第12回

12. <バンプ、リバウンド時の各室の圧力 (1)>

さてここでよくある勘違いについて説明します。

図のような最もシンプルなダンパーが伸び、縮みするときに内部の圧力はどうなっているのでしょう?ピストンの上側と下側の部屋を「上室」「下室」と呼びましょう。

リバウンドはまだ簡単です、ダンパーは伸びるので「下室」のオイルが「上室」へ流れるのはポンプ作用のところで説明しました。
このとき「下室」が圧縮されるのですから「下室」の圧力は上がります。 では「上室」は? 「上室」にはオイルと一緒にガス室(空気だまり)がありますから「上室」の圧力はガスの圧力と同じです。
ではガスの圧力は?
ガスの圧力はほとんど変わりません、正確にはシャフトが抜け出た分だけ下がります。 ガス室の容積はシャフトの出入りによる体積変化より十分大きくするのが常識ですのでガス室の圧力変化はほんのちょっとなのです、ここでは変化しないとして話を進めましょう。 つまり「上室」の圧力は変わらず「下室」の圧力が上がって圧力差が出来てこれが減衰力になるのです。

さてバンプです、よく勘違いされるのはバンプでも押される側の部屋の圧力が上がるんだろうと思ってしまうことです。
でも気体は押しても手応えがないのです。先ほども書きましたが「上室」の圧力は変わらないのです、これはバンプでも同じです。
じゃぁどうして圧力差が出来るのかというと「下室」の圧力が下がるのです、バンプのときは「下室」が拡張するので圧力が下がるのです。
つまりリバウンドと同じく「上室」の圧力は変わらず「下室」の圧力がこんどは下がって圧力差が出来てこれが減衰力になるのです。

もう気がつきましたね、バンプもリバウンドも同じことなのです。 オイルの流れも方向が逆なだけでバンプもリバウンドも同じでした、圧力もそうなのです、圧力が上がるか下がるかは違ってもバンプもリバウンドも同じなのです。
いつも「下室」の圧力が変わって圧力差が出来るのです。

ダンパーはいつもオイルを圧縮して圧力を上昇させて減衰力を発生させてるわけではないということをここでは説明したかったのです。

これが分るとキャビテーションも理解し易いのですがそれはまた別の回で。

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