2014年2月22日

荒波の先の妄想

(俺)



 前回のKFから一カ月近く経ち、ようやく天候に恵まれたこの週末はまたホームの海岸へとやってきた。

 日の出前から支度を始めて徐々に周囲が明るくなってくると、空は曇っているようだ。予報通り風も無く、体感温度 もそれほどキツくもない。

 しかしAM6時を過ぎた頃に浜辺で支度が整うと、少々波が高い事に気がついた。確かに波の予報でもそんな内容で はあったが・・これはうまくタイミングを読まないと危ないな。

 周囲には陸っぱりでルアーを投げる釣り人が広い間隔で並んでいる他、県内ナンバーの見知らぬカヤックオーナーも 準備中のようだが、沖にはまだ誰も出ていないようだ。

一番乗りで出港

 曇り空の下、波打ち際で暫し波のパターンを見て出港のタイミングを待つ。
  しかしタイミングだけが頭に入っても体がついてこなければ悲惨な末路になるので少々緊張する。

 そして5分程待ってから絶妙のタイミングで波の隙間へと滑り込み、まずは無事に出港した。

 一度出港さえしてしまえば後はもう帰還時まで危険な要素は無い。ここからは釣りだけに集中出来る。

 今回も餌釣りの竿をメインにサブの疑似餌用との2本立てで臨むが、今日は挨拶代わりのエギは省略して前回の続き をするべく水深80mエリアへと真っ直ぐ向かった。

 魚探の電源が心許ないが、緩やかにうねる海面を蛇行しながら目的の根を捜索する。

 しかし程なくして魚探の電源がEND。根を見つける前に魚探が使えなくなってしまった。

 残念ながら予備の電池は常備してないので、今日は勘に頼って釣る事としよう。

 前回も活躍した俺的なヘビー級錘である80号を天秤にセットしたら自作の2本針仕掛けを組み、餌はオキアミとイ カの切り身を使ってみよう。

 周囲に気を配りながら最初のポイントで仕掛けを投下してみる。

 とりあえずこの海域では俺が一番乗りだろうか。タッチの差で何処からともなく小型のボートも参戦したようで、陸 の方を見ると浜辺にカヤックが3つ並んでいるのが見える。
  さすがは穏やかな土曜日ってところか。

 仕掛けを降ろして様子を見ていると幸いそれほど潮は早くもないので釣り易い。竿先に感じる海底の質感は泥のようだ。

 暫く待っていると、本日初のアタリが出てHIT。

謎の魚

 錘の重さまで差し引くと多分小魚だろうな・・と思って釣り上げてみると、20Cm程の赤い小魚が釣れていた。
  なんだろう、初めて見る魚だ。

 とりあえず撮影を済ませたものの、出目金になっていてリリース不可だったので仕方なくキープする。知らない魚だが、 毒は無いだろう。

 謎の小魚以降も付近を重点的に探るが、なかなかアタリは続かない

 そして20分程経った頃、竿先に違和感を感じてアワせてみると根掛かったようだ。

 この辺で根掛かりなんて今まで無かったので珍しいな・・などと思いながら仕掛けを強引に引っ張ってみると、ズルル ッと仕掛けが戻ったようだ。

 竿を上げながらリールを巻いて回収しようとすると、激しく重い何かが付いているようだ。

 ゴミか?軟体系か?根魚か?

 かつてない重さに妄想が広がる中、休憩ついでに巻き上げを止めてみると竿先がグイグイと引き込まれた。

 よし、何かはわからないが、間違いなくコレは魚だ!しかも手応えからして過去最高クラスのサイズだろう。

 重さに対して引き応えが控え目なのが気になるが、根魚系という事だろう。

 筋肉痛になりそうな労力も、明るい妄想をしながらであれば案外耐えられるものだ。

大型ウミヘビ

 そして苦労の末にようやく仕掛けが水面まで上がり、テンビンを回収。緊張しながらハリスを手繰り寄せてみると・・。

「おお、鱧か!?・・あああっ、ウミヘビかいっ!デケーよ!

 妄想の果てに現れた獲物の正体は、陸っぱりでもお馴染みのウミヘビで、見た事も無い太さと不気味さで俺を現実に引き ずり落としてくれた。

 ウミヘビもこんなに大きくなるんだな・・。長さは1.5m以上あるだろうか。しかもそれが2匹付いていたので重い訳 だ。

 とりあえず仕掛けはもう駄目だろうから切り捨てるしかないが、その際にも暴れて所構わず噛みつくので恐ろしい。

 2匹でぐるぐる巻きになって身動きが取れなくなった物体を切り捨て、少し移動してから仕掛けを作り直して再開する。

 周囲を見回してみると何時の間にか小型ボートの数が増えていたが、陸っぱりのカヤックはまだ待機しているようだ。

 アタリが乏しい中を耐えながら釣っていると、暫く経って23Cm程のカサゴがHIT。

 魚種としてはまぁ良いが、サイズ的にはあと一息といった獲物だ。

 更にその後、アタリを求めて少し浅いエリアへ移って小型のオニカサゴやベラ、トラギス各種も釣れるようになってきたが 、キープは増やせないまま時が流れていく。

 再び周囲を見渡すと、プレジャーボートも3艘ほど追加され、陸っぱりではようやくカヤック達が出港しようかどうしよう か・・という感じだった。

 随分賑やかになった沖合いだがどの船も船上は活気が無く、真冬の釣りの厳しさが滲んでいるように見える。

 そういう俺もここまで僅かなキープのまま、時間は10時近くなってしまった。

 餌釣りではこれ以上粘る気力が無くなってきたので、陸へ戻りながらサブウェポンの疑似餌用ロッドにジグをセッティング する。

カサゴ

 魚探は使えないが、とりあえず今年立て続けに鯖が当たっているポイントでちょっと様子を見てから上がろう。

 そして目的のエリアに差し掛かってジグを投下してみると、フォール中に早速HIT。

 それほど強くもない引き応えだが、明らかな青物系の引き応えを楽しんで引っこ抜いてみると30Cm程度の微妙なサイズ のゴマサバだった。

 予想外に小さいが、速攻で釣れたという事は今日もここに群れが居るという事だろう。まだまだ釣れるはずだ。

 1匹目の鯖を放ってからも案の定入れ食いとなり、釣れてくるサイズも25〜38Cm程とムラがある。

 おまけにサバに混じって25Cm前後の鯵もジグに喰らいついてくるようになり、にわかに楽しくなってきた。

 とりあえずサバは大型を一匹キープすれば良いから、鯵は重点的にキープしていこう。

 幸い他のボート達からは離れていて見えないようで、俺だけの独壇場である。

 ある程度釣ってから気付いたが、今釣れている鯵はどうやら真鯵ではなくアオアジのようだ。

 アオアジだって良い。鮮度の良いうちに食べてしまえば、不味い魚などそうそうないものだ。

 そして穏やかな曇り空のまま昼を迎えたのを機に帰還。

 今回も餌釣りでは貧果を味わってしまったが、またも疑似餌と鯖のポイントによって救われた感じだ。

 次は魚探の電池を新たに、入念に深場の根を攻めたいものだ。

 

安定の鯖 ついでに土産のアオアジ





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