第2回

2. <ダンパーは実際にどうやって減衰力を発生しているのでしょうか?>

サスペンションが動くとダンパーが伸び縮みします、この動きがダンパー内部のポンプ作用により封入されたオイルに流れを起こします、まあ水鉄砲のようなものです。
ポンプ作用で起こされたオイルの流れは小さい穴を通るようになっていてここで流れを絞ることで穴の前後に圧力差が生じます、これをオリフィスによる圧力損失などとも言います。この圧力差がダンパーボディやシャフトの面積に掛かることで減衰力という力として外部へ出力しているのです。

圧力損失によりエネルギーが消費され熱となり放出されます、ダンパーが作動後に暖かくなるのはこのためです。つまりダンパーはサスペンションから入力される仕事を熱に変換する装置でもあります。外部からの<力>x<変位>という仕事が<圧力>x<流量>という仕事に変換され、次に熱に変換されて放出されるのです。
一方スプリングはエネルギーを消費しません、縮んだ時にエネルギーを貯え伸びる時に放出するのです。もしサスペンションにダンパーが付いていなくてスプリングだけで他にエネルギーロスがなければどこかの突起を乗り越して一度車体が揺れ始めたらその揺れは止まらずいつまでもゆれ続けます。それを止めるのがエネルギーを消費するダンパーなのです、車体の揺れのエネルギーを熱に変換して揺れを小さくするのです。揺れを減衰して止めるから減衰力なのです。

このポンプ作用や圧力損失については次回以降に説明します。

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