第84回

84. <固有振動数>

まずは固有振動数をクリアにしておきましょう、システム固有の振動数で固有振動数です。
例えば振り子は一定のリズムで振れます、お皿をたたくとキーンという音がします、振り子の振れる周波数、キーンという音の周波数が固有振動数です。

図に前回と同じマスばね1自由度のモデルをあげました、右は重い重りに柔らかいばね、左は軽い重りに固いばねがついています。

まあ言うまでもなく右はゆっくり、左は早く上下しますよね。車にたくさん人が乗ると重くなって大きくゆっくり揺れるようになって柔らかく感じます、重くなって固有振動数が下がったからです。
固有振動数はシステムの硬さの具合を表す尺度にちょうどよいのです。

じゃあ固有振動数はどうやって求めるのでしょう? 振動数は重りの重さとばね定数の関数です。 一番下に式を書いておきました、ここにマスの重さとばね定数を入れれば周波数がHzで求められます。 なんどでも言いますがSI単位を使いましょう、単位換算を忘れることができます。

Kg をN/m で割ると何でヘルツになるんだっていう声が聞こえてきそうですがそういうもんです、力はマスに重力加速度を掛けたもの (N=kg * (m/s2))と考えたらなるほどとなると思います。

固有振動数はサスペンションの硬さを測る尺度ですから車のキャラクターを決める重要なファクターです、サルーンは1-1.5Hzくらい、スポーツカーで2.0Hzくらい、ツーリングレースカーで3-4Hz、F1で5-7Hzというようにです。

重さの違う2台の車のサスペンションの硬さ具合を比べようと思ったらばね定数を比べてもだめです、固有振動数でないとだめです。

昔あるワークスラリーチームのエンジニアにラリー車の固有振動数を聞いたら「1から2ヘルツ」って言う答えが返ってきました。 それじゃ乗用車全部入っちゃうくらい広い範囲なんですけどと思いましたが周波数による硬さの尺度はあまり一般的でないかもしれません。 でも大事です。

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