始めはブローオフです、比較的定番なデバイスです。
このデバイスは縁石乗り越し時のダンパーによる車体の突き上げを低減する効果があります。縁石といってもレースの場合コーナーの内側にあるゼブラ模様のものです、英語でkerbですがコーナーのcurveとごっちゃになって「curveで突き上げきつい」とか訳のわからないこと言う人がいますので気をつけましょう。
減衰力は車体の動きを減衰して止めるためのもので、ホイールが動くときは減衰力が車体を突き上げたりしていいことがありません。ですからタイヤが縁石を乗り越す時、バンプの減衰力が車体を下から突き上げてしまいます、映像で縁石で車がジャンプしているところを見たことがあると思いますが、減衰力がジャンプの原因の一つになっているのです。
タイヤが離地しなければ車体の姿勢も安定するし、グリップも失いませんからどっかに飛んで行ってしまうこともなく速く走れるでしょうということです。
通常は減衰が効いていて縁石乗り越しの時だけ減衰力を下げる、これが目標です。じゃあ通常と縁石乗り越しをどう分ければいいでしょう?
うまいことに縁石乗り越しの時のダンパー速度はとても速いのです、タイヤが縁石に当たって跳ね上げられるのですからそうですよね、ですからバンプの高速の減衰力をうまいこと下げてあげればいいことになります。
仕組みですが実際の断面図ではなく機構図を用いて説明したいと思います。初めに通常のダンパーを機構図を使って説明します。
通常のダンパーはオリフィスと圧力制御弁(ピストン+シムやポペットバルブ)の組み合わせで構成されています。オリフィスはいかにも絞られたようなシンボルですからわかりやすいですね、圧力制御弁はポペットバルブをモデルにしたシンボルです、圧力が上がるとスプリングに押さえられていたボールを押し上げてオイルが流れ出します。
圧力制御弁のシンボルはJISのものとは違うのですがこっちのほうが見た目に分かりやすいのでこっちを使います。
さてブローオフの機構図です、圧力制御弁がもう一つ追加になっていますね、このブローオフ用のバルブは高いプレロードが掛けてあるので圧力の高い、ダンパー速度の高い領域になって初めて開きます、そして柔らかいスプリングを使っているのでいったん開くと減衰力はあまり上昇しません。
ブローオフの開くポイントは注意深くチューニングしないといけません、ブレーキングやロールや通常のバンプ程度では開かないように、縁石では確実に動作するようにセッティングしないといけません。