第29回

29. <ダンパー部品、シム>

前回説明したピストンに乗るシムはばね鋼で出来た薄い円盤です、ばねとして機能します。 圧力によりシムは押され一番上に乗っているピボットシムの角を支点に曲げられます、リニアピストンの場合各花びらの部分でめくるように、ダイグレッシブピストンの場合円錐状に曲げられます。
シムはばね鋼のシートを打ち抜いて作ります、安定した減衰力を出すには均一な板圧はとても重要です。

まずは同じ径、同じ厚さのシムの枚数を変えたら減衰力がどうなるか見てみましょう、前提としてピストンはリニア型、オリフィスはなしです。

シムはばねですから枚数が多くなるほどばね定数が高くなります、つまり固くなります。同じだけシムを反らすのにより高い圧力が必要になるので減衰力は高くなります。 今枚数を増やすことでばね定数が高くなりましたがピボットシムを大きくしても同じくばね定数が高くなります。 薄いシムに大きなピボットシムか?厚いシムに小さなピボットシムか? 所定の減衰力が出ればどっちでもいいと思いますが大量生産となればコストにうるさい課長が出てきてシムの枚数の少ない方にしてくれと言ってくるに違いありません。 あまりシムが薄いと耐久性が劣って割れたりすることがあります。ひどい時は圧力でシムがピストンの穴の通りに打ち抜かれたりします。

ここで注目してもらいたいのは図にあるようにシムにプレロードなしでオリフィスがないとき、つまりシムだけで出す減衰力は結構ダイグレッシブだということです。 リニアピストンを使ってもやっぱりダイグレッシブっぽいです、ちょっと難しいですが穴をスプリングで押さえて出す減衰力は速度の2/3乗に比例するのです。
オリフィスによる減衰力は速度の2乗に比例です、2乗は分かり易いですねバナナのようにそり上がった形状です、対して2/3乗に比例とはどういうことでしょう?
2/3は1より小さいので図のように速度につれてだんだん寝てきます、まあ横バナナと言いましょうか。

ダイグレッシブピストンはもちろんのことリニアピストンでもシムはダイグレッシブな減衰力を作り出すのです、このままではリニアな減衰力が出せません。
そこで非線形ばね定数が必要になるのです、その説明は次回に。

Copyright(C) 2007-2014   富樫研究開発