では実際にエクセルシートを作っていきます。
A2:C7
ここは定数です、Mは質量、Kはばね定数、hはステップ入力の高さ、C/Ccは減衰比、Δtは計算刻み時間ですから手入力するセルです、SI単位ですからね。
Cは減衰係数ですが指定された減衰比と質量、ばね定数を使って計算されます、式はすぐ脇に書いてあります。(C/Cc*2*√(𝑀∗𝐾))でしたよね。
A列
時間の列です、定数で決めた0.01秒刻みで下へずっと増えるように作ります、長いシミュレーションでは長~い表が必要になります、今回は5秒の計算ですから500個作っておきます。
B列
“Z” 路面入力です。 これも計算ではなく入力するセルです。
今回はステップ入力です、0.1秒まで0でそこから上がり始めて0.2秒で0.1mになり、つまり0.01秒で1mmづつ上昇、その後はそのまま一定です。
そうなるように手で入力します、Zをプロットすると1番下のグラフのようになりました、あってますね?
ステップと言っても直角の階段にしないで急なスロープにするのは理由があります、シミュレーションは瞬間移動を嫌います、計算がつながらなくなっちゃうからです。
現実にもいくら速いステップでも無限大の速度ではないので急なスロープにするのは妥当です。
C列
減衰の計算に必要なので入力の速度を計算しておきます、速度は変位の微分ですが計算は簡単です、黄色の囲みを見てください。
動いた距離をかかった時間で割るだけです、B列で入力した変位の「今のセル」―「1ケ前のセル」をΔtで割るだけです。
できたらずっと下までコピーしておきます、Δtは固定ですから“F4キー”で固定しておきます。
D列
マスについてはまずは加速度を計算します、緑の囲みを見てください。
計算式については前回の解説を読み返してください。
変位の差にばね定数を掛けた物と、速度の差に減衰係数をかけた物を足して質量で割ります、囲みの中のように式を立てます。
一番面倒な計算なので注意してやりましょう。
できたらそれをまたずっと下までコピーしていきます今回も質量、ばね定数、減衰係数は固定ですからコピーで移動しないようにF4で固定しておきます。
E列
加速度が出来れば後は簡単です、今度は速度です、ムラサキの囲み部です。
D列で求めた加速度にΔtを掛けて1ケ前の速度に足してやります、これだけです。
F列
変位の計算は速度と同様です、オレンジの囲み部です。
E列で求めた速度にΔtを掛けて、1ケ前の変位に足してやります。
さあ出来ました、でもちょっと待ってください。
最初の最初の計算のセルには「1ケ前」のデータがありません、なので最初の行には手入力で数字を入れてやらなくてはいけません、これを初期値と言います。
計算ができるのは2行目のデータからです、今回の初期値はみんな“0”です。
さあ今度はほんとにできました。
ちゃんとできてるかグラフをプロットしてみましょう、XYグラフでX軸に時間、Y軸にXの変位をプロットします。
減衰比を変えると左側の3つのように変位の収まり具合が変化しますか? してればOKです。
これができればかなーりなものです、りっぱなシミュレーションの完成です。ぜひがんばって作ってみましょう。
実際サーキットシミュレーションでも他の時間軸シミュレーションでも原理は同じです、モデルが複雑なだけです。
質量、ばねが変わったら収まりがどう変わるか、収まりを元と同じにするには減衰比をどれくらい変えたらいいか、更に入力を単凸にしてみたり、サイン波の低周波、高周波にしてみたりこのシミュレーションだけでいろいろ出来ます。
減衰比がずいぶんイメージできるようになると思います。
エクセルのファイルが欲しい方は “7post@lemans.co.jp” までメールください、添付でお送りします。