第57回

57. <圧力損失 (3)>

では圧力損失計算の例題です。

今回は概念図をモノチューブダンパーに変えてみました、でも見た目だけでなにも変わっていません、Aの面積に押し出されたオイルがaを通って外に噴出しています。
話を簡単にするためにシャフト径を無視します。

各部の寸法は図にあるようにピストン径40mm、オリフィス径1mm、ダンパー速度0.1m/sです。 オイルの密度は大体850~880kg/m3です、0.85g/cm3って言ったほうがわかりやすいかもですね、水が1g/cm3ですから当然水より軽いですね。

ピストン、オリフィスの面積を出しておきましょう。

あとは式に入れるだけです、っとここで式にない数字が出てきました、9.8です。これはkgをNに変換しないといけないからです。 囲みにあるように質量(kg)に重力加速度(9.8m/s2)を掛けたのが力(N)です。 よく力も質量もごっちゃにして1kgは9.8Nだからっていう人がいますがウソですからね。 まあ1kgfなら9.8Nでもいいですが、上の式のkgに9.8Nを代入しても単位がむちゃくちゃになってしまいます。

単位の式も載せておきました、整理するとほらN/m2つまりPaになりました。これをcgs単位(センチとかキロとか)でやると単位合わせだけで頭がこんがらがっちゃいます。
だからSI単位を使っておけば苦労しなくて済むのです。

結果は22.8barでした。40mmのモノチューブダンパーでピストンに1mmの穴が開いていて、そのダンパーを0.1m/sで動かすと内圧が22.8barになります。
内圧にピストン面積を掛けたのが減衰力ですから 2.28MPa x 0.00126 m2 = 2873N になります。 0.1m/sなんてゆっくり動いても290キロくらいの減衰力が出るんです、すごいですねー。 このまま速くなるととんでもない圧力、力になってしまうのでシムが開きだすという仕組みです。

あれっ?と思った人は鋭い!粘度が出てきてませんね。
粘度が高いと減衰力は高くて、サラサラの粘度の低いオイルだと減衰力は低くなりますよね。 これはベルヌーイの式が非粘性流体への式だからです。初めに書いたように流れが乱流でオリフィス内の速度分布が等しいとしてダンパーに適用しています、なのでこの計算はダンパー用として正しくもあり正しくないともいえるのです。
シムとピストンの隙間からオイルが噴き出したり、オリフィスが円盤に穴が開いたみたいなものだったりといった状況では正しいですが、オリフィスが管状で長かったりすると粘度の影響を受け正しくなくなります。 でもダンパーの内圧を大体知るには十分じゃないですか?

流路の違いで粘度の影響に違いが出ると聞いて「これはっ」と思ったら更に鋭い!そうです、温度が上がると粘度が下がって減衰力が下がってしまいますがうまく乱流を使ってあげると温度影響の小さいダンパーを作ることもできるのです。その説明はまた先のほうでしたいと思います。







「Wiki より転載」
粘度は、毛管粘度計など、細い管のなかを自重で通過する速度(時間)によって比較できるので、絶対粘度を密度で割った動粘度(動粘性係数ともいう)が指標として用いられる。
単位はSIでは m2/s であるが、cm2/s = 10−4m2/s = 1 St(ストークス)も使われる(即ち、1 mm2/s = 1 cSt(センチストークス))。工業的にはセイボルト秒も使われる。

粘度:viscosity、 記号:μ, η、 SI単位:パスカル秒 (Pa·s)ポアズ
動粘度:kinematic viscosity、 記号:ν、 SI単位:平方メートル毎秒 (m2/s)

【粘度の単位】
  前述の(3)式より、粘度η=τ/Dで、この単位をまずMKS単位系に基づいたSI単位系で表してみます。
(A)ずり応力τは単位面積あたりの力で、力の単位はニュートン[N]、τの単位は[N/m2]でこれは応力(圧力)の単位、パスカル[Pa]で表されます。 (B)ずり速度Dは(1)式のようにdV/dyで定義され速度Vの単位[m/s]を距離yの単位[m]で割った、[s-1]で表されます。

よって、(A)(B)より粘度ηの単位は、[Pa][s-1]=[Pa・s]となり、これを[パスカル・秒]と読みます。
       (SI単位系) 粘度ηの単位は[Pa・s]    (5)
 CGS単位系では、力の単位はダイン[dyn]、τの単位は[dyn/cm2]となり、ずり速度Dの単位は上記のように[s-1]より
粘度ηの単位は[dyn/cm2]/[s-1]=[dyn・s/cm2]となり、これをポアズ[P]とよびます。         (CGS単位系) 粘度ηの単位は[P]       (6)

 粘度ηの単位系とCGS単位系との関係(換算)は、1ニュートンは1×105dyn、1m2は1×104だから、1[Pa・s]=10[P]となることがわかります。したがって、          1[mPa・s]=1[cP]           (7)
 [mPa・s]はミリパスカル・秒、[cP]はセンチポアズと読みます。

 また、粘度ηをその液体の密度ρで割ったものを動粘度(kinematic viscosity)または動粘性率、動粘性係数とか運動粘性率とよばれます。
 動粘度をνと表すと、  動粘度 ν=η/ρ         (8)

動粘度のSI系単位は(5)式を密度の単位[kg/m3]で割ったもので、[m2/s]となりこれを[平方メートル毎秒]と読みます。
一方、CGS単位系では同様に[cm2/s]となり、この単位をストークス[St]とよびます。
 したがって、動粘度の単位は、
    SI単位系で    [m2/s]                    (9)
    CGS単位系で  [cm2/s]=[St]                 (10)
    両者の関係(換算)は   1×104[m2s]=1[cm2/s]=1[St]   (11)
    または、  1×106[m2s]=1[mm2/s]=102[St]=1[cSt]     (12)
    [cSt]はセンチストークスと読みます。


【粘度のミニ解説】 図4のように、平板Aと平板Bとの距離が1cmでその間に液体が満たされており、平板Bだけを1秒間に1cmの速度で平行移動させたとき(ずり速度D=1[s-1])、 単位面積1cm2の平面B(内面)に加わる応力τが1[dyn/cm2]であった場合、(3)式のη=τ/Dより、この液体のの粘度ηを1ポアズ[P]、または(7)式より、 0.1パスカル秒[Pa・s]と定義をします。

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