2013年11月8日

赤大

(俺)



穏やかな朝

 AM7:20。ホームの海岸へ行ってみると予報通りの快晴&ベタ凪&無風という最高のコンディションだ。

 沖合いには常連らしきプレジャーボートが一隻見えるだけで、他にボートやカヤックは見当たらない。のびのびと出来そうだ な。

 12℃と少々肌寒い状況の中で支度を整えたが、疎らになった浜辺の釣り人達の間から出港する頃には気にならない温度にな っていた。

 準備が整ってスムーズに出港を済ませたら、まずは久しぶりのエギを使ってイカを狙ってみる。

 以前釣ったのはもう半年以上前のコウイカのみなので、今日はアオリイカが掛かる事を祈りつつティップランを敢行した。

 天候や海面は穏やかだが、潮はやや速く南へ流れているようだな。

 後の餌釣りに備えて持参したアミエビの解凍を急ぎつつ、適当に竿を煽ってエギにアクションを加えながら様子を見る。

 アミエビは袋から出して空気中で気温による自然解凍をしているだけでは解凍が遅いので、頻繁に海水を掬っては掛けていく。

 そんな時、作業の都合で一瞬置き竿にして竿から目を離した際、不意に竿が動いて驚いた。

 慌てて竿を掴んでみると、竿先に重みと生命反応が感じられる。

 こんなタイミングで、しかも向こうアワセでイカが乗ったようだ。

 ゆっくり一定のペースでリールを巻き取っていくと、やがて水面に茶色い影が現れた。

 やや小ぶりだが、今回の本命のアオリイカだ。

久々のアオリイカ

 墨汁砲が怖いので充分にタイミングを計ってからランディングネットで回収。

 伊豆で釣って以来、自力では久しぶりのアオリイカGETだ。

 前回同様に以前TVで見たノジメの方法を処し、キープする。

 時期的にはもっと大きなサイズを期待出来るので、もう少し続けてみよう。

 しかしその後3回流しても追加の反応が得られず、メインの餌釣りに移行する事にした。

 少し漕いで向かった先は得意の根魚ポイントだ。

 最近尺カサゴとご無沙汰なので、今日辺り型モノにお会いしておきたい。

 久しぶりの対面に備えてコマセを準備してあるので、集魚効果も万全の態勢を整えてのTRYだ。

 そして仕掛けを投入してみると、流れが速いのでラインが斜めに沈んでいく。

 一旦仕掛けを上げて錘を重いものに変えてみるが、あまり効果が感じられないうえに竿に掛かる負担が重くなるので疲れそうだ な。

 そんなカゴ釣りを開始して暫くの間は竿先に反応は出なかったが、餌は中途半端に食われて上がってくるので何かが居るようだ。

 水深は40m前後なので陸っぱりのフグみたいな狡猾な食い方をする魚はあまり居ないと思っていたが、思い返してみればここ でもフグが釣れた事はあったはず。

 移動すべきか悩んだが、とりあえず正体を探るべく続行する事にした。

 そして暫し粘るとようやくHIT。

寄生虫

 軽〜く上がってきたのは20Cmにも満たない真鯛の稚魚だった。

 なんと・・本当に小魚だったか。コイツだけが餌盗りをしていたのだろうか。

 念の為にと続けていくと、今度はそこそこの引き応えの獲物がHIT。

 期待しながら巻き上げてみると、以前ここに来た時にも釣れた鯵系のカイワリだった。

 この魚が釣れると沖で釣っているという実感を感じるが、針を外そうとすると口の中に白い顔が見えた。

 実は前回この魚を釣った時もそうだったが、“タイノエ”という寄生虫が魚の舌にしがみ付いて寄生していたのだ。

 鰓を切る際に摘出してみると、白いフナムシかダンゴムシみたいな感じか。しかもこの個体には2匹も寄生していた。

 なんとも不気味な生物で生態も気になるところだが、魚体には特に損傷は無いので虫だけ大海原に返しておこう。
  たまには宿主に頼らずに生き抜いてみせよ。

 カイワリは塩焼き用にキープしたが、全般的に反応が低調なので移動してみる事にした。

 移動しては仕掛けを降ろして魚信を求めていく間に、それまで速かった潮の流れが落ち着いたようだ。

 クラカケトラギスがよく釣れるようになってきたが、リリースしながら更に移動を重ねていく。

 完全に陽が高くなって少し暑いくらいになってきたが、相変わらず風も波も静かなので実に釣り易い。

 そんな状況でまったりとアタリを待っていると、突然竿先が海面に突っ込んだ。

 今度はまともな獲物のようだ。

 竿掛けから竿を外してアワセを入れると、なかなかの重量感が感じられてときめいた。

 ドラグはいつもより強めに締めているのでなかなか鳴かないが、海底でHITしたのにも関わらず抵抗が長引くのでカサゴではな さそうだ。

 どうにかラインは出さずに済む程度なので、竿の弾力のみを頼りにポンピングでジワジワと引き寄せる。

 そして暫くのやり取りの末、ようやく仕掛けが上がってきた。

 期待して身を乗り出して海中を覗き込むと、思いの外大きな魚影が浮いてくる。







記録サイズGET





 思わずタモを出して掬おうとすると、俺的KF史上初めてと思われるサイズに少し焦ったが無事に確保。

 獲物の正体は大きなアカアマダイであった。

 アマダイ自体は今までにも何匹か釣ったが、このサイズは俺的に過去にないな。

 気圧による動き難さはあるようだが、まだまだ体力が有り余っているようで引き上げてからも暫く暴れてくれる。

 更に針を外そうとバス持ちすると、何度も口を閉じられて噛まれてしまった。結構痛い。

 どうにか鰓を切り落としてクーラーBOXへぶち込んだが、先のイカとカイワリもあって一気にキャパが激減した。

 この一匹でかなり満足してしまったが、だからといって撤収するにはまだ早い。

 コマセも尽きたのでカゴは外し、天秤と仕掛けのみといういつもの仕掛けで続行する。

アマダイ連釣

 そして20分程経過した頃、なかなかの引き応えの獲物がHIT。

 なんとなく先程と似た引き応えに感じる。

 無事に釣り上げてみると又もアマダイだった。

 今度のは38Cm程だが、それでもこれまで釣ったものを超える満足サイズだ。

 よしよし、今日は調子が良いようだな。

 コイツも丁寧に鰓を切り落として刺身にも対応出来るように処してキープする。

 久々にクーラーBOXが一杯になる勢いで、なんともいえない満足感だ。

 同じポイントでの連釣ではあったが、その後はアタリが遠のいてきたので再び右往左往して魚信を探す。

 魚探は電池切れが近いようで映りが悪化してきたので電源を落としておく。

 この辺の水深はだいたい網羅しているし、どうせ群れない底物狙いなので今日は必要なかったかな。

 底物の反応を待ちながらも周囲の水面に気を配って、青物の気配も探す。

 エギで使った竿は疑似餌をジグに付け替えて、青物用に準備してある。

 しかしここまでそれらしい反応は殆ど無いまま陽が高くなってしまった。

2匹目のカイワリGET

 そろそろ青物は時期が終わりに近づいてきたのかもしれないな。

 暫く魚信を探していると、再び餌が盗られるようになった。

 スッキリ一発で喰いついてくれる方が楽なのだが、反応が出るようになっただけマシか。

 とりあえず盗人の正体を探るべくその場を集中して攻めてみる。

 すると何度か盗られてからようやく針を食ったようだ。

 なかなかの引き応えが竿を曲げ、楽しませてくれる。

 そして無事に釣り上げてみると、正体は2匹目のカイワリだった。

 この口が餌を啄ばむだろうか?

 少し疑問だが、この魚の美味しさは体感済みなのでリリースする手はない。

 1匹目よりもサイズアップして27Cm程あるので、文句無しのキープだ。

 ついでにこの個体も例に漏れず寄生虫を宿していたので引き剥がして放出してやる。

 それにしてもいよいよクーラーのキャパが厳しくなってきた。

満足の帰還

 餌や飲料等も出してようやく魚が収まり、下の方の氷の効果が危ぶまれる状態だ。

 相変わらず海面も天気も穏やかなままだが、午後は風が出る予報になっていたはず。

 そういえば今日は携帯電話を置いてきてしまったので時計を見ないまま過ごしていた。

 かなり陽が高いが何時になっただろうか。そろそろ引き揚げよう。

 まだまだ釣りが出来る環境を去るのは惜しい気もするが、今日は豊漁なので満足感がそれを上回る。

 帰りもスムーズに上陸し、無事に帰還する事が出来た。

 朝は肌寒くて億劫だったが、出港して良かった。

 それにこのホームの海岸でようやく“赤い”と“大きな”を満たす獲物を獲れて、なんとなく肩の荷が下りた気もする。

 今回の好調の理由は何なのかは後で考えるとして、今は今日の状況をよく覚えておこう。

 まだまだ釣りたい魚は尽きないが、これで一区切りつけられるところまで来ただろうか。

 

 PS・・・今回釣れた魚達はどれも脂が乗り乗りで最高に美味かったです。





50.5Cm




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