第80回

80. <リンクドダンパー>

このデバイスは左右のダンパーをつなげて車両のロールに対して減衰力を特別に発生させようというものです。 ばねには車輪ごとのばねとアンチロールバーがあります、だったら減衰も車輪ごとのダンパーとアンチロールダンパーがあってもいいじゃん、てなとこでしょうか

これはヤマハがREASとして90年代に売り出してトヨタのスープラに採用されました。 構造は左右のダンパーのリザーバをくっつけてフリーピストンを同方向にしか動けないようにつないでしまい、左右のリザーバをつないだ油路にロール用の減衰バルブを設けたものです。

このフリーピストンをつないだっていうのがミソで、左右のダンパーがヒーブモード(同相)で動く時はピストンは動いてオイルがリザーバに流れ込みますが、左右ダンパーがロールモード(逆相)の時はフリーピストンが別方向に動きたいのに繋がっているので動けないのでオイルはリザーバには流れられずロール減衰バルブを通ることになるのです。 こうやってヒーブとロールでオイルの流れを変えてロールの時だけ減衰力が発生するようにしているのです。

実際のダンパーの動きはヒーブとロールが混ぜ混ぜになったものになります、その場合左右の動きの差分(つまりはロール)に対して減衰力が発生することになります。

ヒーブとロールで違った減衰力特性を持たせることができますからヒーブ減衰力は純粋に振動減衰のためのリニアな特性にしておいて操舵時の舵の効きをよくするためにロール減衰力は低速を立ち上げた特性にしたりできます。

ヤマハはこの後4輪をつないでX-REASというのも作ってトヨタはなんとクラウンに搭載、販売しました、トヨタって時々とんでもなく変わったものをちょっとだけ作ったりしますよね このREASもそうですがばねのない本気のアクティブサスペンションやら、普通の電子制御ダンパーと逆のハード減衰基本のピエゾTEMSとか、サスペンション業界人でもようわからん制御理論のH無限大制御ダンパーとかね。
全部消えていきました。

オーリンズはヤマハの子会社なので当然オーリンズも作っていました、2003年にルマンで勝ったベントレーのフロントはそれのように見えます、もしかしたら油圧3rdスプリングかもしれませんが鮒子田さんにきいてみないとわかりません。オーリンズはチャンプカーのニューマンハースと組んでX配管結合ダンパーとかG感応ダンパーとか90年代にやっていましたからきっとそっちでもやっていたと思います(推測)

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