第56回

56. < トラクション限界 >

加速方向でのウィリーともう一つの限界、それはトラクションの限界です、ホイールスピンですね。
駆動力がタイヤの摩擦力を越えるとスピンしますよね。 その摩擦力は中学で習ったように荷重x摩擦係数μです。

ということで後輪の垂直荷重を求めればタイヤ摩擦力は求められます。
垂直荷重は車重の後輪分担分でしょって思うかもしれませんがそれだけではありません、なにせ加速中のことですからよく出てくる荷重移動があるからです。
後輪の垂直荷重は後輪の分担重量+荷重移動分ΔWを合わせたものになります。
スライドの中で言うと分担荷重が(1) でΔWが(2)です。

駆動力Sはというとm・a と等しい大きさです、作用反作用です、aは加速度ですね、質量x加速度=力 でしたね。
ここでは話を簡単にするために空気抵抗、転がり抵抗は無視しています。

そして垂直荷重にμを掛けたタイヤ摩擦力が駆動力と等しくなった時がトラクションの限界です、(3)。
(3)に(1)(2)を代入して整理すると(4)になります、イマイチすっきりしてないですがしょうがない、いろんな記号が出てきちゃいました重心の前後上下位置、ホイールベース、μです。

つまりホイールスピンするかしないかは重心位置とホイールベースの車両諸元と摩擦係数μ次第ということになります。
μはロードバイクでドライ路面なら1、ウェットなら0.6くらいかな。 レース用スリックで1.3-1.5くらいですかね、リヤリフト限界からすると。

例にいつもの数字を使ってさらにμ=1として計算してみました、すると1.15Gとなりました、ウィリー限界が0.85Gでしたからトラクション限界の方が高いですね。
ドラッグレーサーみたいな低くて長いバイクでもウィリーバーが必要ですからグリップがよければスピンするより先にウィリーしちゃうんですかね。



Copyright(C) 2007-2019   富樫研究開発