第20回

20. <減衰力特性図>

減衰力アジャスターについて説明を始めようと思いますが、まず減衰力特性図が分らないといけないのでまずは減衰力特性図の説明をします。
図にあるダンパーの減衰力特性図を示しました。縦軸は力、横軸はダンパーの作動速度です。
この図では上側、プラスがバンプですがJASO日本自動車技術界規格では上側がリバウンドですが、何故かレース界ではバンプが上が一般的です、バンプのほうがえらいっていうことでしょうか。
またBump、Reboundの頭文字をとってバンプはBlue、リバウンドはRedの色でグラフを書くというのは私の中の標準です、ぜひ広めてください。

減衰力特性のカーブはだいたい図のような感じになります、高い低い、まっすぐ、折れ曲がってるなどの違いはありますがおおよそこんなです。ゼロから始まって放物線を描いて立ち上がって、折れ曲がってその後はまっすぐ、そんな感じです。
基礎編のNo.8のシートでも関連したことを説明していますので読み返してください。

始めの放物線の部分を低速域と呼びます、ここはオリフィス、穴で発生する減衰力です、穴で出す減衰力は速度の2乗に比例ですのでバナナ形状になるという話は基礎編でしました。

次に、折れ曲がりの部分をKnee、ひざと呼ばれる折れ曲がりがあります、なぜKneeかというと見たまんまです。ここが減衰力バルブが開き始めるところであります。

その後のまっすぐの所を高速域と呼びます。ここは減衰力バルブの仕様に多少左右されますがだいたいまっすぐです。 その傾きをスロープと言います。

では減衰力バルブの何を変えると減衰力特性がどう変わるのでしょうか?

オリフィスを大きくしたり小さくしたりすると低速域のバナナの曲がりがきつくなったりゆるくなったりします、別の言い方をするとロースピードの立ち上がりがきつくなったり緩くなったりします。

減衰力バルブの開く圧力を高くしたり低くしたりするとKneeの高さが上下します、べつの言い方ではブローポイントが高くなったり低くなったりします。

減衰力バルブのばねを固くしたり柔らかくするとスロープが急になったり緩くなったりします、別の言い方では高速の減衰力が立ったり寝たりします。

減衰力のアジャスターは上記の穴の大きさや減衰力バルブの開きやすさを調整しているのです、次からその調整方法に入ります。

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