ついに禁断の周波数特性の説明になりました。
グラフの横軸が時間から周波数になるととたんについてくる人が減っちゃうんですがひとつ踏ん張って行きましょう。
図のような1自由度のマスばねがあります、前回まではマスを押してそこから手を離したときのマスの収れんの動きを解説しました。
今回は地面を揺らします、車で言えば地面の凸凹に相当します、こういうのを路面から無理矢理揺らすので強制振動って言います。
地面にはガタボコもあれば大波のような波状路もあります、凸凹の粗い、細かいが違うとも言えます、つまりは入力の周波数が低い、高いということになります。
車がどんな路面でどんなふうに上下動するかを調べるのに路面からいろいろな周波数の入力をして車体の上下動の大きさをそれぞれの周波数で測定する、ということをします。
具体的には路面からサイン波、きれいな波、を入力します(変位“Z”)、そしてその周波数をゆっくりの低周波数からせわしない高周波数まで変化させてそれぞれの周波数で車体の変位“X“を測定します。
そして車体が路面からの入力の何倍動いたか(X/Z)を周波数ごとにプロットして滑らかな線で結びます、それが周波数特性です。
実際にはとびとびの周波数を入力して計測するようなまだるっこしいことをしなくても連続的に周波数を変化させながら車体の動きを計測してフーリエ変換、伝達関数をいう手法を使えば簡単に求められるのですがちょっと分かりにくいので上のように考えた方が理解しやすいと思います。
じゃあ実際の周波数特性のプロットを見てみましょう。
モデルは1自由度です、ゆーーーっくり路面が上下するとき、グラフでいえば左端のあたりの低周波数ではX/Zは1です、つまりばねは伸びたり縮んだりしないで路面、ばね、車体がひとまとまりで上がったり下がったりするということです、極端な例で言えば坂を上ったり下ったりするのもものすごく周波数の低い路面からの入力ですが、そんな時は坂の下でも上でもばねのたわみに変化ないですよね。
次に共振周波数でゆすったらどうでしょう、一回手で押して離しただけで永遠に揺れ続ける共振周波数ですから路面から揺すられ続けたらもうどんどん揺れが大きくなってしまい、最後には無限大になってしまいます、それが共振周波数のところで線が上に突き抜けている理由です。
更に周波数が上がっていくとどうでしょう、もうせわしない動きには車体はついていけなくて、路面の動きはばねがフニフニたわんでいなしてしまうので車体は動かなくなっていきます。
という具合に車体は入力の周波数によって動く度合いが違うのです、基本的には共振周波数で動きたいのです、そして高い周波数では動きたくないのです。
こんな車で走ったらちょっと共振周波数で揺すられたら過剰に反応して空に飛んで行ってしまいます、そこで動きを静めるダンパーの出番です。