2014年11月28日

逆に流れて

(俺)



 雨上がりの海岸に着いたのはAM7時過ぎだった。
  残業で遅くなった事を悔やむ程に穏やかな海面ではあったが、空は厚い雲が覆っていて辺りの湿り気が凄い。
  とりあえず出港すべく、支度を整える。

曇り空の下

 7:30を過ぎた頃に準備が整い、他に誰も居ない沖へ無事に進出した。

 二日間続いた雨の影響は殆どないようで、海の色はいつもと大差無いが、何故か少々うねりが混じる。

 今日もいつも通りに餌釣りと疑似餌用で2本の竿を携行しているが、まずは陸寄りの駆け上がりラインでエギを流してみよう。

 前回と違って潮が緩いようで、風も無いのでティップランに都合が良い。

 ・・しかし2回流して反応が得られなかったので早々に見切りをつけて、メインの餌釣りに移行する。

 道中の海中探査では魚群は殆ど見られなかったが、それもまあいつもの事なので問題はない。

 いつもの餌釣りエリアへ着いても潮は緩いままだったが、予定通りに餌釣りを開始。

 今回は定番のオキアミの他にイカの切り身も用意してきた。イカは餌持ちが良いので外道対策、それに経済的でカサゴにも有効だ。

 なかなかアタリが無いが、オキアミ餌の方はしょっちゅう盗み食いされる次第なので、何かが居るのだがなかなか針掛かりさせられない。

貧果

 昨年はこんな餌盗りの中からカイワリを釣ったので今回も期待したいところだが・・。

 だいぶ粘ってからようやく釣れたのは20Cm程の、小型ながら丸々としたベラであった。

 近頃の定置網の水揚げではウスバハギがよく揚がっているのでそいつも居るかもしれないが・・。

 その後も餌盗りの勢いは収まらないので、他のポイントも転戦するが、どうにもキープに至らないまま時間が過ぎていく。

 そのうち空の雲も薄れて陽が差し込むようになったが、海中の様子は変わらない。

 しかしそんな中、不意に近くの水面で小規模なナブラが発生した。

 速攻で餌釣りの仕掛けを巻き上げ、疑似餌用ロッドにジグをセットしてナブラに向かって突進する。

 そして水面の反応目掛けてジグを投入。

 ・・しかし何度投入しても反応してくれない。

 ジグのサイズも幾つか変えて試すが、水面で小魚を追う青物らしき獲物達には興味の対象として映らないようだ。

貧果

 退屈な状況を打破するには格好の獲物だと思ったが、残念だ。

 観察の結果、獲物は40Cm程のソーダガツオのようだ。

 ナブラを諦めて再び餌釣りのポイント巡りに移ると、何時の間にか潮が流れ始めていた。
  これは状況が良くなるかもしれない。

 急いで最初の餌釣りポイントへ戻ってみると、その頃には結構な早さで潮が流れていた。

 とはいうものの、潮の流れる方向は南から北へと向かていて、釣果を出してきたいつもの潮とは逆の流れだ。

 この方向の時はまともな獲物を釣った試しがない。

 そして晴れ間と雲が目まぐるしく入れ替わる空の下で長らく粘ったが、昼を過ぎて小雨が降り始めたので終了する事にした。

 楽しい時期のはずだったが、まぁこんな日もある。次に期待しよう。

 

貧果




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