第94回

94. <1自由度モデル、重力付き>

重力についていい指摘がありましたのでここで解説したいと思います。

これまで使ってきた1自由度のモデルの解説は重力を考慮していないので言ってみれば無重力の宇宙空間での話、あるいは地上では右下の図ように横倒しのモデル図のほうが正解でした。

横倒しのモデルでもマスの変位や共振周波数に変わりはありません、ですからこれはこれで使えます。 ただ「違うんだよ俺のモデルはよー、車重が乗ってぐっと沈み込んでばねが伸び切ったら地面から離れてばーんとジャンプしねーとっ!」っていう人には向きません。 横倒しモデルはスプリングにマスの重量は掛かりませんし、ばねは圧縮、引っ張り両方に効きます。

というわけで重力が掛かるように微分方程式をちょっと変えました、モデルは再び起き上がりました。 右上のモデルを見てください、マスに重力が掛かったようになっています。 微分方程式にもマスの加速度の項に重力加速度 9.8m/s2 が加わりました。

加えて離地、ジャンプさせるにはサスペンションストロークに制限を加えます。 サスペンションストロークは(Z-X)です、圧縮を“+”にしています、これが“-”になるときは“0”で置き換える、というものです。 前にも書いたように計算は細かい時間きざみで計算していますからマイナスに入ったら“0“に、マイナスに入ったら”0”にと書き換えられてマイナスつまり伸びに入るようなときは“0”をキープします、まるでダンパーが伸び切っているかのようにです。

91回で使ったエクセルを上記のように改修してみました。 加速度の初期値が9.8で以下にも9.8を入れ、(Z-X)にIF文でマイナスの時は0に書き換えました。 あと入力は2秒の時刻から始まります。

結果は左のグラフのようになります。
始めに重力でマスが沈み込むのが分かります、伸び切ったばねに重りを乗せて手を放したときと同じことが起きています。 1秒手前くらいで落ち着きました、これを初期の均衡を取るとか“settling”とか言います。

2秒で路面から入力がありました、かなり大きいです、真ん中のサスペンションストロークを見ると“0”になって伸び切っているのが分かります、ジャンプしているということです。 ジャンプしている時はばねはマスを引っ張らないので自然落下します。

どうでしょう、俺のモデルはよ~おじさんも満足じゃないでしょうか。


というわけでこれのエクセルシーと欲しい方は 7post@lemans.co.jp まで、ご意見ご希望、励ましのお言葉もよろしくです。 前回の物を請求された方には送り付けておきます。

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