第98回

98. <モーションレシオ、レバー比>

では地味な解説に戻ります、今回はモーションレシオです。レバー比とも言います、その名の通りスプリングとホイールのピボットからのレバーの長さの比です。

ホイール位置にばねがついていればばね定数はスプリングのばね定数を使えばいいですがそうでないとホイール位置のばね定数はスプリングのばね定数とは違ってしまいます。 それを求めるのにモーションレシオ、レバー比が必要です。

長さの比ですが厄介なのはどっちをどっちで割るか標準がないのです、ある人、会社は(ホイールレバー長)/(スプリングレバー長)だし、別の人、会社は(スプリングレバー長)/(ホイールレバー長)だし気をつけないとまるで逆の計算をしてしまいます。 決まりがないのだからしょうがありません、いちいち確認することです。
ここでは(ホイールレバー長)/(スプリングレバー長)とします、ですから普通は1より大きい数字になります、ダブルウィッシュボーンとかでは2くらいの数字になります。

図で書くとスプリングが内側に入ったようになります、普通そうですね、スプリングがホイールより外にある車はまずありません。 スプリングが内側ですからスプリングはホイールより動きが少ないです、その代り力はホイールより大きいです。 てこの原理ですね。

このような位置関係だとホイール位置ばね定数はスプリングのそれより柔らかくなります。式に示したようにスプリングのばね定数をKsとするとホイール位置のばね定数はスプリングの1/r2となります。 たとえばダブルウィッシュボーンでレバー比が2だとするとホイール位置のばね定数はスプリングのばね定数の1/4になるということです。 1/4とはかなりですねぇ、だからダブルウィッシュボーンのサスペンションのスプリングはかなり固いです、でもホール位置では4分の1くらいになっちゃうという事を覚えておいてください。

レース界の人は「レシオが速い」とか「遅い」とか言う人がいます、例えば「ストラットはレシオが速くて、ダブルウィッシュボーンは遅い」ってな感じです。 ダブルウィッシュボーンはスプリングがホイールの半分くらいしか動きませんから動きもゆっくりになるのでそう言うのだと思います。 「このサスはレシオが遅いからばねもっと固くしないとだねー」とか言うと業界の人みたいかもしれませんがちょっと古い人みたいに見られちゃうかも知れません。

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