これまで一番シンプルな1自由度のモデルを使って説明をしてきましたが、ホイールもタイヤもないじゃないか、という声が聞こえてきそうですし1自由度は卒業してもう1歩進めてみます。
図に示したのは2自由度のマスばねモデルです、なんで2自由度かっていうと車体のマスの上下動で1自由度、アップライトのマスの上下動でもう1自由度、合わせて2自由度というわけです。
アップライトはホイールと合わせて「ばね下」とも呼ばれます、車体の「ばね上」と合わせて使うと専門家風に聞こえます。
2自由度なので力の釣り合いの微分方程式は2行になります。
点々が付いてる式は毛嫌いされますがそんな難しいことを表してるわけではありません。
上の式は1自由度と全く同じです。
下の式はちょっと長いですがそれはばね下“にタイヤ力”と“サスペンション力”の2つが働くからです、そのサスペンション力は上のばね上の式のサスペンション力と当然同じです、向きが反対なので“-”が付いているだけです。
一般にタイヤには減衰がないのでモデルはバネだけです。
この2自由度のモデルは車の1輪分にあたるのでコーナーモデルと呼ばれたりします。
これでシミュレーションすればぐっと説得力が増します、「突起乗り越しの車両挙動をコーナーモデルで検討し...」てな感じです。
見てる方も1自由度より全然車に近いし「ほほー」てなもんです、実際1自由度モデルはバネと重りって感じでイマイチ車がイメージできませんでした。
2自由度なので共振も2つあります。「ばね上共振」と「ばね下共振です」、ばね上共振は1自由度と同じです。
ばね下共振はばね下質量とK+Kt のばね定数で起きます、石畳なんかを走るとタイヤが暴れてグリップが極端に落ちたりすることがありますがこれがばね下共振です。
乗用車で15Hzぐらいですからばね上共振と間違うことはないでしょう。
ぜひ2自由度のシミュレーションもしてみてください。