無いのでなんとも腑に落ちない。
ところがそんな事を考えながらも、仕掛けが根から外れないかと竿を数回煽った際・・!
“バキッ!”
「わあーー!?」
なんと竿が折れてしまった。
しかも折れた部分を起点に道糸のPEラインも高切れしてしまうとは・・。
ぐああ・・まだ序盤だというのにメインの釣りが早くも強制終了だ。土産も得られぬうちからの悲劇にショックは大きい。
それにしても一体この下の反応は何なんだ。海底付近に纏まる比較的大きな反応だが魚信は得られず、何時になく根掛かり が多い。
メインの竿の亡骸を片付けて再び疑似餌ロッドに持ち替えて探りながら、ふと思いつく。
浅い方では潮が緩く感じるが、実は深い方は二枚潮で激流となっていて“あるモノ”が流されてきているのかもしれない。
それにしてもこれだけ離れた所まで影響が出るなんて初めての事だ。
竿と仕掛けのロスに加えて早い段階での強制疑似餌化に、テンションは墜落寸前の超低空飛行である。
期待値の高い餌釣りの間に土産を釣っておきたかった・・。
気がつくと曇っていた空は晴れ間が増えてきて、微風だった風も無風と言えるレベルになっていた。
そんな事に気がついた頃、殆ど惰性でしゃくっていた竿に重みが掛かった。
驚くと同時に手応えを確かめながら一定のペースでリールを巻くが、まるで暴れないので石でも引っ掛けたのかと思ったが・・。
水面まで上げてみたら、小型ながら派手な魚が釣れていた。
なんと俺的に初となるミノカサゴだ。
やった、いつか釣ってみたいと思っていたが、遂にその日が来た。
水族館ではお馴染みの魚だが、実際に釣るとなると狙って釣れるものではないので感激も一入だ。
当然食味も興味深いのでキープするが、各鰭に毒針を仕込む危険な魚としても著名なので取り扱いに気をつけなければ。
慎重に取り込んだら、ナイフを使って間接的にそれぞれの鰭を触って尖った針の位置を確認してみる。
すると大きくて毒々しい胸鰭にはほぼ棘は無く、特徴的な背鰭は全部が、そして他の鰭は主に起点の短い部分が毒針のようだ。
殆ど暴れないので慎重にバス持ちをして針を外し、そのままクーラーBOXへぶち込む。
こんな獲物は想定していないので棘や鰭を切る為のハサミなど備えていないのだ。後で気をつけて下処理をすれば良い。
とりあえず今日初めて使った疑似餌用ロッドで、初となる獲物にレアな魚を迎えられた事にも満足だ。
おかげでだいぶテンションも底上げされて、ジグを動かす腕に生命感が宿る。
そして更に間を置かずに再びHIT。
海底で一度アタったものの針掛かりせず、勢いで数m巻き上げた辺りで追い食いしてきた形だ。
今度はミノカサゴよりも数段手応えが良く、楽しませてもらいながら上げてみるとレギュラーサイズのホウボウだった。
よし、なんとか土産を追加出来たな。
期待していなかった疑似餌でも予想外に釣れて、なんとか報われ始めた感じか。
しかしだいぶ陽が高くなってきたので終了の時間となった。
今回も土産は少なく貧果の様相だったが、初めての魚種を得られてそれなりに満足だ。次は餌釣りの方で釣果を重ねたい。