第99回

99. <モーションレシオ、ホイール位置減衰力>

レバー比でばね定数が変われば当然減衰力も変わります、減衰力は速度に対して非線形なのでかえって始末が悪いです。

ダンパー位置減衰力からホイール位置減衰力に換算するには減衰力特性の各点を速度と力の各方向に換算しなければいけません。

例えばダブルウィッシュボーンでレバー比が2としましょう。 ダンパー減衰力の点P1をホイール位置の減衰力に換算しましょう、ホイールの速度はダンパーよりレバー比分速くなります、比が2ですから2倍ですね。 一方力は小さくなります、同じく比が2ですから半分になります。 つまり速度2倍で力2分の1の所へ移動するわけです。

同じことを何点かで行って線で結べばホイール位置の減衰力の出来上がりです。

こう見るとレバー比が2くらいになるとダンパーの減衰力はかなり高くなるのが分かります。 そうなんですレバー比の大きいサスペンションではゆっくりした動きでしっかり高い減衰力を出すことができるダンパーじゃないといけないのです。 2輪のリヤはモノショックでレバー比が3くらい?あるのできちんと低速で減衰力が出るよう太くて流量も多くピストンも大きいダンパーを使っています、DH用の自転車なんて4くらい?あるのであんなダンパーで大丈夫?って感じですが重量が軽いからいいのかな。 ピストンリングとかからのリークがあると減衰力が落ちてしまうのでリーク、部品精度の管理も必要です。

レース車でフォーミュラとかはサスペンションの動き自体少ないし、フロントなんかノーズの中に入るよう小さくてレバー比も大きいのでダンパーの低速の減衰力が非常に重要になります。 気が付いたらオリフィス域の2乗カーブの所しか使ってなくて何のために何十万円もするダンパー使ってるんだかわかんない、なんてことになっちゃってるチームもいると思います。 きちんと7ポストリグで試験しとけば高いダンパーも有効に使うことができます。

Copyright(C) 2007-2014   富樫研究開発