今回はぐっと趣を変えて空気ばねの話です。
ダンパーにはシャフトの出入りの分の体積補償用にガス室が設けられているのは基礎編で説明しました。
じゃあそのガス室はどのくらいのばね定数を持っているかという話です。
よくスプリングのばね定数にダンパーのガスばね定数が乗っかって固くなるとかいうエンジニアがいたりしますが、じゃあどれだけ?って言うと答えられなかったりします。
ここはひとつはっきりさせましょう。
(1)は高校の物理で習ったボイル‐シャルルの法則、PVのn乗はコンスタントです。 nはポリトロープ係数です。
初期値をPo、Voとしてシャフトがxだけ入ってきたときの時の値をPx,Vxとします、すると(2)の式が成り立ちます。
(2)のVxを右辺に移して整理します。 --(3)
ここでVxは初期値(Voからシャフトの挿入分(AxX) 変化したものです --(4)
(4)を(3)に代入します。 --(5)
式はXの関数なのでわかりやすいようにします、分母分子を入れ換えてその代り-n乗にして整理します。 --(6)
Pが求まりました、この時シャフトに掛かる力(F)は圧力(Px)x面積Aです。 --(7)
Pxに(6)のPxを代入します、これがシャフトに掛かる力(F)のシャフト変位(x)による関数です、x以外は定数ですね。 --(8)
さて欲しいのはばね定数(K)ですから(8)の力(F)を変位(x)で微分しないといけません。 --(9)
(8)式のxによる微分は-nが前に出て乗数から1引いて…(略)…すいません、ちょっと微分の途中を省かせてもらいました、結果の式(10)が初期値Po、Voのガス室の変位xmの時のばね定数になります。 --(10)
ここで(10)をちょっといじくります、(10)の式は初期値Po、Voのガス室でシャフトがxm動いた時のばね定数でした、今知りたいのはあるP,Vのその時のばね定数です。
ですからXに0を入れて、初期値Po、Voで変位が0つまりはP,VがPo、Voに等しい時のばね定数と同じことです。
(10)式のPo、VoをP,Vの置き換えてx=0を代入するとあーら式がだいぶ簡単になりました。 --(11)
これが与えられたP,Vのガス室のシャフト面積Aに対するばね定数です。
nに1.4を使っています、これはダンパーの動作が断熱サイクルだからです、ダンパーの動きは速いので熱のやり取りをする時間がありません、そのため圧縮は温度が上がり、膨張は温度の下がる断熱サイクルになります、このときはnに1.4を使います。
この式を覚えておけばガス室のばね定数でもフロントフォークのエアばね定数でもエアサスのばね定数でも何でも来いです。
今回式でばね定数を求めましたがエクセルを使えば微分とか小難しいことをしなくてもばね定数を求められます、その方法を次回に。