第9回

9. <バルブのオイルの流れ>

ダンパーのバルブにはいくつかの種類がありますが代表的な2つを説明します、”シムタイプ”と”ポペットタイプ”です。

まずポペットバルブタイプのリバウンドから説明します、図にポペットタイプのバルブがリバウンド工程にいる時のバルブの動きとオイルの流れを示しています。

図にあるようなバルブがダンパーの外筒についている形式のダンパーはレース用以外ではあまりありません。 それはバルブが横っ腹に出っ張っているので乗用車用には使いにくく、レース用には調整し易いので使い勝手が良いからです。

ポペットバルブは見て直感的に判りやすいと思います。 ダンパー速度がゆっくりの時はバルブは閉じていてオリフィスのみからオイルが流れます、ですから減衰力特性は前に説明したように2乗カーブ、バナナ曲線です。
速度が上がってくるとバルブがバルブに掛かる油圧に押されて開きだします、バルブはスプリングで支えられていますからからダンパーが速く動いて圧力が高くなると更に大きく開きオイルを逃がします、バイパスバルブが開くと思ってください、オイルの流路がオリフィスとバルブの2つになるので圧力上昇が抑えられて減衰力は図のように傾きの緩やかな特性になります。
(ここでは説明の便宜上バルブは低速で開かない、つまりスプリングにはプレロードが掛かっているという前提で説明しています)
リバウンド工程のときバンプ用のバルブはスプリング側から圧力が掛かるのでポートに押し付けられ開くことはありません。 ワンウェイバルブとして働くのです。

スプリングを固くしたり柔らかくしたり、スプリングのプレロードを上げたり下げたりすることで減衰力特性を調整することが出来ます。 スプリングを固くすると減衰力は高くなり、逆に柔らかくすると減衰力は低くなります。

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