第47回

47. <ヒステリシスとダンパーサイズ>

ヒステリシスはダンパーサイズにより違うでしょうか? 違います。

2つのダンパーを例として図にしました、両方同じ長さのモノチューブダンパーですが太さが違います、太い方はピストン面積が細い方の2倍としましょう(直径が約1.4倍ということです)。

また順番に行きます細いダンパー基準です、太いダンパーは面積が2倍ですから同じ力を出すのに必要な圧力は1/2です、太いダンパーは低い圧力で同じ力が出せるのです。 次にオイル量です、面積が2倍ですからオイルの量も2倍です。 では圧力による体積変化はどうでしょう、2倍のオイルを1/2の圧力で圧縮するので倍と半分で帳消しです、オイルの圧縮は太さに関係ないことが分りました。

ヒステリシスの基準のオイル圧縮によるシャフトの動き量は体積変化を面積で割ったものですから、太いダンパーのシャフトの動き量は2倍の面積で割るので細いダンパーの半分になります。 つまり面積が2倍の太いダンパーはヒステリシスが半分になるのです。「大きいことはいいことだ」ですよ、このようにダンパーサイズによってもヒステリシスは変化します。

でもこれはモノチューブダンパーについての事でピギーバックで減衰バルブがリザーバーについてるダンパーでは太くなるとオイル量が増えるのでただでさえヒステリシスが悪いのに更に悪くなっちゃいますから注意です、どんなダンパーでも太いほうが言い訳じゃありませんから注意です。

実際にはピギーバックダンパーや通称“別タン“ダンパーはピストンとシャフトのよるポンプ作用を両方使っているので太いほうがいいか細いほうがいいかは複雑です。これは上級編で説明します。 ヒステリシスについてはちょっと話が難しいので分りにくかったかと思います、上級編では式も使ってきっちりさせていただきたいと思います。
でもヒステリシスが分ればダンパー通です、講釈にもぐっと偉そう感が漂います。

これで実践編は終了です、ダンパー、減衰力の基礎、実際についてはおおよそ網羅したと思います。オイルのページも入れたかったのですが化学は苦手なのでいい加減なこと書いてはいけないと思いやめました。質問、希望等ありましたらコメントにお願いします。
近い内に上級編を始めます、でも式とか固い話が多くなってしますと思いますがなんとか分かり易くしたいと思っていますのでまたよろしくです。

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