第100回

100. <ばね定数、リバウンドスプリング>

このあいだばね定数関連で興味深い会話があったのでリバウンドスプリングのばね定数の話です。

その前にさらっと高校(中学?)のおさらいしておくと 並列に並んだ2つのばねの合成ばね定数は2つのばねのばね定数の和である 直列に並んだ2つのばねの合成ばね定数はそれぞれのばね定数の逆数の和のさらに逆数


ではリバウンドスプリングです、リバウンドスプリングというのは主にダンパーの中に入ってるスプリングでダンパーが伸びる時に圧縮されるスプリングです。 2輪ではネガティブスプリングとか言われたりします。 左上の図にあるようにダンパーの外にメインのスプリング、中にリバウンドスプリングがあります。 リバウンドスプリングは伸び切り付近だけで作用するようにするので、ある程度ダンパーが縮むと伸び切って遊んでしまいばねとして機能しなくなります。
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じゃあメインとリバウンドスプリングの合成のばね定数はいくつでしょう? このメインのばねを縮めていくとリバウンドスプリングは伸びていくというのが罠になって混乱しちゃう人が多いみたいです。 「メインは縮んで荷重が増えるのにリバウンドスプリングは伸びていって荷重が減っていくんだから合計したら荷重の変化は少なくなるでしょ、だから合成ばね定数は2つのばね定数の差だ」と言われました。 うーん、なんとなくうなずいちゃいそうなとこがこのリバウンドスプリングの怖さですね。

ちょっとモデルの絵を変形していきましょう、左下の図を見てください、リバウンドスプリングを外に出しました、機構自体は変わっていません。 まだ分かりにくいですね、右側にぶら下がってるK2をK1に乗っけちゃいましょう、この場合天井も固定点です。 すっきりしましたね。

メインとリバウンドスプリングの組み合わせは地面と天井の間の2つのばねにはさまった板を押したり引いたりするのと同じことです。 2つのばねの合成の話をしているのでどっちかが伸び切って板から離れちゃうような状態は除きます。

どうでしょう?2つのばねの合成ばね定数は合計ですか?差分ですか? 答えは合計です。 2つのスプリングが両方から押していると思うから話がややこしくなるのです、板に働く2つの力の向きが違うんだからどっちかが“+”でもう一方は“-”なんです。
下から押してる力が+F(N)なら上のばねが押し下げてる力は-F(N)ですよ、いま2つのばねは釣り合ってるから上からと下からの力は同じFで向きが違うということになります。
じゃあ板が下に1mm動いたとしましょう、上のばね(K2)が押し下げる力は1mmx K2=K2(N) 分少なくなりますね、つまりは -(F-K2)です。
そうです、マイナスとマイナスでプラスですね、-F+K2 (N)です。

下のメインのばねは当然1mm押されたらF+K1 (N)でしょ。

合わせたら? (-F+K2)+(F+K1) ですからFが打ち消してK1+K2 (N)、ほーら合計じゃないですか。

とこの間うまく説明できなかったのでここでしてみました。

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