位置依存つながりで油圧バンプストップです。
まあ位置依存の一種です、バンプラバーが行っていたジャンプの着地とかのエネルギー吸収を減衰力にやらせるものでストロークの終わりの方で減衰力(特にバンプ)が高くなる仕組みです。
何が違うかというとラバーはエネルギーをあまり消費しないで蓄えるのでつぶれたラバーが今度は逆に車を突き上げるのですが、減衰力は運動エネルギーを熱に変換するのでラバーのように跳ね上げがありません。
図はあるWRCのグラベル仕様で使われていたダンパーをベースに描いたものです、ストローク終わりの方でバンプストップ用のピストンがカップに入ると減衰力が高くなり、更にストロークするにつれ横穴の数が少なくなって更に減衰力が上がっていきます。
このストロークするにつれ減衰力が上がっていくというのがキモです。
内蔵ではなく別置きの物もあります、FOXの製品
(http://www.ridefox.com/filter.php?m=offroad&t=shocks&f1=type&v1=Bump%20Stop&ref=topnav)
が有名どころですかね。これはリバウンド側にも減衰がついていますが通常バンプラバーも併用するのでそうなのでしょう。
ラリーレイドとかオフロードトラックとかの車には別置きがよく使われています。
私が三菱でダカールラリーをやってた96年ごろはバンプ減衰のみの別置きの物を使っていました、1輪当たりダンパーが2、3本でさらに油圧バンプストップが付いてすごい光景でした。
80年台にアメリカで売る車には5マイルバンパーという5マイル以下のスピードでぶつかってもバンパーが復元することみたいな法律があって、バンパーの裏にエネルギー吸収装置がついている車がありましたがそのしくみはまさに油圧バンプストップと同じでした。
カタツムリみたいなグラフは油圧バンプストップの効果をシミュレーションしたものです、モデルは1輪2自由度で段差から落ちるというものです。
ちょっと分かりにくいですが原点のところで着地して時計回りに荷重とストロークが立ち上がって行き、荷重が下がりながら1Gへ戻っていきます。
バンプストップなし、バンプラバー、油圧バンプストップのストロークと荷重の変化を比較しています。
バンプストップなし(青)は荷重は低いですがストロークがたくさん要ります、サスペンションのストロークは簡単には伸ばせませんよね。
バンプラバー(緑)は荷重は高くなりますがストロークを抑えられます、しかしラバーの反発で伸び方向への揺り返しが大きいのが分かります。
そして油圧バンプストップ(赤)は最大荷重、ストロークをバンプラバーと同等に抑えて、それでいて揺り返しはバンプストップなしと同等と良いとこ取りになっているのが分かります。
大きなエネルギーを限られたストロークで吸収するには優れたシステムだと思います、設定するのがちょっと難しいですが。