第16回

16. < チェーン駆動のアンチスクォート >

しつこく行きますよ、中途半端で終わると中途半端な人になっちゃいますからね、「反力でアンチ」3部作の最終回です。
そうなんですよ中途半端なんですよ、2輪のチェーン駆動は、ずっともやもやしてきたんですよチェーンの駆動反力支持はどっちなんだと。
結論は中途半端なんじゃないかと思うんです、全部エンジン(=シャシ)が受けるでもなく全部スイングアームが受けるでもない。

これは前回のブレーキにおけるトルクロッドの取り付け位置も同じことですのでブレーキの場合は駆動、制動をひっくり返して読んでください。

中途半端な理由はチェーンとスイングアームの角度にあります、チェーンがスイングアームピボットを通れば駆動反力は100%シャシが受けることになりスイングアームが回転モーメントを受けることはありません。でもそんなことは無理です。

チェーンとドリブンスプロケットの交点’p’とスイングアームピボット’o’を結んだ線’op’とチェーンのなす角度をγとするとこれの大きさにより駆動反力がスイングアームを回すモーメント、つまりはアンチスクォートモーメントを発生します。
じゃその角度をθに足してやればいいのか?と思いましたがチェーン張力はタイヤ径/スプロケット径の比で前後力Fより大きくなるのでことはそう簡単ではありません。

駆動反力、チェーン張力’Fc’によるアンチスクォートモーメントは’Fc’にそのスイングアームピボットからの距離’c’を掛けて求められます。
チェーン張力’Fc’はタイヤ径とスプロケット径の比で’r/s F’ですからモーメントは’rc/s F’です。

アンチスクォート力はモーメントをスイングアーム水平長’l’で割ったものでしたね、図の式(1)のようになります、あんまりすっきりした式になりませんでした、ドライブ側のスプロケットの位置やドリブン側スプロケットの径でもγもsも変わってくるのでそうすっきりした式にはならないんでしょう。
どこかにチェーンとスイングアームを延長してその交点から接地点へ線を引いて...みたいなことが書いてあったんですがそうはなりませんでした。

2輪の場合角度’γ’は一般に小さいですがタイヤ/スプロケット比は大きいので、チェーン駆動によるアンチスクォート効果は駆動反力をスイングアームで受ける形式とシャシで受ける形式の中間あたりになるんじゃないでしょうか。
あと角度’γ’がサスペンションストロークによって変わってくるのもややこしいですね、サスペンションがバンプ方向にストロークするとθは小さくなりγは大きくなります。


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