2011年6月10日

沖合のリベンジャー

(俺)



 KFを始めてから3回目の釣行は、デビュー釣行のリベンジとばかりに再び定置網周りでの五目(?)釣りに設定した。

 14時頃、どんより曇った海岸には強めの西風が吹き晒していてなかなか気が進まなかったが、ボートに比べれば風の影響も少ない ので出撃。
  転覆せずに無事に出港出来たものの、やはり急深の波打ち際は乗り出し難い。

 今回も2本の竿を携行し、道具箱は前回よりも一回り大きな物を選択。キャパ的に厳しいが、サビキやジグから餌釣りの道具まで一 通り積み込んで来たのでボウズは許されない。

 出港してからまずは陸から距離を取り、魚探の電源を入れて体勢を立て直す。
  そして魚探のモニターを見ながら定置網周辺を徘徊してみた。

出発の午後

 今回もまた広い海面を暫らく捜索したが、やはりそうあっさりと大きな魚群は見つけられない。

 そこで魚群捜索は一旦諦めて、海底の底物狙いに切り替えてみた。

 前回の教訓を生かして今日は重いオモリを使った片テンビンに自作の2本針仕掛けを組んで、餌にはジャムシを選択。
  他にアサリやオキアミ、冷凍サルエビも準備してきたが、まずは仕掛けが流されずに釣りを成立させられるかがポイントだ。

 とりあえずこのエリアは滑らかな凹凸の海底で水深35〜55m程度なので、持ってきたオモリの中で一番重い50号を試しに使用 してみた。

 すると竿先には強烈な負荷がかかったものの、どうにか投入したポイントから殆ど流れていないようだ。むしろ自分が流れる速度が 早過ぎるので、竿を足で挟んで持ちながらパドリングで仕掛けから離されないように位置をキープしなければならない。

 幸い今日持ってきた範囲のオモリで仕掛けが潮に流されないようなので、徐々にオモリを軽い物に交換していく。

 そして最終的に20号までオモリを軽くしてもなんとか釣りが成立するようになったので、暫くの間はじっと底物のアタリを待って みた。

 しかし40分程度待っても反応が無いので、仕掛けを巻き上げて再び魚群捜索に動いてみる。

 相変わらずの曇り空と強風の中を巡回していると、ちらほらと小規模な反応が見られるようになってきた。
  そろそろ何かを釣りたい俺としてはここで迷わずサビキを選択し、今日はしっかりと棚を狙い撃ちにする為にジグではなく20号のナス型 オモリを付けて投入した。

 理想通りの位置に仕掛けを送り込めているようなので期待しながら誘いをかけていると、微妙な抵抗が感じられるようになった。

 そしてリールを巻き上げてみると、陸っぱりではあまり見慣れない小魚が針掛かりしていた。エソのようだが、俺達的に以前何度か 釣った事のあるノーマルなエソに比べてややカラフルな魚体である。

 リリース対象なので本命とは言えないが、とりあえず魚信を得られて一安心だ。

エソの仲間

 更に周辺を探っていくと、魚探が大きくて濃い反応を感知。またしても小魚の匂いがするが、とにかくサビキを送り込んでみる。

 すると仕掛けが目的の棚に届いたかな・・と思う直前に竿先がフッと軽くなり、竿を煽るとやはり予想通りの手応えだ。

 とりあえず釣り上げてみると13cm付近のカタクチイワシと22cm位の鯖が一荷で釣れていた。

 どうやら魚探に出た反応はイワシと鯖の混合部隊のようで、暫くの間は釣っては放ちを繰り返したものの、やはり今日も大型の魚は 付いていないようなのでイワシだけをキープしていく事にする。

 群れが大きいのでパドリングの手間が省けてなかなか楽しいが、そのうちすぐ目の前の水面でもパシャパシャと音を立ててイワシ達が 跳ねるようになってきた。

 何かに追われているのだろうか?にわかに興奮してきた俺は新たにジグの竿も準備したが、決定的なナブラにまでは発展しない。

 そのうち完全に小魚の群れに包囲されたようで、魚影の濃さで魚探も海底を見失ってしまう程の状況になってしまった。

 嗚呼、青物等の捕食魚は一体何処にいるのやら。
  三保の方では鰤やらカツオが回っていると聞くし、この定置網ではシイラやカマスがたくさん入っているというのに。

 ところが、ここで水面まで寄せられて暴れまわる鯖が意外なモノを吐き出した。
  よく見るとそれは、少し消化されかけた15cm程のカタクチイワシの姿だった。

 なんてことだ、この大きな群れはイワシと鯖が仲良く群れていたのではなく、逃げるイワシと追う鯖の壮絶なドラマの舞台だったよう だ。

魚探に反応有り

 それにしてもこの鯖共は自分の体の2/3以上もあるイワシを喰らうとは貪欲にも程がある。しかも其々が1匹のイワシを食えばお腹 一杯になりそうなサイズなのに、尚もイワシを追い回す根性はもはや本能だろうか?
  しかしそれよりも、命懸けで逃げ回っているはずのイワシ達もサビキを喰らう余裕があるというところの方が凄いような気もする。

 そんな状況のまま17時を過ぎた頃、タイソンが様子見に浜辺まで来たという電話があったので休憩ついでに一旦上陸。

 初めて間近でカヤックを見たタイソンは興味深そうだったが、俺としてはまともに見せられる釣果が無い事が恥ずかしかった。

タ:「コレで鳥山の中に突っ込めるな。」

 まあ確かにそんな時期になればそれも楽しみではあるが、出来れば餌釣りでまともな獲物を釣りたいなぁ。
  ・・と、サビキで釣ったイワシの事を忘れて妄想に耽るのだった。

 暫く休んだ後、タイソンと別れて再び海に乗り出した。
  辺りはもう暗くなり始めたが、今日は夜釣りも視野に入れて来ているので準備に抜かりはない。

 一般的にKFで夜釣りというと危険だというのが常識のようだが、俺的にそれは状況と装備、そして環境次第だと思うので敢えて挑戦 してみた。

 暗くなってからは水深30m付近の浅いポイントを重点的に、再び底物狙いで攻めてみる。魚探にはもう殆ど生命反応が感じられない。

 そして1時間後、KFで初めての夜釣りは餌を盗られる事も無いまま終了。
  体力的にはまだ余裕があって腰も痛くはならなかったが、あまりに反応がないうえに雨雲が近付いているとの事だったので諦める事にした。

 結局、約5時間の釣りで得られたのはサビキでの釣果のみ。数こそ多く釣ったが、キープしたのはそのうちの一部のカタクチイワシだけ というショボい内容だった。
  俺的にカタクチイワシは何年ぶりかで釣ったので食用に欲しかったし、鯖は鮮度落ちが気になったのでリリースした。

 今回は梅雨時期のやや荒れ模様の中でいくつかの釣法を試したが、夜まで頑張っても餌釣りでまともな釣果を出す事が出来なかった。
  前回来た時のリベンジは達成出来なかったのは残念だが、KFの夜釣りの感覚と久しぶりのカタクチイワシを得られたので良しとしよう。



イワシと鯖のドラマ



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